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東大・京大・早慶・旧帝大...「就職人気企業ランキング」すべてで1位になった企業とは? 商社、メガバンク、IT、コンサルの「ビッグ4」人気は堅調

   2022年6月1日から来年(2023年)春に卒業する大学生らを対象にした企業の採用選考が「解禁」になった。

   しかし、学生の就職活動は事実上、終盤戦に入っている。旧帝大や早慶などのいわゆる「最上位校」といわれる大学生たちはどんな企業の就職を希望しているのか。

   新卒採用支援サービスの「リーディングマーク」(東京都港区)が2022年5月31日、「2023年卒・旧帝大/早慶 新卒就職人気企業ランキング」 を、発表した。

   総合商社、メガバンク、IT、コンサルティングの「ビッグ4」の人気が堅調であることがわかる。

  • 「内定がとれた!」と喜ぶ大学生(写真はイメージ)
    「内定がとれた!」と喜ぶ大学生(写真はイメージ)
  • 「内定がとれた!」と喜ぶ大学生(写真はイメージ)

ダントツ人気は三菱商事 研修・教育制度充実

   調査結果の最上位校(※)のベスト100位を見ると――(図表1、図表2参照)。総合商社、メガバンクを筆頭に金融の人気が好調なことが目立つ。

(図表1)最上位校の就職人気企業ランキング1位~50位(一部同率順位、リーディングマーク作成)
(図表1)最上位校の就職人気企業ランキング1位~50位(一部同率順位、リーディングマーク作成)
(図表2)最上位校の就職人気企業ランキング51位~100位(一部同率順位、リーディングマーク作成)
(図表2)最上位校の就職人気企業ランキング51位~100位(一部同率順位、リーディングマーク作成)

   1位から4位まで総合商社が並んだ。三菱商事は、2年連続で1位を獲得。地域を問わず、どの大学からも人気が高く、志望者のすそ野が広がっている。ほかの調査でも1位になることが多いが、研修・教育制度が非常に充実しているうえ、「配属面談」があり、上司が本人にじっくり話を聞いたうえで配属先を決めることも人気の秘密といわれる。

   メガバンクでは、昨年過去最高の6位になった三井住友銀行も引き続き高い順位を維持。三菱UFJ銀行もトップ10入りを果たした。日本政策銀行は31位から16位に一気にアップ。

   今後も業績拡大が見込まれるIT、通信業界の人気に拍車がかかる結果となった。IT・通信業界が年々志望する学生層が広がり、今年も順位が軒並み上昇した。楽天(14位⇒12位)、NTTデータ(19位⇒13位)、NTTドコモ(68位⇒44位)、KDDI(64位⇒37位)を筆頭に、ランキングに入っていなかったヤフー(41位)もトップ100にランクイン。

   外資系を含めてすでに選考が進んでいるコンサルティングファームの人気も根強い。野村総合研究所は10位から5位に上昇。アクセンチュア(32位⇒19位)、PwCコンサルティング(48位⇒29位)、デトロイト トーマツ コンサルティング(87位⇒49位)、アビームコンサルティング(109位⇒49位)、ボストンコンサルティング(145位⇒73位)といった案配だ。

(※)最上位校は、旧帝大(北大、東北大、東大、名大、京大、阪大、九大)、慶大、早大、一橋大、東工大、神戸大を指す、としている。

バランスの東大、地域色豊か京大、メディア&「ミニ東大」な早稲田、銀行好きの慶應

   一方、個別の大学を見ると――。

   東京大学は、三菱商事(1位)から丸紅(5位)までベスト5に総合商社がずらりと並んだ=図表3参照。また、メガバンクの三井住友銀行(11位)、三菱UFJ銀行(同)、コンサルティングのアクセンチュア(13位)、ボストンコンサルティング(15位)、ITのGoogle(18位)と、バランスよく人気上位の「ビッグ4」を押さえた印象だ。

(図表3)東京大学の就職人気企業ランキング1位~30位(一部同率順位、リーディングマーク作成)
(図表3)東京大学の就職人気企業ランキング1位~30位(一部同率順位、リーディングマーク作成)

   これに対して京都大学は、地域色がよく表れている。サントリーホールディングス(5位)、関西電力(11位)、JR東海(14位)、JR西日本(14位)と、地元優先で関西・中部・西日本に本社がある企業が4社もランクインしている=図表4参照

(図表4)京都大学生の就職人気企業ランキング1位~30位(一部同率順位、リーディングマーク作成)
(図表4)京都大学生の就職人気企業ランキング1位~30位(一部同率順位、リーディングマーク作成)

   早稲田大学は、昔からメディア関係に進む学生が多いと言われてきたが、博報堂(21位)、電通(30位)がランクインしたことが目を引く=図表5参照。ただ、1位から4位までに総合商社が並び、また、5、6位、26位がメガバンク、さらに12位、16位、21位にコンサルティングが入り、ITも7位、29位としっかりバランスよく押さえている点で、「ミニ東大」の印象も受ける。

(図表5)早稲田大学生の就職人気企業ランキング1位~30位(リーディングマーク作成)
(図表5)早稲田大学生の就職人気企業ランキング1位~30位(リーディングマーク作成)

   一方、慶應義塾大学は、昔から金融関係に強いと言われてきたが、ランキングに如実に表れている。三井住友銀行(2位)、三菱UFJ銀行(4位)、日本政策投資銀行(9位)、三菱UFJ信託銀行(15位)、三井住友信託銀行(15位)、みずほファイナンシャルグループ(21位)、農林中央金庫(27位)と、7行もランクインした=図表6参照。こんなに金融機関が好きな大学はほかにないだろう。

(図表6)慶應義塾大生の就職人気企業ランキング1位~30位(一部同率順位、リーディングマーク作成)
(図表6)慶應義塾大生の就職人気企業ランキング1位~30位(一部同率順位、リーディングマーク作成)

どこでも使えるスキル、キャリアを求める就活生

   リーディングマークでは、今回の結果について、

「学生が企業を選択する際に重視する項目として、2011年の調査後初めて『将来のキャリアへの良い関連性』が2位にランクインしました。自身のキャリア形成をより意識して企業を選択する傾向が強まることが考えられます」
「自身のキャリアを中長期的に考える学生が増えていることがうかがえます。入社後、自分を高められるような仕事内容や社内のキャリアステップがあるか、社外でも生かせる汎用的なスキルが身につくのかなどの点を学生が重要視することが予測されます」

という見方を示している。

   調査は、2022年2月21日~3月10日の期間、リーディングマークが主催した企業の合同説明会の参加者やウェブアンケートによって、東京大学、慶應義塾大学、早稲田大学、東京工業大学、一橋大学、京都大学、大阪大学、神戸大学、北海道大学、東北大学、名古屋大学、九州大学の計12大学を対象に行われた。2146名(文系58.5%、理系40.2%、その他1.3%/男性73.7%、女性26.3%)が回答した。

(福田和郎)