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駐車場「タイムズ」のパーク24株が9%高 黒字化を好感も業績は予断許さず?

   駐車場「タイムズ」を全国展開するパーク24の株価が2022年3月16日に一時、前日終値比171円(9.4%)高の1985円まで上昇した。

   前日取引終了後に発表した2021年11月~22年1月期連結決算は主力の国内駐車場事業の業績が改善し、最終黒字に転換。国内では3月22日から新型コロナウイルス対策の「まん延防止等重点措置」が全国で解除されるため、投資家のあいだにはさらなる需要回復への期待もあるようだ。

  • 駐車場「タイムズ」を展開するパーク24の株価が上がっている(写真はパーク24提供)
    駐車場「タイムズ」を展開するパーク24の株価が上がっている(写真はパーク24提供)
  • 駐車場「タイムズ」を展開するパーク24の株価が上がっている(写真はパーク24提供)

SMBC日興証券「想像以上の利益回復」と評価

   それでは第1四半期にあたる2021年11月~22年1月期連結決算の内容を確認しておこう。売上高は前年同期比12.5%増の699億円。営業損益は46億円の黒字(前年同期は27億円の赤字)、最終損益は4億円の黒字(前年同期は47億円の赤字)だった。

   パーク24の事業は国内駐車場事業と海外駐車場事業、カーシェアなどのモビリティ事業の3つからなる。全体の売上高に対する割合(2021年10月期)は国内駐車場が約6割、海外が約1.5割、モビリティが約2.5割という構成だ。利益面では海外はまだ赤字体質を抜けきれておらず、国内駐車場が経営の柱となる。

   この第1四半期において、国内駐車場事業の売上高は前年同期比4.7%増の395億円、営業利益は2.1倍の82億円と全体をけん引した。コロナ禍の需要減少を受けて稼働中の不採算駐車場を減らすとともに新規開発地を厳選。地主に支払う賃料の減免を進めている。

   そうした効果が利益面に表れ始めている。社会がアフターコロナに移りつつある海外では、売上高が前年同期比50.1%増の135億円に伸び、営業赤字は10億円と前年同期の33億円から改善した。モビリティは売上高が前年同期比9.0%増の181億円で、営業損益は4億円の黒字(前年同期は2億円の赤字)に転換した。2021年は年末にかけて国内ではコロナ感染が一服した時期でもあり、それが業績にも反映したようだ。

   SMBC日興証券は22年3月16日、第1四半期決算について「財務体質は課題残るも、想定以上の利益回復でポジティブ」と題するリポートを配信し、営業利益が市場予想平均19億円より大幅に上振れして46億円となったことを評価した。

ガソリン価格の高騰、自動車利用に影落とす

   利益が伸びた要因については「コロナ禍の影響緩和による売り上げ改善に加え、不採算駐車場の解約、地代減免、管理コスト抑制などが想定以上に進捗したこと」とみていた。 ただ、第1四半期決算と同時に発表した2022年2月の国内駐車場事業の売上高は、前年同月比2.1%減と第1四半期中に続いたプラスからマイナスに転じた。国内ではコロナ禍で移動が制限されていることの影響から抜けきれていないことを示した。

   まん延防止等重点措置が解除されてもコロナ感染者が大幅に減らなければ需要回復が思うように進まない可能性もある。ウクライナ情勢の悪化からガソリン価格が下落に転じそうにはないことも、移動手段としての自動車の利用に影を落とすことも予想される。今後のパーク24の株価は、そうしたこともにらみながらの値動きとなりそうだ。(ジャーナリスト 済田経夫)