J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

テレワークで明らかになった「雑談」の必要性! 「コミュ力」身に着けるテクニックとは【尾藤克之のオススメ】

   日常生活を取り戻してきた今、雑談の必要性が高まっています。今回紹介する一冊は、セミナー、カウンセリングを通して、これまで25万人の雑談力を高めてきた著者が、自らの技術を公開したものです。印象に残る自己紹介や、話が途切れない雑談の組み立て方、相手から好かれる聞き方の技術や、雑談ネタの増やし方まで、すぐ使えるテクニックを紹介しています。

『すごい雑談力 25万人が自信をつけた話し方・聞き方のルール』(松橋良紀 著)秀和システム
  • 「雑談」で仕事を円滑に(写真はイメージ)
    「雑談」で仕事を円滑に(写真はイメージ)
  • 「雑談」で仕事を円滑に(写真はイメージ)

AIが代替できないのは「コミュニケーション」大事な仕事

   日本能率協会がビジネスパーソン1000人を対象にした意識調査によると、「テレワークになってから雑談する機会が減った」と回答した人は、86.0%もいたことが明らかになっています。以前は、リアルコミュニケーションで人間関係を深める機会がありました。しかし、いまはオンラインが当たり前です。そもそも本当に効率は上がったのでしょうか?

「じつは、同じ調査によると、雑談の効果をたずねる質問では、『職場メンバーと雑談することで業務の生産性や創造性を高める』と回答した人が全体の6割超、『雑談が職場の人間関係を深める』と回答した人が全体の7割超もいました。さらに『雑談はあなた自身にとってプラスだと感じるか』という質問では、全体の約8割が『プラスである』、または『ややプラスである』と回答しています」(松橋さん)
「仕事では雑談をせず、用件伝達のみで進めたほうが効率はよさそうですが、実際には真逆の結果が出たと言えます。一見ムダと思われていた雑談は、じつは人間関係を築くうえで重要な役割を果たしていたのです。オンラインにも慣れてきたいまこそ、あらためて『雑談力』が必要な時代と言えます。信頼関係を築くうえで必要なのは雑談力なのです」(同)

   松橋さんは、どんなに時代がすごいスピードで変わっていっても、必要とされる能力のベースは「コミュニケーション力」だと言います。テレワークになっても、実際には「業務の生産性や創造性を高める」「人間関係を深める」という理由で、雑談が求められているからです。

「オックスフォード大学の研究によると、2025年から2035年くらいまでに、日本の労働人口の49%はAIに代替される可能性がある推定されています。一般事務職や、工場勤務者の仕事は、AIに取って代わられる仕事と言われます。すでに接客業では、スーパーやコンビニで、セルフレジを取り入れるところが増えてきました。AIの波は押し寄せています」(松橋さん)
「しかし、なくならない仕事もあります。営業職、介護職、カウンセラー、コンサルタント、データサイエンティストは、AIでは置き換えることができない仕事として列挙されています。これらを見ると、ほとんどがコミュニケーション力をベースとした仕事です。つまり、コミュニケーション力の高さは、普遍的な強みなのです」(同)

あのトレーニングジムの採用基準とは?

   「結果にコミットする」をキャッチフレーズにしたダイエットプログラムで、いまや全国にパーソナル・トレーニングジムを展開しているライザップ。芸能人を使ったユニークな広告でもおなじみですが、全国展開しているため、ダイエットトレーナーを大量に募集しています。

   では、ライザップの採用の基準は、何だと思いますか。ライザップが採用で重視しているのは「コミュニケーション力の高さ」です。ダイエットの知識はまったくゼロだとしても、コミュニケーションスキルが高い人を採用したほうがいいという判断のようです。

   ライザップに限らず、コミュニケーション能力を重視している会社は増えました。一般の会社でも、管理職になるにつれて、技術や知識よりも、コミュニケーション力が必要となります。上司の意図を的確に理解し、コミュニケーションを取れる人は、どんな職場でも重宝されます。

   本書が興味深いのは、行動心理学でいうソーシャルスタイル別の対策をまとめた点です。業界では「S4」などとも呼ばれることがあります。ソーシャルスタイル別にどう接すればいいのか。どのように話しかければいいのか。ビジネスでも使える雑談術を、この機会に身に着けていきましょう。

(尾藤克之)