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スタートアップ投資ならば、およそ2倍稼げるってホントか?【馬医金満のマネー通信】

   みなさん、こんにちは。馬医金満です。

   スタートアップ投資について、おもしろいデータを見つけました。調査会社Preqin(プレキン)が、2000年以降に組成された国内120のファンドを調べたところ、2010年から17年に組成されたファンドの投下資本に対するリターン(ネットマルチプル=投資尺度のこと。類似する上場会社の評価倍率をもとにして、評価対象会社の価値を算定する方法)の中央値は1.2倍から4.0倍の範囲のレンジに収束しているといいます。

   中央値を単純平均すると2.1倍と、おおむね出資額の2倍程度は稼いでいる計算となります。

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踏ん張る株価 世界は投資マネーで溢れている!

   「おもしろデータ」があります。ファンドの組成時期によって、投資に当たりハズレがあるというデータです。前出のプレキンによると、最も高い4倍を記録したのは2012年組成のファンドで、ネットIRR(Internal Rate of Returnの略。内部収益率)は30%近くになっています。

   その理由としては、2012年は08年のリーマンショックの影響でお金の出し手が少なく、未上場企業の株価が安かったことが挙げられると思います。

   その後、アベノミクスによる金融緩和を受けて景気が回復し、投資回収期の2017年~21年はIPO市場が活況だったことが追い風となりました。

   その一方で、直近5年に組成されたファンドに関しては、少しずつリターンが下がっている傾向にありますが、これもおもしろい状況です。

   アフターコロナにあって、個々の企業や国への悪い影響はこれからが「本番」といわれています。急激な円安や株安、資源高、食料不足......。加えて、新型コロナウイルスの感染拡大やロシアのウクライナ侵攻で、世界情勢はかつてないほど混とんとしてきました。

   ところが乱高下はするものの、意外なほど株価が堅調なのは、よくも悪くもゼロ金利に置いておけても儲からない、年金や保険などの巨額の投資マネーが世界に溢れているからです。投資マネーは楽観的に先を読んで、株式や利回りの高い資産に向かっているわけです。

プロ投資家限定、未上場株をPTSで売買

   また、関連するニュースとして、金融庁が機関投資家などのプロの投資家限定で、取引所を介さない私設取引システム(PTS)を使って未上場企業の株式の売買を可能にする方針を示したことも、おもしろいと思います。

   未上場株は、文字どおり証券取引所に上場(公開)していない株式で、会社の許可なく譲渡することができません(会社法上の譲渡制限付き株式)。市場に流通していないので、個人では買うことが難しいわけです。

   その一方、スタートアップを含む未上場株の取引が活性化すれば、より多くの企業の資金調達に資することになります。さらには株式公開(IPO)を目指す企業が増えてくることも見込めます。今後のパフォーマンス向上に向けて、こちらも注目すべきニュースかなと思います。

   では、また!

(馬医金満)