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キャンドゥ社員の平均年間給与425万円 流通大手、イオンの連結子会社化でなにが変わった?

   上場企業の財務諸表から社員の給与情報などをさぐる「のぞき見! となりの会社」。今回取り上げるのは、100円ショップ「Can☆Do」を運営するキャンドゥです。

   キャンドゥは1993年、埼玉県戸田市に100円ショップのフランチャイズ(FC)店への卸売業、および直営店の小売業を事業とした会社として設立されました。2003年に東証二部上場、2004年に東証一部に指定替え。2022年1月にイオンの連結子会社になりました。

  • 100円ショップの「キャンドゥ」が流通大手イオンの傘下入り(写真はイメージ)
    100円ショップの「キャンドゥ」が流通大手イオンの傘下入り(写真はイメージ)
  • 100円ショップの「キャンドゥ」が流通大手イオンの傘下入り(写真はイメージ)

10期連続増収も営業利益は右肩下がり

   それではまず、キャンドゥの近年の業績の推移を見てみましょう。

   キャンドゥは、コロナ禍でも増収を続けています。2021年11月期は前期比0.1%増の731億3000万円で、かろうじて10期連続増収を達成しました。

   一方、営業利益は右肩下がりが続いています。2021年11月期は4期前の半分以下となる9億6400万円にまで落ち込み、営業利益率は1.3%に悪化しています。

   業績伸び悩みの要因としてキャンドゥは、コロナ禍による「大都市店舗の売上減少、テナントとして出店している商業施設の営業時間の短縮」などをあげています。

   なお、2022年11月期の業績予想は、売上高が前期比4.9%増の767億円、営業利益が同9.9%増の10.6億円となる見込みです。

   ちなみに、競合のセリアの2021年3月期決算は、売上高が2006億8200万円(キャンドゥの2.7倍)、営業利益が212億6900万円(同22倍)。営業利益率は10.6%で、キャンドゥより9.3ポイントも高いです。

FC店の割合が3分の1強を占める

   キャンドゥは「日用雑貨及び加工食品の小売店舗チェーン展開を主たる目的とした単一事業」の単一セグメントですが、「日用雑貨」「加工食品」「その他(FC店への消耗品売上高等)」の3つの商品区分があります。

   2021年11月期の販売実績は、日用雑貨が618億9800万円で全体の84.6%を占めており、加工食品が110億5500万円で15.1%、その他が1億7600万円で0.2%です。 店舗数は全社で1180店舗。直営店の地域別出店状況は、関東が341店舗(全体の34.6%)、近畿が138店舗(同11.7%)、中部が85店舗(同7.2%)、FC店が409店舗(同34.7%)です。

   ちなみに、競合のセリアの2021年3月期末の店舗数は、直営店1742店舗、FC店45店舗の計1787店舗。売上高はキャンドゥの2.7倍ですが、店舗数は1.5倍にとどまっています。

   なお、セリアはFC店舗数の割合が低く、全体の2.6%。直営店中心で運営しており、これが収益性の高さを支えています。また、セリアは直営店に占める割合が関東甲信越地方(549店舗、31.5%)に次いで東海北陸地方(368店舗、21.1%)が高く、緊急事態宣言の発令による外出自粛などの影響がキャンドゥより小さくて済んだのかもしれません。

   コロナ禍の収束により、100円ショップ業界は好調だった衛生関連用品や巣ごもり商品の売り上げが伸び悩む恐れがあります。

ジワリと進む高齢化、平均年齢40歳代に乗る

   キャンドゥの2021年11月期末の従業員数は単体586人、連結600人。4期前の2017年11月期末の単体618人、連結632人から、それぞれ5%程度ずつ減っています。

   ちなみに、競合のセリアは2021年3月期末の従業員数が単体470人(関係会社なし)。売上高がキャンドゥの2.7倍あるセリアですが、従業員数ではキャンドゥより少なくなっています。

   キャンドゥの平均年間給与(単体)は、2021年11月期は425.4万円。前期比で17万円減っています。平均年齢は40.7歳、平均勤続年数は14.2年で右肩上がりに高齢化が進んでいます。

   キャンドゥの採用サイトを見ると、新卒採用求人には2015年4月の実績が掲載されたままで、中途採用の求人もありません。ここ数期は積極的な採用を行っておらず、若手の入社がないため平均年齢や平均勤続年数が上昇している可能性があります。

   ちなみに、競合のセリアは、2021年3月期の従業員の平均年齢は39.1歳、平均勤続年数は9.1年で、平均年間給与は622万2000円。キャンドゥよりも平均勤続年数が5年ほど短く、給与は200万円近く高いです。

   イオンによる株式の公開買付(TOB)が完了し、キャンドゥは2022年1月5日にイオンの子会社となりました。キャンドゥは引き続き東証一部の上場を維持します。

   1月14日には「キャンドゥ×イオン 5か年計画」を発表。事業計画の方針として「イオングループとの協業によるお客さま満足の最大化」を掲げ、「販路の拡大」「商品・ブランドの差別化」「企業価値の向上」の3つの戦略で、イオングループとのシナジーを最大化していくとのことです。

   これにより、2021年11月期には約730億円だった連結売上高を、2026年11月期には1250億円にまで伸ばす計画です。また、営業利益は9.6億円から62.5億円へ、営業利益率は1.3%から5.0%へ大幅改善するとしています。

   イオンのTOB発表を受けて、キャンドゥの株価は昨年10月に2500円台後半まで上昇しましたが、年明けには1900円台まで下落。その後、3月初旬の2000円台から徐々に上昇しています。(こたつ経営研究所)