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テレワークで感じるストレスは? 最多は「仕事とプライベートの区別ができない」

   いまや新たな働き方として定着したテレワークだが、働く人にとってのストレスはどうなのだろうか――。

   そんな疑問の答えを、LASSIC(ラシック/東京都港区・鳥取県鳥取市)が運営する「テレワーク・リモートワーク総合研究所(テレリモ総研)」がおこなった調査「テレワークにまつわるストレスに関する変化」で明かしている。調査結果は2022年6月7日に公開された。

  • テレワークで感じるストレスは?
    テレワークで感じるストレスは?
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気になるのは「『時間内に収めよう』という意識の低下」

   テレワーク経験のあるワーキングパーソン(20歳~65歳の男女1035人/2021年9月27日~30日)を対象としたこの調査では、「コロナ禍が落ち着いた後、希望する働き方」について聞いたところ、最多は「完全テレワーク(24.9%)」で、「週2テレワーク」(19.9%)、「週3テレワーク」(18.1%)と続いている=図表1参照

(図表1)コロナ禍が落ち着いた後、希望する働き方は?(LASSICの作成)
(図表1)コロナ禍が落ち着いた後、希望する働き方は?(LASSICの作成)

   また、テレワークとなり、ストレスを感じたかどうかを聞くと、ストレス傾向にある人は、男性で45.6%(「ストレスをよく感じる」「ストレスをたまに感じる」の合計)、女性で43.1%(同)だった。反対に、ストレス傾向になかった人が、男性で54.4%(「ストレスはあまり感じない」「ストレスはまったく感じない」の合計)、女性で56.9%(同)という結果になっている=図表2参照

(図表2)テレワークになって、ストレスを感じますか?(LASSICの作成)
(図表2)テレワークになって、ストレスを感じますか?(LASSICの作成)

   この結果に対して同社は「2020年から2021年のあいだに『ストレスを感じている』『どちらかといえば、ストレスを感じている』と回答した人の割合は、男性は5%程度、女性は10%程度増加しました」と指摘したうえで、次のように解説している。

「『場所』の違いによって否応なく切り分けられるオフィスワークと違い、テレワークは仕事とプライベートの区別が曖昧になりがちです。テレワークが始まった時点ではあった緊張感が、慣れてくるにつれてより曖昧になってしまったのではないかと考えられます」

   では、具体的にストレスの理由はなんだろうか――。調査結果では、男女とも最多だったのが「仕事とプライベートの区別ができない」で男性61.1%/女性60.3%。次いで「上司、同僚とコミュニケーションが取りづらい」が男性40.2%/女性41.6%、「長時間労働になっている」が男性23.8%/女性19.2%、「社内の情報、ノウハウの共有が難しい」も男性23.0%/女性19.2%が上位にあった=図表3参照

(図表3)ストレスの理由は?(LASSICの作成)
(図表3)ストレスの理由は?(LASSICの作成)

   とくに図表3を見ると、「長時間労働になっている」の項目では、男性の割合が高いのが目につく。これに対して、同社はこう指摘した。

「テレワークにおける長時間労働は、『残業』だけにとどまりません。自宅であれば、一旦仕事を終えても、すぐに再開することができてしまいます。終業時間後、夕食や家事を済ませてからまた仕事に戻る、あるいは、早起きして始業時間前から仕事を始めるといった話もよく聞かれるようになりました。
関連して、『時間内に収めよう』という意識が低下したことで、集中力、緊張感が削がれ、結果、こなしている作業量は変わらないのに、労働時間ばかりが長くなっていく悪循環に陥っていることもあります」

   また、今回の調査結果に対しては、次のように総括している。

「充分に検討されることなく、なし崩し的に決まってしまったルールや、いまだ明確なルールが存在せず『何となく』おこなわれている習慣が多数存在し、それらがストレスを生む原因となってしまっています。
しかし、この状況には会社、スタッフ双方の努力によって、改善していける余地が多くあるともいえるのではないでしょうか。まだ歴史の浅いテレワークに『正解』はありません。『ここが不満』、『こうして欲しい』といった要望を積極的に発信していくことこそ、お互いにストレスのないテレワークを実現する第一歩となるのではないでしょうか」