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年収1400万円夫、年収900万円妻に「グータラ仕事しないで、もっと稼いで!」と投稿、炎上! 妻がダラけて見える理由は?...専門家に聞いた(1)

   年収1400万円の夫が、パートだが年収900万円も稼ぐ妻に対し、「グータラしないでフルタイムできちんと働き、もっと稼いでほしい」と望む投稿が炎上状態だ。

   妻は本人にしかできない「特殊な仕事」を在宅でこなしているが、ハンモックで寝たり、ネットサーフィンをしたり、1日に実質2時間しか「仕事」をしない。夫からは怠けて見えて仕方がないが、妻自身は「私はだらけるのが好き。そのため最大限の努力をしている」とすれ違いだ。

   この夫の投稿には「夫婦で年収2300万円の収入があれば十分!」「奥さんのメンタル面も考えてあげて!」と厳しい批判が相次いでいる。一方、夫婦には幼稚園児が2人おり、夫は「自分も家事育児を分担している」と反論。

   人間はいくら収入があれば満足できるのか。夫婦の共働きのあり方も含めて、専門家に意見を聞いた。

  • 在宅ワークでラクをしているわけではない!(写真はイメージ)
    在宅ワークでラクをしているわけではない!(写真はイメージ)
  • 在宅ワークでラクをしているわけではない!(写真はイメージ)

「ネット動画やハンモックで寝て、だらけている」

   話題になっているのは女性向けサイト「発言小町」(2022年7月26日付)に載った「妻にもっと働いて欲しい」というタイトルの男性からの投稿だ。

   夫婦には幼稚園児が2人おり、正規雇用の夫がパート勤務の妻にフルタイムで働くよう望むといった内容だ。

「夫34歳、年収1400万円程度、出来高制のため変動あり。8時に家を出て子供を幼稚園に送り、17時一旦帰宅、子供が寝た後1~2時間働きます。妻35歳、年収900万円程度、固定。15時過ぎに子供を迎えに行きます。子供の幼稚園の休園や病気などの場合は100%対応してくれます。家事は70%」

   そして、こう切り出した。

「問題は妻の勤務時間です。パートタイム契約で、便宜上週30時間の契約になっているのですが、在宅ワークで実際仕事をしているのは平均して(1日に)2時間程度(中略)。
少し特殊な仕事で、できる人があまりいません。私としてはそんなに時間に余裕があるなら、せめてフルタイム勤務になれば年収25%上がるのにと思うのですが、本人はフルタイムになれば今までのように子供が病気の時などに対応しにくくなる、家事を外注しなくてはいけなくなる、と言います。
(中略)ですが、家の買い替えや色々と物入りなので少しでも世帯年収を増やしたいと考えています。どう説得すればよいかお知恵をお貸しください」

   と訴えるのだった。

なぜ妻はフルタイムで働いてくれないのかと悩む夫(写真はイメージ)
なぜ妻はフルタイムで働いてくれないのかと悩む夫(写真はイメージ)

   この投稿に対し、「夫婦で年収2300万円あれば十分ではないか」「もっと家事育児を手伝いなさい!」という批判的な意見が殺到すると、夫は「本音」と「家事分担率」を書いた反論の投稿を再び送ってきた。こんな内容だ。

「妻はだらけているように見える、というのが本音です。在宅だからと家にいる時は着替えもせず、部屋も最低限しか片付いていません。洗濯物も干し忘れていることもたまにあり、私が帰宅後それに気付いて一緒に干す事も。(中略)どうもネットで動画など見ている時間も少なくないようです。
これに関しては妻も昔、『私はダラダラする時間が好きだから、その時間を確保するための最大の努力をしてきた』と言っているのであながち間違っていないと思います」

   と書き、「妻は30分ほどパソコンを触ったかと思えば、2時間ほど置き型ハンモックで携帯をいじって」いるとも付け加えた。

   家事育児の分担については、「たくさんの方に家事育児負担割合を疑問視されたので、ここに具体的に記します」として、

「朝子供の着替え50%(妻が起きられない日が週の半分以上)
自分と子供の朝食の用意(シリアル、妻は朝食べず)
子供の歯磨き50%(1人ずつ)
幼稚園の持ち物用意50%(妻がアレが必要と言って、私が用意)
食洗機の片付け50%(平日2日程度プラス週末)
.........」

   などと10数項目にわたって列挙したのだった。

「ゴミ出し、食洗機...家事協力にカウントする?」の声

在宅ワーク中、ハンモックはどうなの?(写真はイメージ)
在宅ワーク中、ハンモックはどうなの?(写真はイメージ)

   この投稿には、「年収900万円なんて、奥さん頑張っている!」「自分がもっと稼げば?」「奥さんはメンタル面でいっぱい、いっぱいです!」といった厳しい批判が相次いだ。

「奥様のおっしゃる通りだと思います。ある程度、生活に余裕がないと、何かあった時に歯車が狂います。一般的に十分な世帯年収で、奥様の体調に不安があるのにもっと働いてだなんて、ビックリしました。ご自身も、頑張っておられるようなので、奥様にももっと、ということなのでしょうが、あなたの思い描く理想の生活よりも、お二人で歩調を合わせていかれることのほうが大切なように思います」
「パート勤務からフルタイムに戻るには、子供の対応が一番問題、次が家事。育児そのものも、子供の病気対応も、住み込みシッターさんで外注。家事もすべて家政婦さんで外注。奥さんには専用仕事部屋を作り、子供の出入り禁止。子供の声が聞こえたら仕事に身が入らないから、防音完備で。こんな感じで交渉してみればいかがでしょうか?」
「ゴミ出し、食洗機100%で笑った。そんなの家事にカウントする? 子供のお手伝いレベルですよ。(中略)家の中の現状維持って結構大変なんです。そのうえ、子供さんの送り迎えや病気の時のケアもしたうえで年収900万円。これ以上何を望むの? 楽しているように見えるから『ズルい』ってこと?」
夫は幼稚園の送り迎えなどで協力してくれるが...(写真はイメージ)
夫は幼稚園の送り迎えなどで協力してくれるが...(写真はイメージ)

   やはり、子どもが小さいうちはなにかと手がかかるため、「大きくなるまで待てないのか」という意見も少なくなかった。

「せめてお子様が小学生になるぐらいまで、その話は保留に出来ませんか? 今の世帯年収でもお金を必要とし、もっと上の生活レベルを目指すのは凄いと思います。でも、あまり無理をしないで下さいね。お互いを尊重し合える夫婦関係であって欲しいと切に願います」

   あとは、「仕事が出来る奥様への嫉妬では?」という指摘も多かった。

「奥様が羨ましいだけだと思います。別に900万円収入があれば、十分だと思いますけど」
「どう考えたって、あくせく働いでいるあなたより奥様のほうが優秀だよね。そこは認めて、妻を支える気にはならないんだ?」

「グータラしているようで、脳はフル回転しています」の意見

働き方で夫婦喧嘩はしたくないが...(写真はイメージ)
働き方で夫婦喧嘩はしたくないが...(写真はイメージ)

   一方、年収が900万円クラスになると、さまざまな手当の所得制限に引っかかり、収入が少し増えても手取りは変わらないという現実的な計算もいくつか寄せられた。

「私、去年ちょっと稼ぎすぎまして、1200万円を超えました。一昨年は1000万円切るくらい。手取りを比べたらそんなに変わらないんですよ! で、今年は働き方を調整して900万円の働き方に変えました。手取りで考えると900万ぐらいに抑えておくのがベストです。中途半端に稼ぐのが一番ダメ。(中略)ほどほどに稼いで投資でカバーが一番ですよ」

   さらに、投稿者の妻と「同じ働き方」をしている人からは「奥さんはボーっとしているように見えながら、実は脳がフル回転している」と、グータラした態度を擁護する声も寄せられた。たとえば、こんな意見が代表的だ。

「奥様の働き方や家事のやり方、まるで私を見ているようです。私も実働時間は1日に数時間ですが、年収は1000万円を超えています。会社経営をしているので、その利益を入れると2000万円を超えます。
でも、側からみたらぐうたらなダメ人間にしか見えないと思います。家事も苦手です。着替えも面倒。要点を押さえて、そこにものすごい量のエネルギーを注いでいます。(中略)奥様がハンモックでゴロゴロしている時も、ゲームしている時も、実は脳のメモリの何%かは、それに割り当てられているはずです。(中略)奥様のようなタイプにマジョリティーの理論を当てはめてはいけません。せっかくの才能がつぶれます」

「夫婦合わせて年収2300万円、妻はどう思っているのか」

いったいいくら収入があればいいのか?(写真はイメージ)
いったいいくら収入があればいいのか?(写真はイメージ)

   J‐CASTニュース会社ウォッチ編集部では、年収900万円の妻に「グータラしないでもっと働いてほしい」と望む夫の投稿をめぐる論争について、女性の働き方に詳しいワークスタイル研究家の川上敬太郎さんに意見を求めた。

――投稿と回答者たちの回答を読んで率直にどんな感想を持ちましたか?

川上敬太郎さん「夫である投稿者さんが『少しでも世帯年収を増やしたい』と考えていることに対し、妻はどう思っているのか気になりました。ご夫婦合わせて2300万円という年収額は、一般的にはとても多いと感じます。しかし、どれくらいの年収があれば十分と思うのかは人それぞれです。まずは当事者である投稿者さんと妻が、2300万円という年収についてそれぞれどう感じているのか、その認識に違いがあるのか否かを確認する必要があるのではないでしょうか」

   「グータラしないでもっと働いてほしい」と望む夫の投稿について、川上さんのアドバイスも熱を帯びました――。<年収1400万円夫、年収900万円妻に「グータラ仕事しないで、もっと稼いで!」と投稿、炎上! 妻がダラけて見える理由は?...専門家に聞いた(2)>に続きます。

(福田和郎)