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20代男性の4割「デート経験がない!」...衝撃の政府調査に「わかるなあ」「自信なくしている」と共感の渦

   20代男性の4割が「デートの経験がない」、また7割が「配偶者、恋人がいない」――。

   こんな「現代恋愛事情」が2022年6月14日に内閣府が発表した「2022年版:男女共同参画白書」で浮き彫りになった。30代独身男女の4人に1人が「結婚の意思がない」ことも明らかに。

   政府関係者は「未婚や晩婚化、少子化に拍車をかける」と憂慮するが、インターネット上では「わかるなあ」という共感の声があがっている。

  • デートは楽しいはずなのに…(写真はイメージ)
    デートは楽しいはずなのに…(写真はイメージ)
  • デートは楽しいはずなのに…(写真はイメージ)

独身男女の「デート格差」が広がる

   今年の「男女共同参画白書」は、結婚や家族のあり方が多様化しているとして、「人生100年時代における結婚と家族~家族の姿の変化と課題にどう向き合うか~」という特集を組んだ。その中で、独身の男女が増えている問題が取り上げられた。

   白書によると、2021年の婚姻数(速報値)は約51万4000組と戦後最少になった。1980年に比べると2020年の時点で、20歳以上の独身女性(単独世帯)は3.1倍に、独身男性(同)は2.6倍に増加している。

   そこで、20代~30代の結婚に関する意識を調査した。「配偶者、恋人はいるか」と聞くと、20代男性の7割近い65.8%が「配偶者、恋人はいない」と答えた。30代男性では「いない」が35.5%に。一方、女性では「配偶者、恋人はいない」と答えた20代は約5割の51.4%、30代では27.0%と、男性よりも「配偶者、恋人がいる」人が多い。

   男女差がさらに出たのは、20代~30代の人に「これまでデートした人数」を聞いた調査だ。20代独身男性の約40%が「ゼロ」と答えたという。ちなみに、20代独身女性で「ゼロ」と答えた人は約25%だけ。30代でも「ゼロ」と答えた独身男性が約35%なのに対し、独身女性は約20%だけと、男女の「デート格差」が広がっている=図表1参照

(図表1)これまでデートした人数の男女別比較(内閣府の男女共同参画白書より)
(図表1)これまでデートした人数の男女別比較(内閣府の男女共同参画白書より)

   また、婚姻歴のない20代~60代の独身男女に「結婚する意思があるか」と聞くと、「結婚意思はない」と答えたのは、女性は20代で14.0%、30代で25.4%。男性は20代で19.3%、30代で26.5%となった=図表2参照。30代では男女とも4人に1人が結婚する意思がないことになる。

(図表2)今後の結婚願望(独身者)(内閣府の男女共同参画白書より)
(図表2)今後の結婚願望(独身者)(内閣府の男女共同参画白書より)

結婚しない理由1位は男女とも「自由でいたい」

   いったい、なぜ結婚する意思がないのか。その理由を複数回答から探ると、ここでも男女差がはっきり出た。女性(20代~30代)では「結婚に縛られたくない、自由でいたい」(48.9%)、「結婚するほど好きな人に巡り合っていない」(48.8%)、「結婚という形式にこだわる必要性を感じない」(41.0%)がダントツに高いトップスリーとなった=図表3参照

(図表3)積極的に結婚したいと思わない理由(内閣府の男女共同参画白書より)
(図表3)積極的に結婚したいと思わない理由(内閣府の男女共同参画白書より)

   一方、男性では(20代~30代)では、1位「自由でいたい」と2位「好きな人に巡り合っていない」は同じだが、3位に「結婚生活を送る経済力がない、仕事が不安定」(36.0%)が浮上した。

   また、女性では「名字・姓が変わるのが嫌・面倒」と「仕事・家事・育児・介護を背負うことになる」が男性よりも突出して高いことも特徴だ=再び、図表3参照

   6月14日、野田聖子・少子化担当大臣は会見で、「デートをしたことがない20代男性が4割」などの結果についてどう思うか問われた野田氏は、

「最近の20代男性には自分だけで過ごせるような多様なツール、たとえばネットなどが増えてきたこともあると思う」

と感想を述べた。そして、

「アンケートの中では、『結婚したい』と望んでいる未婚の男女が多数いらっしゃる。その人たちが抱えている目の前のいろんな事情を丁寧に一つひとつ解決していくことが大切だと思う」
「ひと昔前、私たちの時代には対面で出会っていないとなんとなく後ろめたい、みたいなところもあったが、むしろ今はオンラインでつながっていくことが主流になってきている。(中略)。(それらも活用し)さまざまな角度で応援したい」

と、政府支援の「婚活」に意欲を燃やしたのだった。

「みんな自信をなくしちゃっている」

ビーチでウエディングをするカップル(写真はイメージ)
ビーチでウエディングをするカップル(写真はイメージ)

   今回の調査結果について、ヤフーニュースのヤフコメ欄ではさまざまな意見が相次いだ。20代男性のデート経験が少なく、恋人のいない人が多い結果については――。

「子どもはできたらできたで、産まれたら何とかなるだろう...という背景が今の日本にはない。各々自分が生きるのが精一杯で、若者の心に余裕が生まれない限り出生率は上がるわけがない。すべて経済環境に戻ってくる話だと思います。確かにお一人様の楽しみ方は現代では無限に増えているので、デートやらの恋愛が減るのは必然とも言える」
「みんな自信をなくしちゃっている。給料は安いままだし、定年まで同じ会社で働ける保証もないし、非正規雇用ならなおさら、自分のことだけで精一杯。都会に暮らしていたら住む家を買うことなんかとっても無理。買えたとしても一生そのローンの為に働き続けなきゃならない。自分の相手を幸せにする自信なんて持てないですよ」
「娯楽の少なかった昔とは違って、今は自宅に1人で居ても十分に趣味や好きなことを満喫出来て、欲求を満たせる時代ですからね。1人で寂しいと思う人も減ったでしょうし、恋愛は楽しいこともある反面、煩わしいことも多いですし。また、オタク文化も市民権を得たし、結婚しなくても白い目で見られることも減ったし、個人の意思が尊重されるようになってきたので、恋愛や結婚にメリットを感じない人は(若者に限らず)増えて当然の時代だと思います」

   また、結婚しなくてはいけない風潮には疑問だという意見も寄せられた。

「そもそも、結婚すべし、という考えの根底にあるのは、『家』という概念に縛られているからであって、個人が幸せになるためにではない。個人が幸せになるための結婚をというなら、その個人たちが望むなら夫婦別姓だっていいよ。戸籍入れなくても事実婚でもいいよ。男性同士、女性同士でもいいよ。各々が望む結婚の形でいいよ、と認められるはずなのに、そうはならないことから、個人よりも家だ、社会のためだ、みたいなものが優先されている証拠」
「まあ、バブルの時代と同じ感覚で交際やデートというのは、今の時代は望めませんからね。若い人でもお金をじゃんじゃん使えた時代だからこそ、異性とデートすることで、キラキラした体験を積むことができた。(中略)今の時代、SNSなどで『キラキラした自分』を発信することのほうが、自己顕示欲や承認欲求を満たしてくれることになるわけ。(中略)男女交際に現代社会に溢れ返っている娯楽以上のメリットがない限り、この流れはどうにもならないと思います」

無気力だった息子を変えた「結婚による心の充実」

家族を持つと人生が変わる(写真はイメージ)
家族を持つと人生が変わる(写真はイメージ)

   女性の意識を変えないと若い男性が委縮するという指摘もあった。

「地方で20代なら月収20万円くらいの人が大勢いるのに、『女性が結婚相手に求めるのは年収500万以上と言う人が大半』とか頻繁に出るニュース記事を見れば、自信をなくす」
「分かる気がするな。バブル末期に大学生だったが、貧乏な下宿生だったから主に経済的な面から好きな女性がいても、幸せにできる自信なんて微塵もなかった。サークルにいた女子も卒業旅行とかみんなでヨーロッパに行ったりしていて、全く生活レベルが違うことを改めて感じたな。(中略)初デートは今のかみさんでしたね。少し歯車が狂えば、今でも独身だった可能性は十分あったと思う」

   一方、20代で結婚している男性からはこんなボヤキの声が――。

「20代で子持ちだけど、今の20代はフルタイム共働きが当たり前。(中略)昔は結婚して女性を養うだけで税金的にも老後の年金も得だった。子どもがいればなおさら。(中略)現在はそれがなくなり、児童手当も今じゃ月1万円ですよ。子どもたちは頻繁に熱を出すから夫婦で休みを調整して、予防接種とそれにPTAや地域の事まで。(中略)物価が上がり、毎年服も下着も靴も水着も買い換えなければいけない子育て世帯には大打撃ですよ」

   だからというわけではないが、独身を貫く40代男性からはこんな声が寄せられていた。

「20代後半で一生独身と決めてから家を建て、40代前半でローンの支払いが終わった。ローンの支払い中は自由に使えるお金も少なかったので、女性との付き合いなんて当然できない。(中略)今は貯蓄もしている。まだまだ働けるから独身の老後に向けて準備している。今なら結婚して子供を作っても育て切れるだけの財産も貯金も環境も揃っている。(中略)でも、こんなおっさんと結婚したい女性なんて存在しないし、婚活自体楽しいものではない。正直、独身でも毎日楽しいし特に困ることもない、万が一結婚しても相手によっては今の楽しい生活が壊れるリスクもある。結局この歳だと自動的に生涯独身確定よ」

   最後に、「親」の立場からの「結婚賛歌」も紹介したい。

「息子は金遣いが荒く、無気力で、面倒くさがりで、心配だらけでしたが、彼女ができて結婚し、赤ちゃんができたらまるで別人のように変わりました。仕事も真面目に働くようになり、少ない収入を必死にやりくりして、無気力だったのが嘘のように明るくなって幸せそうなんですよね。お金も時間も自由じゃなくなるし面倒くさいかもしれないけど、それ以上に心の充実が人には大事なことだと、教えてもらいました」

   なお、白書は内閣府が昨年(2021年)12月~今年1月に調査を行い、20代~60代の2万人から回答を得た。

(福田和郎)