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アフターコロナのビジネスパーソンに新たな悩み? 久しぶりに出社したら「ランチフレーション」が待っていた?!(井津川倫子)

   新型コロナウイルス禍で、すっかり浸透したテレワーク。企業が「新しい働き方」を模索するなか、各国でじわりと出社が増えています。

   欧米やアジアの国々では、2020年から約2年間続いた「在宅勤務」を経てビジネスパーソンがオフィスに戻り始めていますが、そんな彼らを「ランチフレーション」が襲っていると、話題になっています。

   「ランチフレーション」は、「ランチ」と「インフレーション」を合わせた造語で、「ランチ代の高騰」という意味。久しぶりに再会した同僚との楽しいランチタイムを心待ちにしていたビジネスパーソンからは、「こんなはずじゃなかった!」といった嘆きの声が聞こえてきます。果たして、日本にも「ランチフレーション」は到来するのでしょうか?

  • いま、各国で「悩みのタネ」のランチフレーションとは?(写真キャプション)
    いま、各国で「悩みのタネ」のランチフレーションとは?(写真キャプション)
  • いま、各国で「悩みのタネ」のランチフレーションとは?(写真キャプション)

「ランチフレーション、100%マジだった!」

   「同僚とゆっくりランチを楽しむ」「ランチ後にカフェでコーヒーを飲む」といった、以前は「当たり前」だったランチスタイルはもう戻ってこないのでしょうか?

   2020年から続くコロナ禍で、「在宅勤務」をしていたビジネスパーソンたちがオフィスに戻り始めています。そんな彼らが直面しているのが「想定外の物価高」。なかでも、オフィスでの楽しみだった「ランチ」の値段が跳ね上がっていて、「もうスタバでコーヒーも飲めないのか!」と、絶望気味の声があふれています。

'Lunchflation' is real. Returning to the office is costing us a fortune
(「ランチフレーション」は本当。オフィスに戻るのは莫大なお金がかかる:米CNN)

   米CNNによると、テレワークから久しぶりの「オフィス出勤」に切り替えた人たちを襲っているのが、物価の高騰。なかでも、新型コロナウイルス禍とウクライナ戦争の影響で高騰に拍車がかかる「ランチ代」が「悩みのタネ」となっているそうです。

   米東部メリーランド州の不動産会社に勤務する女性は、「Lunchflation is 100% real, everything is more expensive」(ランチフレーションは100%マジだった。すべてがもっと高くなっている)と悲鳴をあげています。コロナ前は7ドルちょっとで食べられたランチが、「Now there is no way you can get a decent lunch for less than $15」(もはや15ドル以下でまともなランチは食べられない)ほどに値上がりしているというから驚きです。

   15ドルとは、日本円に換算すると2000円以上になります。インフレが続く米国では、2022年3月の時点で、代表的な昼食メニューであるサンドイッチの価格が前年比14%も高くなっているという調査結果が公表されていました。

   その後、ウクライナ戦争の影響もあって、食用油や小麦粉といった食材の価格が次々に上がっていることを考えると、ランチ代はさらに高騰しているはずです。

   ある米ネットメディアは、以前は、8ドルだったサンドイッチが11ドルになっていることを紹介しつつ、「Going back to the office? Don't fall victim to Lunchflation」(オフィスに戻る? ランチフレーションの被害に合わないでね)と、皮肉たっぷりに警告していました。

「高すぎる昼食」問題、各国で...日本はまだ「お手頃」なほう?

   「ランチフレーション」がビジネスパーソンを悩ませているのは米国だけではありません。

   フランスでは、スターバックスのフラペチーノが5.95ユーロ(約830円)、サンドイッチが5.5ユーロ(約770円)など、日本と比べてグンと高額です。スタバで飲み物とサンドイッチを食べたら1500円以上するなんて......。気軽に立ち寄れない雰囲気です。

   シンガポールや韓国などアジア諸国でも、「高すぎる昼食」が問題になっています。

   シンガポールではランチの定番食「チキンライス」が、韓国では「冷麺」の価格がそれぞれ高騰して「ランチフレーション」のワードが飛び交っているとのこと。

   日本ではまだなじみの薄い「ランチフレーション」ですが、コロナの波よろしく「ランチフレーション」の波も襲ってくるのでしょうか?

   たしかに、久しぶりに再開したなじみの店に行ってみたら、ランチセットの値段が微妙に上がっていたり、以前はセットに含まれていた飲み物が別料金になっていたりなど、外食が値上がりしていることに気づきます。

   それでも、まだ他国に比べたら「お手頃」なのが日本のランチ代です。海外から日本に訪れる知人が一番驚くのが「日本のランチ代の安さ」で、バラエティに富んだ「定食」やコンビニのおにぎりやサンドイッチ、お寿司などの安さに、「日本はサラリーマンにとって天国だ!」と感動しきり。

   じっさい、私もロンドンから帰国した時、毎日コンビニのお寿司やおにぎりを食べながら、「日本のコンビニすばらしい!」「たった398円でこんなに美味しいお寿司が食べられるなんて、幸せすぎる」と興奮しすぎて、同僚にあきれられていました。

   コンビニが存在する限り日本のランチは安泰だと、信じたいものです。

   それでは、「今週のニュースな英語」は、「lunchflation」に関連する表現を紹介します。

The cost of my lunch is going up
(ランチの費用が上がっている)

I bring leftovers form home
(自宅から残り物を持参している)
leftovers:残り物、食べ残し

Starbucks raised prices last month
(スターバックスは先月値上げをした)

I spend around $15 a day for lunch
(だいたい昼食に15ドルくらい使っている)

   この先インフレが加速するにつれて、「ランチ代」もどんどん値上がりするのでしょうか......。報道を見る限り、「外食をあきらめて残り物を持参する」「カップ麺を食べる」といった「処方箋」が万国共通の様子。めぼしい対策がないなか、福利厚生に「ランチ代補助」が加わる日が来るかもしれません。

(井津川倫子)