J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

【100万円増額計画】米ドル「勝負」で明暗! 落とし穴にはまった北大と一橋大 あっぱれな同志社大【FX大学対抗戦 第9節】

   米国経済はリセッション(景気後退)に陥ったのか――。FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長はこれを否定したものの、市場の見方は厳しい。これまで日米の金利差の拡大から円安傾向にあった米ドル円相場が反転した。

   円高ドル安に振れたことで、「市場の反転に振り回された一週間だった」と、北海道大学の金融研究会は振り返る。一橋大学のチームMegisも大きな損益を出してしまった。「テクニカル分析を疎かにしてしまった」と悔やむが、2週連続の大敗でとうとう100万円割れに......。

   同志社大学の岩瀬颯汰さんが負けない。コツコツと今週も利益を積み上げた。

  • 一橋大学が転落! とうとう100万円割れ……
    一橋大学が転落! とうとう100万円割れ……
  • 一橋大学が転落! とうとう100万円割れ……

「FXの沼」にはまってしまった(北大金融研究会)

   こんにちは。今週(7月25日週)は1米ドル=133円台までドルが落ちました。私はといえば、ぎりぎりまでロットを上げ、できる限り稼ごうと意気込んでいたのですが、終始裏目を引いていました。結果、9万円のマイナスです。

   今まで、微小ではありますが収支がプラスだったことから、ロットを挙げればもっと稼げるのではと思いましたが、今までとは違う市場の動きに、歯が立ちませんでした。はっきり言って情けない限りです。

◆ 今週(7月25日週)のトレード
今週のトレードは、「上がると思ってドルに買いを入れたが、下がったため損をした」これに尽きます。日本が金利を上げそうにないこと、またEU(欧州連合)が利上げを発表したことから、景気後退は不安でも結局はドルが上がるのではないかという自分の考えからドルに買いを入れました。
しかし、結果は真逆。今週は結局円が上がりました。リスクを取ろうと思いやった結果で、こうなってしまったのは仕方がないとも思いますが、しかしリスク管理が中途半端だったというのは痛感しています。損切ラインがヘンに厳しく、もっと握っていればプラスにできたトレードもありましたし、それじゃあもう逆指値を注文しないでおこうと思ったら、気づかぬうちにドルが大暴落し、損切りできず大損したりしました。「FXの沼」にはまってしまったような感覚です。

前週からの損益   マイナス9万60円
7月29日現在      91万6860円

◆ ゆかてぃんのワンポイントアドバイス
「FXの沼」にはまってしまったような感覚とのことですが、この取引回数を見るとそれを物語っていますね。同じレートでポジションを複数持っていたり、近いレートで積み増し、ナンピンを使っていたりするように思います。
ポジションを増やすということは、レバレッジを上げるのと同じことなので、必然的にリスクは上がります。今回の取引の勝率を数えてみると50%ちょっとで、リスクリワードが0.64:1でしょうか。つまり、取引回数を増やすとよりマイナスになってしまうという計算になります。一度トレード回数を減らしてみると違った見え方ができるのかもしれません。
さらに、損切りがヘンに厳しく、もっと握っていればプラスになったというのは、ボラティリティに対して狙う利益幅、損切り幅を調整できていないかなと思ったりします。 FXの難しさがこの取引結果に凝縮されていると感じました。ただ、今回デモトレードなので失敗を恐れず、たくさん失敗して成長していければいいのかなと思います。これがデモトレードの良さですね。頑張ってください!
不破 拓人(ふわ・ひろと)
不破 拓人(ふわ・ひろと)
北海道大学農学部3年生
Xトレードは初挑戦。今まではファンダメンタルを基礎とした株式投資を行っていました。今回のFX大学対抗戦では、せっかくのデモトレードということで、テクニカル分析にも挑戦したいです。趣味は映画観賞。最近観た映画の中では「ドライブ・マイ・カー」が推し。
小松 柊太(こまつ・しゅうた)
小松 柊太(こまつ・しゅうた)
北海道大学教育学部3年
北大金融研究会(HFAC)所属。投資は積立投信から始め、半年ほど経つ。FXは試しにかじってみたものの1500円の損失を出し、情報の大切さと難しさを体感。今回、もう少しチャレンジしてみることにした。趣味は旅行、写真など浅く広く。プロフィール写真は今年2月に訪問した納沙布岬。
?北大金融研究会

大敗!「ファンダメンタルズに頼りすぎた」(一橋大学 チームMegis)

   同志社大学チームの総額が200万円に迫り、北海道大学も着実に利益を積みかさねていくなか、我ら一橋大学チームは今回大きな損益を出してしまいました。原因としてはファンダメンタルズ分析に頼りすぎ、テクニカル分析を疎かにしてしまったことが考えられます。

◆ ドル円相場

   今週(7月25日週)、私たちはレンジブレイクの兆候を見せていたり、新たに継続するトレンドを示しそうな通貨ペアをみつけたりすることができませんでした。そこで、長期的な強いトレンドを示していた米ドル円に着目しました。日米の金利差に起因する円安傾向は長期的には継続していくと考えたからです。

   しかし、以前から懸念され続けてきたアメリカの景気減退懸念は、今週円高の大幅な進行という形で現れてきました。28日発表の4~6月期米実質経済成長率(GDP)は2四半期連続で減少しました。またFRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長による利上げはデータ次第との発言から、日米の金利差は思ったより拡大しないのではないかとの見方が広がりました。こうした背景から円買い・ドル売りが進行し、結果的には21日からの一週間で6円を超える円高の進行となりました。

   指標としては27日の時点で移動平均線に着目するとデッドクロスを示しており今回のドル急落が示唆されています。MACD(マックディー)はさらに前の19日から売りサインを示しています。こうしたことを考慮すると、私たちは円安トレンドの強さを過大評価しており実態を見誤っていたことがよくわかります。

   今後のアメリカ経済および円ドルについては先行き不明瞭です。アメリカは現在経済を原油価格の高騰が支えているという側面があり、ロシアのウクライナ侵攻とそれに伴う経済制裁が続く限り、原油高による円安傾向は長期的に見れば続くという見方もあります。

   その一方で、アメリカ経済の景気後退は長引くため、円安傾向は終わりつつあるという見方もできます。FRBによる政策対応の遅れは問題視されており、不適切な施策が原因でインフレ再加速やスタグフレーションにつながるのではないかという指摘もされています。

   アメリカ経済は他国の経済にも大きな影響を及ぼすことから今後も注視していきたいと考えています。

◆ 今週の取引

前週からの損益  マイナス45万9770円
7月29日現在      90万8493円

◆ ゆかてぃんのワンポイントアドバイス
今週(7月25日週)のアメリカの注目材料はFOMC(米連邦公開市場委員会)、第2四半期GDP(速報値)、PCEデフレーターだったと思います。今回のFOMCで特に注目されたのは政策金利を0.75%にするのか、1.00%上げるのかでした。結果は0.75%の引き上げでしたが、日米の金利差はさらに拡大してドル高円安と判断したくなるところですが、それはすでに織り込まれています。
今回の注目は9月のFOMCでの対応です。CPI(消費者物価指数)は7月発表で頭打ちどころか高値を更新してしまいましたが、今週のテーマは景気後退懸念に移っていました。なぜなら、GDPが2期連続でマイナスになると景気後退と判断されるためです。そして、結果はマイナスでした。
現在のCPIの高さは原油などエネルギー価格の高騰が大きな要因となっていますが、景気後退となればエネルギーの需要は勝手に落ちてきますし、現に原油の価格は下がってきています。今回のFOMCを受けて、9月のFOMCでは0.5%の利上げがコンセンサスにもなっています。そう考えると、今年の前半のようにドルを買い続ける理由はなくなってきていると考えられます。といったように、目線を固定して他の材料を排除するのではなく、テクニカルも含め、いろんな材料を吟味して戦略を立てていけると、リスクを避けられるのではないか、と思います。
今回のマイナスは大きかったですが、トレードが改善するきっかけになると良いですね。頑張ってください!
林檎
チームmagis
林檎
一橋大学経済学部1年
一橋大学投資サークルTOWALYに所属しています。ファンダメンタルズ分析を基に株式投資を行っており、FXはまだ初心者です。モラトリアム実践中! 経験が浅いFXでは試行錯誤が続くことと思いますが、みなさんに成長していく姿をお見せしたいと思っています! よろしくお願いします!!
R
R
東京医科歯科大学 医学部医学科
一橋大学投資サークルTOWALYに所属しています。FXの経験はまだ浅いのですが、この一年を通してさまざまなことを吸収し、成長していきたいと思っています。テクニカル分析に興味があります! 1年間よろしくお願いします!

パウエル議長発言に懐疑的(同志社大学 岩瀬颯汰さん)

◆ 今週(7月25日週)の相場の振り返り
今週(7月25日週)は米国経済のリセッション(景気後退)が最も注目すべき出来事であったと思います。28日にFOMC(米連邦公開市場委員会)が行われ、前回に引き続き主要政策金利の0.75ポイントの引き上げを決定するとともに「支出と生産に関する指標の軟化」についての声明を発する結果となりました。
FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長は米国経済がリセッションに陥っていることは否定したものの、4~6月の実質GDP(国内総生産)の速報値は前期比年率で0.9%減となり、2四半期連続のマイナスであることから、リセッションの可能性を否定するのは無理のあることではないかとパウエル議長の発言には懐疑的です。実際28日以降ドル売りが加速し、急激な円高となっており、一時132円となりました。

◆ 実際の取引
今週は大学のテスト週間ということもあり、米ドル円のみの取引に落ち着きました。29日の昼ごろ、3ロットでショート(売り)し、132円に到達した時点で利益を確定しました。

◆ 所感
今週は1ドル=136円あたりで高止まりしていたドル円が28日からの2日間で約5円も下落するという大荒れ具合を目の当たりにできた一週間でした。FOMCの動向は注目していたので早くショート(売り)したいと考えていましたが、ポジションをもつタイミングが遅かったです。リセッションに関しては、少し前から話題になっていましたのでもう少し早く、かつロット数をあげても良かったと思います。次のFOMCは9月とのことで、今後も注視していきたいです。

◆ 今週の取引

前週からの損益  プラス1万8360円
7月29日現在    197万2782円

◆ ゆかてぃんのワンポイントアドバイス
着眼点がプロですね。(笑)恥ずかしながら、私は最近ようやくファンダメンタルズ分析でトレードができるようになってきたところで、ひたすら感心するばかりです。 学業との両立で大変な中ですが、情報を逃さずに入れるところで入れているので、素晴らしいと思います。もう一点素晴らしいところが、丁寧に分析してトレードに臨んでいらっしゃるので、無駄なトレードがないところです。
収支がこれだけプラスになっているにもかかわらず、欲を張らずに着実に資金を増やしていく姿勢はなかなかできないという方も多いと思うので、見習うものがありますね。引き続き頑張ってください!
岩瀬 颯汰(いわせ・そうた)
岩瀬 颯汰(いわせ・そうた)
同志社大学1年
FXは高校時代から独学で学んできており、このたびは自身の実力を試したく、このFX大学対抗戦に臨んでいます。不束者ですが、よろしくお願いします。

◆ ◆ アドバイザーのプロフィール

ゆかてぃん
ゆかてぃん
兼業スイングトレーダー。2019年からFXをスタート。「コロナ相場」に乗り、最高月利益は3000pips以上。現在ラジオNIKKEIで月に1度出演。CXR投資チャンネルでMCを務める。個人でYouTube活動もしている。
得意な通貨はポンドで、最近は仮想通貨も取引。
ツイッター @fx_yukatin
CXR投資チャンネル https://www.youtube.com/channel/
100万円増額計画 FX大学対抗戦のルール
・元本100万円のデモトレードです。
・通貨ペアはフリーとします。
・レバレッジは、25倍を上限(法令に基づく上限)とします。
・取引の過程で大きな損失が発生して資産が「ゼロ」になった(元本割れを起こした)場合は、その時点でリタイアとなります。
・運用期間は6か月で、最終週時点での資産増減額で順位を決めます。

学生投資連合USIC 「学生の金融リテラシー向上」を理念に全国26大学1000人以上で構成。企業団体・官公庁との勉強会の開催、IRコンテストの運営、金融情報誌「SPOCK」を発行する。
http://usic2008.com/