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総務省、NHKを行政指導!受信料督促状「バラマキ」が郵便法違反 だが、新たな「郵便作戦」も進み...ネット民「だからスクランブル化が必要」怒りの声

   NHKが受信料支払いを迫る「強引な方法」について、公共放送として不適切であるとして行政指導を受けた。

   2022年12月14日、総務省はNHKが受信契約をしていない世帯に対して外部業者に委託して受信契約を要請する文書を送ったことが、郵便法違反にあたると発表した。

   NHKは「視聴者のみなさまに深くおわびします」とのコメントを発表。しかし、現在、NHKは外部業者どころか日本郵政を使った新たな「郵便作戦」を開始しようとしており、ネットでは怒りの声も殺到している。

  • 東京渋谷のNHK放送センター
    東京渋谷のNHK放送センター
  • 東京渋谷のNHK放送センター

「信書」を外部のポスティング業者に委託したのが郵便法違反

   総務省が12月14日に公式サイトに公開した「日本放送協会による郵便法違反への対応」や報道をまとめると、総務省はNHKに対し、郵便法に基づいて行政指導を行った。NHKは2015年12月から今年(2022年)1月まで、受信契約が確認できない世帯に対し、契約を促す文書を外部のポスティング業者に委託して、指定した期日までに申込書を返送するよう求める文書2070万通を送っていた。

   宛先の記載はなかったが、「NHK」の名称を記載して、期日までに返送する求めたことが、特定の受取人に対して差出人の意思を示めしたものであり、郵便法第4条2項で定める「信書」にあたるとした。郵便法では、郵便局のような郵便事業の許可を受けた事業者以外の「信書の送付の委託」を禁じている。

NHKの受信料徴収をめぐって(写真はイメージ)
NHKの受信料徴収をめぐって(写真はイメージ)

   総務省はNHKに対する指導文書の中で、

「貴協会(日本放送協会)には、国民・視聴者の受信料によって支えられている公共放送として、受信契約の勧奨等に当たっては、法令を遵守した適正な方法で丁寧な説明を行うべき旨を、これまでの予算及び決算に付する総務大臣の意見においても求めてきたところである。以上を踏まえて、郵便法等の法令遵守の徹底及び貴協会の放送受信契約の勧奨の業務の適正確保を求める」

と厳しく批判した。

   これに対してNHKは12月14日夕のNHKニュースの中で、

「総務省から行政指導を受けたことは誠に遺憾です。関係者、視聴者のみなさまに深くおわびいたします。今回の事態を重く受け止め、再発防止を徹底するとともに適正な業務体制を構築し、ガバナンスの強化に一層努めてまいります」

とするコメントを発表した。

受取人氏名が不明でも送れる「特別あて所配達郵便」を使って、「訪問によらない営業活動」

   今回の事案は、NHKの受信料徴収の「郵便作戦」を外部業者に委託したことが「郵便法違反」に問われて問題になったわけだが、実は現在新たに、日本郵便のサービスを使った、より大掛かりな「郵便作戦」の計画が進行中なのだ。

   日本郵便では、今年(2022年)6月から、「特別あて所配達郵便」を本格的に始めている。これは受取人の氏名が不明でも、あるいは実際に住んでいるのか不明でも、受取人の住所がわかっていれば郵便物を配達できるサービスだ【図表】。

(図表)特定あて所配達郵便のシステム(日本郵便のプレスリリースより)
(図表)特定あて所配達郵便のシステム(日本郵便のプレスリリースより)

   これを利用すれば、受信料の徴収についてNHKが推進する「訪問によらない営業」ができるというわけで、昨年(2021年)6月から、NHKが日本郵便と合同で都心部の大規模郵便局管内から試験導入している。この計画を最初に発案して、NHKに活用するよう指示したのは、NHKと日本郵便をともに管轄する立場だった武田良太元総務大臣。

   J-CASTニュース会社ウォッチでは、2021年6月4日付の記事「『誰でもいいから受信料を払えってか!』NHKの『宛て名なし郵便』バラマキ作戦に怒りの声」でその経緯を紹介した。武田氏にすれば、NHKの受信料徴収の合理化と、郵政グループであるかんぽ生命の不正事件が続発した日本郵便のイメージアップの一石二鳥の妙案だった。

   いずれにしろ、今後、NHKからの「受信料督促」の郵便物が無差別に届くことになりそうだ。

「スクランブル化すればNHKも法律違反しなくてすむのに」

郵便受けにNHKから督促状が...(写真はイメージ)
郵便受けにNHKから督促状が...(写真はイメージ)

   こうしたNHKの受信料を取り巻く状況に、ヤフーニュースのコメント欄では批判や疑問の声があがっている。

「『許可を得ていない事業者に、信書に当たる文書の送付を委託していた』。そもそも、スクランブル放送に変更して、視聴したい人に対して、ネットから申し込む方式にすれば、受信契約や受信料支払の督促状、更には未契約者を相手取って裁判をおこす必要性もなくなると思います。このような通信費も発生しないと思います」
「スクランブル化して番組毎にサブスクすれば、ムダな費用をかけて受信料徴収しないでも公正な回収が出来ると考えます。放送法が障害になっているようなので、放送法の改正を国会で決めれば解決する、非常にシンプルなことだと思っています」

   スクランブル化を求める声が大勢を占めている。

「NHKの郵便作戦が、新手の詐欺に利用されなければいいが」

   さらに、「郵便作戦」には疑問の声が次々と上がった。

「ところで、なんで契約してない人の住所氏名状況を知っているの?契約した人の情報をNHKがもっているのは判るけど...」
「(NHKの郵便作戦が)新手の詐欺に利用されなければいいが?」
「(NHKが宛名なし郵便を大量に送付することに対し)宛先の家の中に、テレビ受信機があろうが無かろうが、そんな確認などいちいちやっていないだろう。ひとたび、紐づけられたら最後、テレビがあろうが無かろうが、料金請求が追いかけてくると思ったほうがいい」

   実際に「郵便」が届いた人もいるようだ。

「NHKの受信料を払ってない者ですが、なんか封書が来たことがありましたね。開封しないでポイしましたが。どっちにしても、観ることはないので、とっととスクランブル化してほしい」
「この文書届いたのですが、宛名が空欄になっており建物の部屋番号宛の表示になっていました。そっちの方が奇異に思えて、どこの配送業者が出したのか確認しませんでした。(中略)テレビが家にないので、その点については問題なく、封書は破棄しました。NHKはCMがなく、よく吟味された編集で自分が幼少時のとき良い番組があったと思います。
インターネットが普及し、生活に必要な正確な情報がNHKによらずとも直で得られるようになり、また景気の後退で番組にかける予算が下がっているようにも見えてテレビとNHKと丸ごと利用しなくなりました。オンデマンドで昔の番組探してみようかともなるのですが、テレビを置くほどにまでいかないです。そんな人が増えてNHKも苦境なのでしょうか」

   NHKの行く末を心配する声も出ていた。(福田和郎)