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「短時間、効率よく働きたい!」 働き手のニーズに対応、雇用つなぐマッチングサービス

   1日1~3時間といった短時間勤務で、継続した雇用関係のない働き方の「ギグワーク」が話題になるなか、アルバイトなどのスタッフの勤務シフトを上手にやり繰りしたい雇用者側と、ピンポイントで働きたい働き手とをマッチングするサービスが登場している。

   人材・販促サービス大手のリクルートは、同社が手掛けるSaaSソリューションで、シフト管理サービス「Airシフト」に単発のアルバイトを募集・採用できる「ヘルプ機能」を追加した。2022年3月8日から、サービスを提供している。

   少子高齢化や人口減少が加速する日本は、ますます労働環境は厳しくなることが予想される。こうした中で、「Airシフト」のヘルプ機能を利用することで、「より多様で柔軟な雇い方・働き方」が実現し、単発のアルバイトやパートと雇用者側とをマッチングしやすくすりそうだ。

  • スキ間時間はぜひ力を借りたい!(写真はイメージ)
    スキ間時間はぜひ力を借りたい!(写真はイメージ)
  • スキ間時間はぜひ力を借りたい!(写真はイメージ)

「単発バイト」が労働力不足の解消の一助に

   リクルートによると、日本の労働力不足がますます深刻化するなか、働きたいけれど働けない人は一定数存在するという。パート・アルバイトの人が希望するシフトを出して、そのとおりに叶う割合は100%ではなく、常に余剰労働力が生まれていると、みている。

   その一方で、採用側にとっては、人手不足感が高まっているのも実情だ。同社では、こうした労働力の偏りを生むシフトの見直しや、難易度別の業務の切り出しといった「お悩み」の解消を提案している。

   そんな課題解決につながるサービスが、シフト管理サービス「Airシフト」のヘルプ機能だ。お店側はアルバイトの勤務シフトを集めて調整し、埋まり状況を「Airシフト」上で確認する従来の使い方に加えて、空き日時に単発で働けるスタッフを募集することもできるようになった。

   「Airシフト」を利用すれば、雇用者(店舗)側は、(1)シフトの埋まり状況を確認して、人手が足りないときに空き日時に単発で働ける人材の募集と、その人材とのやり取りなどができる(2)従来の空く・空きやすい日時の特定から、今後はその空きシフトを「埋める」までを担える。これらのメリットに加えて、(3)「Airシフト」の有料契約者は、ヘルプ機能(※)を利用できる。

※ヘルプ機能は下記の通り。なお、審査基準を満たした店舗が利用できる。
(1)募集:募集原稿の作成、募集掲載の開始と終了/(2)応募者確認:応募者の履歴書情報の確認/(3)採用:採用・不採用の決定、応募者への採用・不採用の通知/(4)やりとり:採用者とのチャット

「Airシフト」画面(左)と「シフトボード」アプリ画面
「Airシフト」画面(左)と「シフトボード」アプリ画面

   「Airシフト」のヘルプ機能を利用する店舗が呼びかける単発バイトの募集情報は、スタッフ向けシフト管理・給与計算スマートフォンアプリの「シフトボード」に掲載される仕組みとなっている。

   応募希望者にとっては、この機能連携によって、働きたいと思ったピンポイントな日時に仕事を探すことができる。さらに、応募から採用後まで店舗との連絡が「シフトボード」上で完結するため、便利に使える。

   なお、「シフトボード」を使うと、働き手自身が、自分のシフトや給与を可視化して把握できるのも特徴だ。

   リクルートのプロダクト統括本部で「Air シフト」「シフトボード」プロダクト責任者をつとめる沓水佑樹(くつみず・ゆうき)氏は、

「アルバイト・パートで働く方の多くは、『働きたい時に働きたいだけ働きたい』と考えていらっしゃいます。新型コロナウイルスの影響がなくなったとしても、固定のバイト・パートだけでなく、単発のお仕事と組み合わせたフレキシブルな働き方が増えていくと予想しています。すると、お店にとってはシフト管理の難度が増し、給与計算も複雑になります。その時に、労務全般の管理を効率化できる『Air シフト』は、お店の生産性向上に、より寄与できる余地があると考えています」

とコメントしている。

散歩のついでに「ひと仕事」!?

   さらに、リクルートには、「スキマ時間」に、近所で手軽な仕事を探せるスマホアプリ「エリクラ」がある。「エリクラ」では、マニュアルを読んですぐにでもできる仕事を、スキマ時間を活用して働きたい人材をマッチングする。

   雇用者側は、「エリクラ」にお願いしたい業務を登録すると、物件の近隣に住むユーザーに、直で業務委託できる。

   雇用者側は、仕事の効率化につながりそうだ。たとえば、不動産管理を手掛ける会社が、「マンションのエントランスの掃除を10分で500円」で、仕事を発注する。これまでは、社員が複数の物件を定期的に巡回し、1か所10分の掃除のため、多くの時間と労力と交通費をかけていた。だが、これを近隣に住むユーザーに依頼することで、不動産企業の社員は別の仕事に時間と労力を費やせる、というわけだ。

   なお、報酬は、仕事が終わったあとに写真を撮って、アプリ上で「完了報告」すると、対価が支払われる仕組みだ。

「エリクラ」アプリの画面イメージ
「エリクラ」アプリの画面イメージ

   働き手側にとっては、「スキマ時間」の有効活用につながる。たとえば、育児などを理由に会社や店舗が決めた時間で働けない人にとっては、働く時間をコントロールしやすくなる。また、仕事を引退したシニア層は、散歩ついでの「お小遣い稼ぎ」感覚で働けるかもしれない。多様な働き方への関心の高さの影響か、サービス開始直後の2019年11月時点と比べ、現在は働き手の数は2.3倍、仕事の数は5.1倍に拡大しているという。

   リクルートの新規事業開発室「エリクラ」のプロジェクトオーナー、今里亮介(いまざと・りょうすけ)氏は、

「人手不足が叫ばれ続けている一方で、時間や場所、スキルの問題で、仕事探しを諦めてしまった働き手の方々がたくさんいることは事実です。そんな方々は、事業者が仕事のサイズを小さくして、わかりやすい業務の形にする工夫をすれば、積極的に働くことが検討できる場合が多いようです。『エリクラ』はそれを証明していると考えています」

と話し、多様化する働き方と雇用者側のニーズのマッチングを進めていく考えだ。