J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

御社はどうします? 今年の忘年会、4割が開催!...「悪弊がコロナでやっと廃れたのに」、「楽しければ、若い人も来る」と賛否の声

   新型コロナ感染拡大から3回目の冬を迎える。第7波のピークを越えたが、再び増加傾向がみられるなど、予断を許さない状態が続いている。

   そんななか、コロナ禍で廃れていた忘年会・新年会を開催する企業が増えていることが、東京商工リサーチが2022年10月28日に発表した「2022年『忘・新年会に関するアンケート』調査」でわかった。

   昨年より約1割増え、4割近い企業が開催する見込みだ。ネット上では「昭和の悪い習慣がなくなったと思ったのに」、「いや、忘年会にもメリットがある」と賛否の声が挙がっている。

  • まずはビールで乾杯(写真はイメージ)
    まずはビールで乾杯(写真はイメージ)
  • まずはビールで乾杯(写真はイメージ)

「酒どころ」秋田、「泡盛どころ」沖縄...6割以上が「忘年会開催」

(図表)忘・新年会を開催するかどうか(東京商工リサーチの作成)
(図表)忘・新年会を開催するかどうか(東京商工リサーチの作成)

   東京商工リサーチの調査によると、忘年会・新年会を「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」の発令とは関係なく「開催しない」と答えた企業は61.4%で、昨年10月の調査に比べ9.0ポイント減少した=図表参照

   一方、「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」の発令されていなければ、という条件付きだが、「開催する」という企業が33.3%あった。

   なかには、「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」が発令されていても「開催する」という企業が5.3%あった。それらを合わせて、38.6%の企業が開催を予定している=再び図表参照

   規模別では、大企業が「緊急事態宣言」「まん延防止等重点措置」に関係なく、「開催しない」が64.4%で、昨年10月調査(78.9%)より14.5ポイント減少した。一方、中小企業は60.9%で、昨年10月調査(68.9%)より8.0ポイント減少した。つまり、中小企業のほうが「開催する」企業が増えたわけだ。

   都道府県別では、「開催しない」割合が最も高かったのは栃木県(75.6%)で、以下、長崎県(74.0%)、静岡県(73.6%)、岡山県(72.7%)と続く。一方、最も低かったのは「酒どころ」の秋田県(35.0%)で、次いで「泡盛どころ」の沖縄県(39.6%)だった。全体的に、西日本より東日本でやや慎重な姿勢がうかがえる。

ワインで乾杯も(写真はイメージ)
ワインで乾杯も(写真はイメージ)

   東京商工リサーチでは、こうコメントしている。

「10月26日から東京都は『Go To Eatキャンペーン Tokyo食事券』の販売を再開するなど、感染防止と経済活動の両立に向けた取り組みが広がっている。ただ、会社の行事として定番だった忘年会は、コロナ禍で定着した感染予防と若者の忘年会離れもあり、復活には時間がかかりそうだ」

   調査は、2022年10月3日~12日、インターネットによるアンケートで4611社から有効回答を得た。そのうち資本金1億円以上の大企業は576社(12.5%)、1億円未満の個人企業・中小企業は4035社(87.5%)だった。

幹事経験者「3か月前から憂鬱な季節でした」

飲み会に代わり、ランチミーティングも浸透してきた(写真はイメージ)
飲み会に代わり、ランチミーティングも浸透してきた(写真はイメージ)

   今回の調査結果について、ヤフーニュースのコメント欄では賛否両論の意見が寄せられた。まず、そもそも忘年会を開催することに驚きの声が――。

「逆に約39%はまだ忘年会するのだとびっくりした。ウチの会社でも最近はもうやっていないなあ」
「単純に4割ぐらいの会社が忘年会をやることに驚きです。もう、そんな時代ではないと思います。私の会社ではコロナ前から飲み会はなく、就業時間にランチミーティングを行っています。半年に1回のペースで部署ごとに就業時間内に集まり、うなぎや懐石料理など高級なものを会社の経費で食べに行きます。日本人、外国人、正社員、派遣、既婚、未婚など多種多様な生活を抱えている人たちが一同に時間を取れるときは就業時間しかありません。飲み会がある会社に入社していたら、私は反発して欠席しまくっていたと思います。個人の自由と権利を尊重してくれる今の会社で良かったと思っています」

   忘年会の「元」幹事たちからも、「忘年会反対」の声が挙がっていた。

「職場の幹事役をやっていた経験がありますが、会社の忘年会等はやらないという選択肢も、参加しないという選択肢もないような感じでした。しかし、それは管理職たちに『忘新年会は職場の懇親や活性化に効果大だからぜひ必要だ』といった理念や信念があったわけではなく、単に長年の慣習でやっていただけ。それが、コロナ禍をきっかけにやらないでいたら『全然問題ないジャン』と気がついたわけです。これは書類に必ず判子を押す慣習が、無くしてみたら何も問題なかったのと同じです」
オンライン忘年会でもよかったりして?(写真はイメージ)
オンライン忘年会でもよかったりして?(写真はイメージ)
「昔幹事をしていたが、この時期は憂鬱だった。大人数の宴会場は争奪戦で決まるまで気が気でなく、会場が決まったら決まったで、直前キャンセルやドタキャンに対応しなければならない。終わったら終わったで、会費の傾斜配分考えて上司に承認とって各自に請求するのだけど、なかなか払わない人もいる。(中略)会社も各部署に交流費として予算を充てていたが、それもなくなったので、その分を各人の給与アップ(物価上昇手当的な)に使ってくれると、なおのことうれしい」
「昔、幹事をしましたが3か月前から会場選びをして、アトラクションを企画してと勤務時間以外も費やしました。若手が幹事をやるのが当たり前というルールが存在し、負担を強いられた思い出もあります。若手も上司よりも気の合う仲間と出かけているようです。だから、従来のスタイルでの忘年会も見直しが必要かと思います」

「飲み会を嫌っていた世代が今、管理職になっている」

ガハハハと盛り上がる飲み会もいいものだ(写真はイメージ)
ガハハハと盛り上がる飲み会もいいものだ(写真はイメージ)

   若い世代からはこんな意見が。

「私は20代ですが、ここ数年、飲み会の文化が廃れてきて1人時間が増えたおかげで勉強もはかどります。ありがとう」
「もうすぐ27です。おじさん達と酒飲むより、家に帰って動画見るほうが楽しいので忘年会は必要ありません」

   中堅世代以上からも「もう必要ないのでは」という意見が多く寄せられた。

「会社の忘新年会って、まだ日本が貧しかった時代に、その時だけは会社の費用でおいしいものを飲み食いして、暮らしを守るための集団としての親睦、結束を深め、慰労するという意味合いがあったものなのではないか。(中略)
コロナ禍は、会社の側にとっても、社員の側にとっても、この因習とも言える行事をやめるいい機会になった。復活しないことを願っている社員の人も多いことだろう。『今の若い人は、飲み会に来ない』というような言い方もあるけれど、そんなこと、『新人類』なんて言われたバブルの頃からすでにあったことだと思う。ということは、今の管理職の人たちも既に若い頃はそういう付き合いを面倒くさがっていた世代だということ。要するに、必要なくなったのでしょうね」
「今年還暦迎えたけど、飲み会で嬉しそうな人はすべて自分よりも年上だった。自分よりも下はさほど楽しそうでなかった。つまり、会社を構成する人間のほとんどが、ついに飲み会がそんなに好きでない人になったのだ」

   そうしたなか、飲みニュケーションではないコミュニケーションのあり方が必要だという意見も――。

「昔いた会社は酒好きが多く、仕事の能力は関係なく本当に飲みニケーションが昇進に必要なツールだった。コロナ渦に転職して、新しい会社では歓迎会含めて飲み会は一度もやっていないが、問題なく周りとコミュニケーションを取れて業務が行えている。普段仕事で関わらない部署の人とは、ディスカッションするタイプの研修で同じグループになると、すごくいいコミュニケーションが取れて仲良くなれる」
「会社以外でも人間交流は求めればできますよ。ただ世間を知らない会社の同僚たちで飲み会やっていても成長しないのではないでしょうか。私は無駄な時間と判断しています」

今年の幹事「『めっちゃ楽しい忘年会』したら皆来るよ」

御社はどうします?(写真はイメージ)
御社はどうします?(写真はイメージ)

   一方、業種にもよるのだろう、「忘年会は必要だ」という意見もあった。幹事として、今年の忘年会に張り切っている人もいる。

「営業職という前提だが、接待とか、若手でも絶対そういう場面は出てくるので、それの予行演習という意味では、忘年会の企画とか、下調べしてこの店がいいとか勉強するにはもってこいの場面なのだ。(中略)だからわざと若手に幹事をやらせることもある。そこで成功したとか、失敗したとかはどうでもよくて、場数を踏んだという経験値が必ず生きる場面がある」
「年に数回程度ならコミュニケーションの場もあっていいと思う。同じ部署でも仕事だけではまず接点がない人もいる。またこういう場で話してみて、相手の意外な一面を知ることも出来るので決して無駄ではない。(中略)なお個人的には、リモートをしてまで飲もうとは思わない」
「人それぞれですね。私は学生時代に全く飲めなかったのですが、体育会系の会社に入社し、休みも含めて週4以上のペースでいろんな部署の先輩について行きました。正直辛かったですが、いろんな方と関係ができ、仕事もしやすくなったことは真実です。結果、今は会社の歴代最年少で海外子会社の社長をやっています」
「飲み会という場を企画するのもけっこう様々な配慮がいるので幹事は苦労します。幹事を経験してみないとわからないこともあるし、みんな考えが違うのでほんとう難しかった。(中略)内向的な自分に社内で友人ができたことが何よりも嬉しかった。東京で一人ぼっちだったこともあって職場のみんなは優しかった。人付き合いは面倒だけど、得るものも多いし、人生において無駄な経験はひとつもないことを自分は学びました」
飲み会とは違ったスタイルはどう?(写真はイメージ)
飲み会とは違ったスタイルはどう?(写真はイメージ)
「私個人の意見では、仕事の関係の人たちと忘年会は開催したいです。月1だと嫌ですが、年1はしっかりと楽しみたいです。もちろん強制はしません。ただ、『行きたい』と思わせる会にはします(幹事なので)。多くの方も『会社の忘年会』が行きたくないのではなく『楽しくない飲み会』だから行きたくないのではないかな? 会社の忘年会が『めっちゃ楽しい飲み会』だったらどうなのでしょうね? そういう会が増えればいいなあ~と思います」

   最後に、新しい形の忘年会・新年会を提案した人の意見で締めくくろう。

「仕事納めの夕方、大会議室で出前の蕎麦を振る舞うとか、仕事始めの日は社食で雑煮を提供するとか、そういうのでいい。家族に持って帰れるよう、弁当でもいいし。そしたら季節感あっていい。子どもも会社の弁当を楽しみにするでしょう。酔っ払いが帰ってくるより」
「俺の職場も、終業後の忘年会はなくなって、業務時間内に全体会議を兼ねた立食パーティーをする形式になった。少人数の仲間内で飲みに行くことはあるにせよ、職場を上げた大人数の飲み会は今後も減っていくんじゃないかな」

(福田和郎)