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SUBARU株5.9%安...背景に主力車の一時出荷停止、業績への影響懸念

   SUBARUの株価が2022年4月15日の東京株式市場で一時、前日終値比109円(5.9%)安の1739円まで値を下げた。

   SUBARUの工場のある群馬県の地元紙、上毛新聞などが「エンジン不具合のため、国内で主力3車種の販売と出荷を停止している」と報じたことを受けたもので、今後の業績への悪影響を懸念する見方が強まった。

  • SUBARUでの半導体不足の影響はどうなる?(写真はイメージ)
    SUBARUでの半導体不足の影響はどうなる?(写真はイメージ)
  • SUBARUでの半導体不足の影響はどうなる?(写真はイメージ)

円安・ドル高の進行とあいまって、売り買い交錯する展開に

   日本メーカーの中でも、半導体不足による生産停滞の影響を大きく受けていたSUBARUにとって、泣きっ面に蜂と言える事態だ。週明けの18日は、SUBARUの円ベースの業績改善に寄与する円安・ドル高が進んでいたこともあって、売り買いが交錯する展開となった。主力車種の出荷停止は当面、上値が重くなる要因となりそうだ。

   SUBARUは出荷停止についてニュースリリースなどを出していない。日本経済新聞の16日付朝刊によると、問題の主力3車種は、国内向けの多目的スポーツ車(SUV)「フォレスター」「アウトバック」と、ワゴン「レヴォーグ」で、6日に停止していたとのことだ。

   4月下旬に生産も止め、出荷再開には2か月半かかる見通し。販売済みの車両も原因次第ではリコール(回収・無償修理)する可能性がある。対象は累計5万4000台に達し、リコール費用を含め、約100億円の営業減益要因との見方もあるという。

半導体の影響、いつまで続くのか?

   それでは、SUBARUにおける半導体不足の影響について、おさらいしておこう。

   少し前の話だが、株式市場にとってネガティブサプライズとなったのは、2月7日に発表した2022年3月期連結決算の業績予想の下方修正だ。なにしろ、日本の完成車メーカーでこの時点で利益予想を下方修正したのは、SUBARUのみだったからだ。

   下方修正は次のような内容だった。

   売上高は従来予想比2000億円減の2兆7000億円、営業利益は従来予想より500億円減の1000億円、最終利益は従来予想より350億円減の750億円。営業利益は、わずかながら前期実績(1024億円)を下回る減益予想に転じた。修正の理由としてSUBARUは、「半導体の供給不足緩和を見通して挽回生産を計画していたが、想定を上回る半導体供給不足の影響が継続しているため」と説明した。 SUBARUは他メーカーに比べ、中国や東南アジアなどを含めた新興国向けの供給が少なく、販売先は日本と北米で全体の9割近くに達する。新興国向け車種は供給制限を受けにくい半導体を利用するケースが多いとされており、日米中心のSUBARUのダメージはより大きくなるようだ。

   世界的な半導体不足は2022年後半には収束に向かうとの見方が多いものの、ロシア市場の蒸発を招いたウクライナ情勢やガソリン高といった先行きの読めない事態も同時進行している。SUBARUを含めた自動車メーカー各社は、かつてない手探りの経営が続きそうだ。(ジャーナリスト 済田経夫)