J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

フリーランスで働くシニアエンジニア、「不安増えた」は7割... 競争激しい、年齢もネック?

   多様な働き方ができるようになった今、企業に所属するばかりでなく、フリーランスとして活躍する道も選択肢のひとつである。

   とりわけ、エンジニアやプログラマといった専門的な職種では、引きも多いことだろう。だが、フリーランスで働くには少なからず不安をともなうものだ。仕事の獲得や収入源の確保は、やはり気になる。では、フリーランスで働くシニアエンジニアの場合はどうだろうか――。

   シニアエンジニア向けの求人サイト「SEES」を運営するMiraie(東京都渋谷区)は、「シニアエンジニアの将来への不安」に関する調査を実施し、その結果を2022年4月12日に発表した。

   フリーランスで働くシニアエンジニアの実情とは?

  • フリーランスで働くシニアエンジニアの不安とは?
    フリーランスで働くシニアエンジニアの不安とは?
  • フリーランスで働くシニアエンジニアの不安とは?

以前と比べて「単価が減った」は7割近く

   まずは、現役のフリーランスエンジニアの仕事内容について、現在、どのようなポジションでプロジェクトに関わることが多いか聞いたところ、システムエンジニアが47.5%、プログラマが35.7%、デザイナーが14.3%、フロントエンジニアが14.3%、と続いた(複数回答)。

   また、彼らが関わるプロジェクトの単価(月額単価の平均)を聞くと、多い順に、

31.0%「40万円~50万円未満」
28.7%「40万円未満」
23.6%「50万円~60万円未満」

という結果だった。

   また、以前と比べて単価に変動はあったかに踏み込むと、「かなり減った」(21.6%)と「やや減った」(45.5%)があわせて67.1%、つまり7割近くが、案件の月額単価が下がったことを実感している=図表1。Miraieは「クライアントの事情や景気の減退といった要因が考えられる一方で、キャリアではカバーしきれない年齢の壁もあるのかもしれません」と見ている。

(図表1)現在の案件単価は? 以前と比べて変動はあったか?(Miraieの作成)
(図表1)現在の案件単価は? 以前と比べて変動はあったか?(Miraieの作成)

   一方、フリーランスで働くうえでは、案件の獲得への苦労がどうしてもある。それについてどう感じているか、世代別に示された結果が以下のものだ。

・40代前半
「とても苦労している」(23.3%)、「やや苦労している」(51.0%) 計74.3%
・40代後半
「とても苦労している」(26.1%)、「やや苦労している」(56.3%) 計82.4%
・50代前半
「とても苦労している」(27.9%)、「やや苦労している」(49.8%) 計77.7%
・50代後半
「とても苦労している」(24.1%)、「やや苦労している」(54.6%) 計78.7%
・60代
「とても苦労している」(32.5%)、「やや苦労している」(39.9%) 計72.4%

   理由については、こんな声が寄せられている。

・フリーランスが増えて争いが激しい(40代/男性/北海道)
・エージェントに入ったが、年齢を理由に案件をもらうことができなかった(40代/男性/東京都)
・年齢を理由にボリュームの大きい案件をもらえなかった(50代/女性/兵庫県)
・年齢を理由に足切りや低いサービス料金を提示される(50代/男性/東京都)

一番の不安は「案件が途切れないか」

   自由な働き方ができるフリーランスだが、さまざまな不安や悩みに直面することも少なくない。そこで、以前と比べて、フリーランスとして働くことに対する不安は増えたかどうか聞いた質問では、「とても増えた」(25.9%)と「やや増えた」(45.9%)をあわせて、71.8%にのぼる=図表2

   続いて、今後も現在と同じ条件(単価や案件獲得)で働けると思うかどうか聞いた質問では、「あまりそうは思わない」(37.0%)と「まったくそうは思わない」(9.0%)というネガティブな回答が、あわせて46.0%だった=再び、図表2

(図表2)フリーランスで働くことへの不安と、今後も同じ条件で働けると思うか聞いた(Miraieの作成)
(図表2)フリーランスで働くことへの不安と、今後も同じ条件で働けると思うか聞いた(Miraieの作成)

   具体的な不安については、多い順に、

35.0%「契約が終了したあとに案件が途切れないか(案件が安定するか)」
22.4%「単価が下がり続けないか(収入が減らないか)」
17.3%「年齢を理由に断られることが多くならないか」

   などが挙げられている=図表3。そして、こうした不安への対策には、

・新しいプログラムを積極的に学び、能力を高める(40代/男性/東京都)
・複数のフリーランス技術者登録サイトに登録している(50代/男性/東京都)
・取引先との連絡を密にする(60代/男性/神奈川県)

といった声が寄せられた。

(図表3)シニア層になってフリーランスを続けることで、最も強く感じる不安は?
(図表3)シニア層になってフリーランスを続けることで、最も強く感じる不安は?

   今回の調査結果に、Miraieは

「これまで築いてきた人脈を駆使し、案件を獲得する一方で、シニア層になってから苦労を感じる方が多いようです。実際に、年齢を理由として仕事を断られたり、単価を下げられたりするケースも見られました」「今までの人脈は大事にしつつ、エージェントを活用することで、より年齢を重ねて培ってきたノウハウを武器にシニアエンジニアとしても活躍できるでしょう」

としている。

   なお、今回の調査は、40代~60代でフリーランス歴が10年以上のエンジニア1074人(40代前半202人、40代後半238人、50代前半215人、50代後半216人、60代203人)を対象とした。2022年3月18日~22日、インターネットで実施。モニター提供元は、ゼネラルリサーチ。