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「人類の辛抱と長蛇」から55年...2025年「大阪・関西万博」は待たずに入れる万博に期待!

   あと3年に迫る、大阪・関西万博。当然ながら混雑が予想されるため、交通マネジメントは課題のひとつである。

   では、どういった対応がとられるのだろうか――。2022年6月9日、2025年開催の大阪・関西万博の交通アクセスに関する基本方針の発表会が行われ、そのあたりの事情が明らかになった。

   発表会によると、会場となる大阪・夢洲(ゆめしま)に向けて、陸海からのアクセス改善のためのインフラ改善を今後進めるとともに、来場者の集中を避けるため、あらかじめ入場できる期間を指定するチケットコントロールが行われるのだという。

  • 万博輸送で大増発される中央線に導入予定の大阪メトロ400系
    万博輸送で大増発される中央線に導入予定の大阪メトロ400系
  • 万博輸送で大増発される中央線に導入予定の大阪メトロ400系

鉄道・道路・航路で会場へのアクセスを整備

   大阪・関西万博は25年4月13日~10月13日に大阪市此花区の人工島・夢洲で開催される。

   現在、夢洲への交通手段は、マイカーか、大阪メトロ中央線コスモスクエア駅からのバスを利用するしかない。現状では、鉄道も直結していない。

   しかし今後、大阪メトロ中央線を夢洲駅(仮称)まで延伸させて、会場アクセスへのメインルートとする(2024年度開業予定)。

   主催する「2025年日本国際博覧会協会」が想定する1日あたりの来場者は、最大28.5万人。

   うち4割の約11.8万人を大阪メトロ中央線が担う。そのため大阪メトロでは、中央線の1時間あたりの運転本数を現行の最大16本から24本に増発する。万博期間中、中央線・御堂筋線など万博輸送のメインルートを担う路線でも150%以下の混雑率を目指す。

   万博輸送に備え、中央線ではすでに新型車両として400系と30000A系の導入が決定。30000A系はこの6月に中央線での試運転が始まった。

万博会場(夢洲)と駐車場の位置関係
万博会場(夢洲)と駐車場の位置関係

   また、バスでは、大阪府内の主要エリアから会場直結のシャトルバスを運行する計画だ。具体的に、発着場所は、大阪駅(梅田)・なんば・天王寺・新大阪・中之島・上本町などのほか、大阪空港(伊丹)・関西空港・堺など大阪市外からの運行も検討が進んでいる。

   そして、マイカーでの来場者対応は、舞洲・尼崎・堺の3か所に駐車場を設営し、夢洲エリアの混雑を回避する。

   また、夢洲の地理的条件を活かし、夢洲北岸船着場へ船舶路線を開設する計画であることも明かされた。

「まだ具体的に決まってはおりませんが、船舶事業者の協力をいただいて、神戸方面や大阪市内の河川舟運との連携、大阪港内の移動ができるようになることを考えたい」(協会の担当者)

   「水の都」大阪らしい万博アクセスルートが整備される可能性も示されたかたちだ。

   大阪湾に突出した夢洲は、陸路だけでなく、尼崎・神戸など大阪湾岸から海路でアクセスできる可能性もある。会見では、マイカー向けの駐車場(舞洲・尼崎・堺)からは万博会場へ船でアクセスできるか、という質問が出て、

「現在はパークアンドライドバスでの運行を予定しておりますが、舞洲駐車場からは船舶も活用できるか検討したい」

と協会は答えた。

ポイントは「交通の平準化」...「待たずに気持ちよく来てほしい」

   来場者輸送基本方針における重要なテーマとして協会は、「交通の平準化」を挙げた。

   そこで、万博では、来場者に向けてチケットコントロールシステムを導入し、入場できる時間帯や日時を設定した入場券を発売する。

「前売り券を買っていただいたら、予約については何カ月前かに開始するようなイメージ」(協会の担当者)

   また、万博期間中の交通機関の混雑緩和のため、大阪メトロの沿線企業にテレワークの実行を呼びかける。

   1970年の大阪万博では、その会場の混雑ぶりから、「人類の辛抱と長蛇」とも揶揄されたが、2025年の大阪・関西万博では、

「並んだり待ったりがなく、待たずに気持ちよく来ていただきたいと思います。また、一般交通と万博交通双方が安全で円滑に移動できる輸送を目指しています」

と協会の担当者が語るなど、陸と海の交通を活かし、密のない博覧会を目指す考えだ。

   協会では、この基本方針をもとに2022年秋頃までに具体的なアクセスルートを策定。また、万博開催までにインフラの整備や、一般交通をコントロールする実証実験を進めていく。