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「角川会長逮捕」で注目のKADOKAWA社員の平均給与はいくら? 気になる業績推移や平均勤続年数もチェック!

   上場企業の財務諸表から社員の給与情報などをさぐる「のぞき見! となりの会社」。今回取り上げるのは、出版・映像・ゲームなどさまざまな事業で「グローバル・メディアミックス」を推進するKADOKAWAです。

   KADOKAWAは、1945年に国文学者・角川源義によって創業された「角川書店」が前身。2014年にドワンゴとの経営統合でKADOKAWA・DWANGOを設立し、東証一部に上場。2019年に連結子会社KADOWAKA(初代)の全事業を吸収分割で承継し、2代目・KADOKAWAに商号変更しています。

  • 今回は「KADOKAWA」に注目(写真はイメージ)
    今回は「KADOKAWA」に注目(写真はイメージ)
  • 今回は「KADOKAWA」に注目(写真はイメージ)

ドワンゴの構造改革で利益率が大幅改善

   それではまず、KADOKAWAの近年の業績の推移を見てみましょう。

   KADOKAWAの売上高は2000億円台と大きく、コロナ禍で一時凹みがあるものの右肩上がりの成長傾向にあります。

   それよりも目を引くのが営業利益の伸びです。かつて1%台だった営業利益率は、2020年3月期から回復基調にあり、2020年3月期には8.4%にまで改善しました。

   この要因について、2020年3月期の通期決算資料には「(子会社の)ドワンゴの構造改革により大幅増益」と明記されています。前年の2019年2月13日には、川上量生氏が旧カドカワの社長およびドワンゴの取締役を退き、後任のドワンゴ社長に夏野剛氏が就任しています。

   その後、夏野氏は2021年6月21日付でKADOKAWAの代表取締役社長に就任しました。

   2023年3月期の業績予想は、売上高が前期比7.6%増の2381億円、営業利益が同3.9%減の178億円の見込みです。ゲーム事業が大型新作の端境期となり一時的な微減益を見込んでいますが、会社の中期目標は「2025年3月期までに売上高2500億円、海外売上比率20%、営業利益率10%」を掲げています。

売上高構成比は「出版事業」が58%...営業利益も大半占める

   KADOKAWAの事業は、紙出版・電子出版の「出版事業」、実写・アニメの「映像事業」、「ゲーム事業」、ドワンゴが運営する「ニコニコ」などの「Webサービス事業」、N高やバンタンの教育事業やIP体験施設運営など「その他事業」の5つのセグメントで構成されています。

   2022年3月期の売上高構成比(除く全社・消却)は、出版事業が58.0%と最大で、映像事業が14.4%、Webサービス事業が9.3%、ゲーム事業が8.5%、その他事業が9.7%となっています。

   セグメント営業利益も、出版事業が173億7000万円で最大。2番目のゲーム事業の52億円を大きく引き離しています。その他事業は41億8400万円の赤字です。営業利益率は、ゲーム事業が26.7%と最も高く、次いで出版事業が13.1%。Webサービスが9.4%、映像が4.0%と続きます。

   なお、前期比ではゲーム事業が売上高で17.2%増、営業利益で89.5%増。新作「ELDEN RING」が想定を超える記録的大ヒットとなったことが貢献しています。

   2023年3月期予想では、中国の規制の影響を受けていたアニメ事業が回復し、業績を改善する見込みです。

平均年齢42歳、平均年間給与822万円

   KADOKAWAの2022年3月期末の従業員数は単体1860人、連結5349人。2019年3月期末の単体158人、連結4546人と比べると大きく増加しています。

   これは、2019年7月の2代目・KADOKAWA化の際に、出版事業、映像・ゲーム事業、その他事業、全社(共通)の従業員1427人が加わったためです(2019年3月期の「カドカワ株式会社」までは純粋持株会社)。これに伴い、平均勤続年数の起算日が2019年7月1日になっています。

   KADOKAWAの平均年間給与(単体)は、2022年3月期は822.3万円に。平均年齢42.1歳、平均勤続年数2.3年です。

   KADOKAWAの中途採用では、編集職(コミック、ライトノベル、文芸書・児童書・実用書・ノンフィクション)、プロデューサー・ディレクター職(企画・政策・)、営業・宣伝・サポート、コーポレート職(経営企画・経理・総務)の求人が出ています。

   たとえば、営業・営業事務職の予定年収は554万円~969万円。30時間分の固定残業代を含みます。賞与は年2回(6月、12月)支給です。

   採用サイトの社員アンケートによると、中途入社時の年齢は、20代が29.8%、30代が54.8%。1週間あたりの出社日数は「ほとんど出社しない」が43.1%、週1~2日が42.0%でした。

「逮捕」報道が右肩上がりの株価に冷や水?!

   KADOKAWAの株価は、2020年3月23日に511円の安値を記録しましたが、その後は右肩上がりが続いています。2022年は4月11日に3370円の年初来高値を記録しました。

   しかし、東京五輪の組織委員会元理事に対する贈賄容疑で、9月14日に角川歴彦会長が逮捕。KADOKAWAは元専務と元室長も逮捕されており、翌15日の株価は大幅続落しています。

   ただし、現経営体制は夏野剛氏が社長として統制を図っています。「むしろ賄賂を送るような人がいなくなって、会社としては真っ当な方向に行くんじゃないかな」(ひろゆき氏)という声が出るなど、影響は一時的との見方も。今後の株価の推移が注目されます。

(こたつ経営研究所)