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プロ野球・日ハム「新球場」経済効果は1634億円超! 「新しいまち」の出現&人口増にも期待!...関大・名誉教授の試算を深読み

   「BIG BOSS」こと新庄剛志監督の就任で、2022年のプロ野球、ペナントレースを盛り上げた北海道日本ハムファイターズ。来季、2023年は本拠地を札幌ドームから、北海道北広島市の新球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」に移す。

   そんな新球場の移転による経済効果(建設費と観客消費額の合計)が、初年度までに約1634億6174万円、雇用創出効果は約1万5334人にのぼると、関西大学の宮本勝浩名誉教授が試算した。2022年12月14日の発表。今後の10年間でみると、約6788億1740万円にのぼるという。

  • 新球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」の経済効果とは?(写真はイメージ)
    新球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」の経済効果とは?(写真はイメージ)
  • 新球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」の経済効果とは?(写真はイメージ)

開閉式の屋根、天然芝のグラウンド、温泉に、サウナ施設も!

   2023年から北海道日本ハムファイターズの本拠地となる新球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」は、最新鋭かつ、ユニークな施設、設備で注目を集めている。

   たとえば、球場は開閉式の屋根と天然芝のグラウンドだ。球場内に目を向けると、温泉・サウナ施設、宿泊施設、クラフトビール醸造所があるレストランまである。

   また、球場の周辺には、分譲マンション、駐車場、認定こども園、農業学習施設、キッズエリア、グランピングやヴィラなどの宿泊エリア、さらにはJRの新駅などが建設される計画となっている。新球場を核とする「新しいまち」の誕生で、その経済効果も大いに期待されるところだ。

   関西大学の名誉教授、宮本勝浩氏がまとめた「日本ハムファイターズの新球場『エスコンフィールド北海道』の経済効果」を詳細にみると、その内訳は、新球場の建設費用の経済効果は約1062億円、雇用創出効果は約7800人となった。

   また、新球場の観客の消費額は新球場に足を運ぶ観客を、日本ハムが2022年まで本拠地としていた札幌ドームの観客数の推移から、(1)日本ハムの試合の観客数と(2)その他のイベント(サッカーや高校野球の試合、陸上競技、コンサートなど)の観客数(3)球場観光、一般市民の利用者--の3種類に分けて試算した【下表参照】。

   この表から、球場を訪れる観客の過半数以上が、毎年の日本ハムの試合の観戦客であることがわかる。

   一方、2023年に新球場で予定されている使用日数は、(1)日本ハムのホームゲーム数71試合とオープン戦など5試合の合計で76試合程度、(2)プロ野球以外のスポーツの大会やコンサートなどのイベントは月2回程度の合計24日間、(3)球場観光や一般市民の使用--と仮定した。

2023年の「エスコンフィールドHOKKAIDO」の観客消費額は376億円超え

   日本ハムの主催ゲームの観客消費額をみると、2022年の観客数(札幌ドーム)は約129万人【1ページ目の表参照】に対して、新球場の定員が約3万5000人。

   従来の札幌ドームの定員約4万人で、そこから5000人減ったが、来年は新たにオープンする開閉式の新球場を見たいと思う人や「新庄監督効果」で、観客数はかなりの増加が見込める。

   こうしたことから、来年はコロナ禍前の2017~19年の3年間の平均観客動員数である約201万人が集まると仮定した。

   さらに、日本ハムの試合を観戦する人を(1)遠方から来てホテルなどに宿泊して観戦する人と(2)日帰りで観戦する人――に分けて試算した。

   宿泊して観戦する人は約201万人の2%と仮定し、年間約4万200人と推定した。その結果、宿泊観客の一人当たり消費額は、約2万5000円。総消費額は、約10億500万円だった。

   一方、日帰りで観戦した人は全体(201万人)の98%に当たるので、約196万9800人になる計算だ。日帰り観客の一人当たりの消費額は約1万4000円で、総消費額は約275億7720万円となった。

   日本ハムの試合を宿泊して観戦した人と日帰り観戦した人の合計の総消費額は、約285億8220万円にのぼると試算した。

   一方、来季のその他のスポーツ大会やコンサートなどのイベントの観客消費額はどうなるのだろうか。

   現段階では、新球場の年間イベント数が「まったく未定」とのことから、札幌ドームの観客数【1ページ目の表参照】を参考に、他のイベントの観客数をピーク時の2017~19年の3年間の平均、91万人の半分にあたる約40万人と仮定する。

   これを、宿泊による観客数(約12万人)と日帰りの観客数(約28万人)に分けて試算した。それによると、宿泊観客の一人平均の消費額はチケット代を含め約2万8500円で、総消費額は約34億2000万円。また日帰り観客の一人当たりの消費額は約1万7500円で、総消費額は約49億円となった。

   これにより、その他のイベントの観客の総消費額は、約83億2000万円と試算した。

宮本名誉教授「『新しいまちづくり』の手本になる」

   さらに、球場観光や一般市民の利用者の消費額は、2023年の利用者を年間約11万人かつ、これらの利用者がすべて日帰りと仮定して試算すると、一人当たり消費額は約7000円。総消費額は約7億7000万円となった。

   以上の試算から、新球場の観客の総消費額(約285億8220万円+約83億2000万円+約7億7000万円の合計)は、2023年に約376億7220万円

   この金額をもとにして、「2015年の北海道産業連関表(38部門)」の個人支出部門(個人サービス部門)を用いて計算すると、観客の消費額の経済効果は年平均で約572億6174万円、雇用創出効果で約7534人にのぼることがわかった。

   宮本名誉教授は「エスコンフィールドHOKKAIDO」の経済効果を、新球場への来場者とその消費による効果だけにとどまらない、とみている。完成すれば、北海道の観光名所の一つになるという。

「日本ハムの新球場『エスコンフィールド北海道』の誕生は、時間をかけて北広島市に『新しいまち』を創ることになり、その経済効果は非常に大きなものになると推察される」

   そのうえ、人口が増加することによって、地元に膨大な経済効果をもたらすことになり、新球場の周辺にさらに「新しいまち」が出現することで、新球場は観客数の維持、増加に努めるとみられると、指摘する。

   新球場の経済効果(建設費と観客の消費額の経済効果の合計)は、10年間で約6788億1740万円。「これは『新しいまちづくり』の手本になるであろう」と、コメントしている。