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読み手を意識した「ベネフィット」を盛り込み、読みたくなる文章を!【尾藤克之のオススメ】

   ウィズコロナに入り、コミュニケーションのスタイルでは、オンラインの存在感も高まりました。そんないま、最も必要とされる能力とは何でしょうか。それは「文章力である」と、私は断言しておきます。今回は、はばかりながら、私の新刊「ちょっとしたことで差がつく 最後まで読みたくなる 最強の文章術」の中から、読み手を意識する「ベネフィット」という考え方に関するエッセンスを紹介します。

「ちょっとしたことで差がつく 最後まで読みたくなる 最強の文章術」(尾藤克之 著)ソシム
  • 書き手が意識すべき「ベネフィット」とは
    書き手が意識すべき「ベネフィット」とは
  • 書き手が意識すべき「ベネフィット」とは

読者へのベネフィットを明確に

   近著でも詳しく解説していますが、読者の欲求(これが欲しい)を高めるには「すぐできる」「簡単」などの「ベネフィット」が必要です。ベネフィットの意味は「提供される価値」「提供される利益」というものです。

   では、書き手は具体的にどうしたらいいか――。商品の特徴を「ベネフィット」に変換すればいいのです。「So what?」(だから何なの? それは何?)を落とし込むのです。人はラクをしたい生き物なので「難しい」と思われてしまうと、ハードルが高く感じてしまいます。たとえばこれは、過去のキャッチコピーなどを見れば明らかです。

○「レンジでチン」=電子レンジを使ってあっという間に料理ができる。
○「ロングブレスダイエット」=強く長い呼吸をするだけでダイエットを実現。

   どちらも有名なキャッチコピーですが、読者へのベネフィットが明確です。取りかかるためのハードルが低いことをイメージさせた方が、読む人には響きます。仮に、このコピーが次のようなものだったらどうでしょうか。

○「レンジでたった1時間」=レンジを1時間使うだけで料理ができますよ。
○「24時間ロングブレスダイエット」=24時間強く長い呼吸をするだけでダイエットを実現。

   「今日からできる」「誰でもできる」「簡単にできる」などは、ハードルを下げるための効果的なベネフィットです(もちろん、事実に基づくことが必要なのは、言うまでもありません)。このような、ハードルを下げるためのベネフィットは覚えておくとよいでしょう。

ベネフィットがあると、わかりやすくなる

   ほかのケースも考えてみましょう。

○天然セラミド配合
このように書かれている美容液は多いと思います。おそらく、これだけでは伝わりません。文章にするなら、次のようにしたら印象が変わると思います。

<修正例>
○美容液には、天然セラミドが配合されています。高い保湿効果が期待でき、敏感肌にも安心です。
○タウリン1000ミリグラム配合
ドリンク剤のCMでよく見るコピーです。タウリンの働きや意味について理解している人がどれほどいるのでしょうか。なんとなくよさそうですが、文章として伝えるには不十分です。

<修正例>
○このドリンク剤には、タウリンが1000ミリグラム配合されています。タウリンには、血液中のコレステロールや中性脂肪を減らす、などの働きがあるとされています。
○副業解禁
ある会社で、総務部から全社員に「副業解禁」の通達がありました。しかし、社員の反応はイマイチです。なぜでしょうか。また、どのようにすれば伝わるのでしょうか。

<修正例>
○当社では副業を解禁します。副業解禁によって、収入が増えると、欲しい物も買えるようになります。なお、会社への報告は必要ありません。

   「ベネフィットとはどういうものか」「今、どのようなベネフィットが注目されているか」を知りたいなら、書店に行くといいでしょう。トレンドがつかめるはずです。ベネフィットが明確だと、その商品のメリットによってもたらされる効果が明らかです。相手も「これを使ったらこうなる」とイメージしやすいため、行動を促しやすくなります。

   わかりにくい文章はミスを誘発します。ミスはトラブルに直結し、その頻度が高まれば、信頼関係に亀裂が入ることも考えられます。ウィズコロナにおいて、文章力は「ライバルから抜け出す重要なスキル」になると確信しています。

(尾藤克之)