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くら寿司社員の平均給与はいくら? 気になる業績推移や平均勤続年数もチェック!

   上場企業の財務諸表から社員の給与情報などをさぐる「のぞき見! となりの会社」。今回取り上げるのは、回転すし店「無添 くら寿司」のチェーン展開を営む、くら寿司です。

   くら寿司は1977年に大阪・堺市で創業。2001年に現ジャスダック、2004年に東証二部へ上場し、2005年に東証一部に指定替えしています。2009年には北米へ出店し、2019年に米NASDAQ上場、2020年に台湾TPEx上場も果たしています。

  • 今回は「くら寿司」に注目(写真はイメージ)
    今回は「くら寿司」に注目(写真はイメージ)
  • 今回は「くら寿司」に注目(写真はイメージ)

52億円の助成金収入で最終黒字転換

   それではまず、くら寿司の近年の業績の推移を見てみましょう。

   くら寿司の売上高は右肩上がりを続けており、2019年10月期には24期連続増収を達成しました。

   2020年10月期はコロナ禍の影響で連続増収がストップしましたが、国内事業の連続増収は継続。2021年10月期には過去最高売り上げを更新しています。

   一方、営業利益率は2019年10月期に4.0%に下がり、2020年10月期には0.3%に。2021年10月期にはマイナス1.8%の営業赤字に転落しています。

   最終損益は、2020年10月期に2億6200万円の赤字でしたが、2021年10月期には19億100万円の黒字に転換。これは、営業時間短縮に伴う助成金収入52億3300万円が営業外収益に計上され、赤字を穴埋めしたものです。

   2022年10月期の業績予想は、売上高が前期比28.0%増の1888億6900万円、営業利益が28億2700万円(営業利益率1.5%)、最終利益は同51.4%増の28億7800万円となる見込みです。

海外は北米と台湾に出店

   くら寿司は「飲食事業」の単一セグメントでしたが、2021年10月期の第2四半期より「日本」「北米」「アジア」の3区分のセグメントに変更しています。

   2021年10月期の売上高構成比は、日本が89.1%と大半を占め、北米が4.7%、アジア(台湾)が6.2%でした。セグメント利益は、日本のみが44億5100万円の黒字で、北米は10億8000万円の赤字、アジアも1億3600万円の赤字でした。

   日本は、約9割の店舗で時短営業の実施や酒類提供の中止などの営業制限を受けたものの、既存店売上高がコロナ前の水準に回復しています。「ビッくらポン!」で「鬼滅の刃」など人気アニメのグッズが当たるキャンペーンを実施したことなどが功を奏したようです。

   また、コロナ禍にありながら、都心の駅前エリアをはじめとする出店を強化したこと(日本30店、米国7店、台湾11店)が増収につながっています。2021年10月期末現在の店舗数は、すべて直営で567店舗です。

   なお、北米は2021年6月まで、台湾では同年5月まで厳しい営業制限がありましたが、現在は解除されています。

平均年齢31歳、平均年収453万円

   くら寿司の2021年10月期末の従業員数は単体1,530人、連結2,185人。2017年10月期末と比べて、それぞれ1.25倍、1.42倍増えています。くら寿司の店舗はすべて直営のため、店舗数が増えると従業員数も増えます。

   くら寿司の平均年間給与(単体)は、2021年10月期は453万6011円に。前期比1万円ほどの微減でおさまりました。平均年齢は31.1歳、平均勤続年数は6.8年です。

   なお、業界首位の「スシロー」などを運営するFOOD & LIFE COMPANIESは、売上高2408億円(2021年9月期)で単体従業員214人、平均年間給与は751万5108円。単体の従業員数が絞り込まれ、給与も高めに出ています。

   なお、くら寿司ではコロナ禍にもかかわらず、2023年度の新卒採用を実施しています。募集要項によると、昇給は店長までは毎月1回、店長以降は年2回。決算賞与(年1回)は店長以上に支給されます。

グループ全体で50店舗の出店を計画

   2021年10月期は助成金収入で黒字転換したくら寿司ですが、2022年10月期はコロナ後の需要を取り込むべく、積極展開する予定です。日本30店舗以上、米国・台湾各8~10店舗、グループ全体で50店舗の出店を計画しています。

   2021年12月には佐藤可士和氏プロデュースの「世界一映える寿司屋」を、グローバル旗艦店として東京・原宿に開店して話題となっています。

   なお、くら寿司では「第二の創業期」をうたい、2030年中に売上高3600億円以上、全世界で1100店舗以上という高い目標を掲げました。店舗数も国内700店舗以上、海外400店舗以上と急拡大を目指しています。

   2024年10月期の目標数値として、売上高2200億円、海外売上比率20%、経常利益率5%以上、米国・台湾以外の第三国での新規出店もねらっています。非常に野心的な計画ですが、実現すればかなりの高みに達することになり、期待が膨らみます。

   なお、くら寿司の株価は、2022年3月9日の第1四半期決算で公表されたアメリカ子会社の損失拡大を嫌気して、一時2000円台に急落。その後、3000円台に回復するも、5月27日に2843円の年初来安値を記録しました。現在は、3000円台に回復しています。

(こたつ経営研究所)