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相手いるのに「手持ちぶさたでスマホいじる」人が6割!...依存症では?の批判に「相手と目合わせるほうが失礼」「手持ちぶさたでタバコよりはいい」

   かつてなら「失礼な!」とお叱りを受けただろう。

   目の前に相手がいるのに、「手持ちぶさただから」とスマートフォンなどの携帯端末をいじる人が約6割に達することが、NTTドコモのモバイル社会研究所(東京都千代田区)が2023年1月16日に発表した「ライフスタイル調査」でわかった。

   特に10代の女性では85%、シニア世代男女でも3~4割おり、その割合は年々増えている。若年層を中心にスマホに依存する姿が浮き彫りになったかたちだ。

  • スマホをいじることがやめられない?!(写真はイメージ)
    スマホをいじることがやめられない?!(写真はイメージ)
  • スマホをいじることがやめられない?!(写真はイメージ)

相手がいるのに、スマホを目の前に置く・握る人が約5割

   NTTドコモのモバイル社会研究所では、2015年からスマホ・ケータイ所有者に「面前に相手(家族・友人・知人など)に対して、手持ちぶさたに端末をいじっているかどうか」(特に気にせず行っている、多少気になるが行っている、状況に迫られて仕方なく行っている)の調査をしてきた。

   「手持ぶさたに端末をいじっている」と回答した人は、2015年は34.6%だったが、年々増加しており、2022年には約6割の57.5%に達した【図表1】。

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(図表1)「手持ちぶたさに端末をいじっている」推移(NTTドコモ・モバイル社会研究所の作成)

   性別年代別にみると、10代女性(85.1%)が最も高く、次いで30代女性(77.4%)、20代女性(77.3%)、10代男性(75.4%)、30代男性(69.8%)、20代男性(69.5%)と続く【図表2】。

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(図表2)性別年代別「手持ちぶたさに端末をいじっている」人の割合(NTTドコモ・モバイル社会研究所の作成)

   若年層は7~9割が「端末をいじっている」と答えており、特に女性の割合が高いことが目につく。一方で、60代以上のシニア層では「端末をいじっている」と答えた人は男女とも3~4割程度だった【再び図表2】

   ところが、すぐそこに相手がいるのに、スマホを目の前に置いている人も多い。

   同研究所では2015年から、スマホ・ケータイ所有者に「面前の相手(家族・友人・知人など)に対して、端末を机など目の前に置いておくか、または握り締めているかどうか」(特に気にせず行っている、多少気になるが行っている、状況に迫られて仕方なく行っている)の調査も行ってきた。

   こちらは2015年(44.2%)から2022年(47.9%)まで大きな増減はなく、毎年約5割弱の人が「端末を机などの面前に置いておく、または握り締めている」と答えている【図表3】。

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(図表3)「端末を机などの面前に置く、または握りしめる」推移(NTTドコモ・モバイル社会研究所の作成)

   性別年代別にみると、やはり10代女性(70.8%)が最も多く、10代男性(66.3%)、20代女性(64.8%)、20代男性(58.9%)、30代女性(55.3%)、と、若年層は6~7割が「端末を机などの面前に置いておく、または握り締めている」と答えている。一方で、シニア層は男女とも3~4割程度だった【図表4】。

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(図表4)性別年代別「端末を机などの面前に置く、または握りしめる」人の割合(NTTドコモ・モバイル社会研究所の作成)

   こうしてみると、10代から30代の若年層の間では、相手の目の前でスマホをいじったり、目の前の机に置いたりするのは当たり前の行動になっていることがわかる。

   調査は全国の15~79歳の男女7050人を対象に2022年1月に行なった。

「はっきり言ってスマホが一番の友達かもしれない」の声

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スマホを相手の面前に置く人が多い(写真はイメージ)

   今回の調査について、ヤフーニュースコメント欄にはさまざまな意見が寄せられている。まず、スマホが手放せない状態になっていることについては、「反省の弁」を述べる人が多かった。

「スマホのおかげで思い出を簡単に記録、保存ができる反面、その思い出をしっかりと記憶したり、いつまでも覚えておくことができなくなったりしている人が多いのでは思う。例えば、コンサートなどで(中略)録音する行為によって、生の歌声や迫力のある音、コンサートの雰囲気を楽しんだり、感動したりすることは薄まってしまうのではと思う」

   なお、コンサートでの撮影や録音行為は禁止され、そのアナウンスが流れることが多いので重々ご注意を。もっとも、スマホの手軽さゆえ、こんなふうに省みる人も。

「撮るのに集中し過ぎかなと我ながら思うことはある。先だっても箱根駅伝観戦してきた時、スマホで撮る準備で選手をあまり見られなかったのを思い出した」

   また、こう言い切る人もいた。

「自分もだいたい平日は5時間くらい、休日は10時間くらいスマホを見ています。タバコより中毒性が強いとも感じ、スマホが見当たらないと少しパニクる。ただ、それでも他人よりも親しみがあり、自分の望むことを見せてくれる。家族といるとき以外、はっきり言って一番の友達かもしれない」

「手持ちぶたさでタバコ、パチンコの昔の人よりいい」の意見

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手持ちぶさたでタバコよりはいい?!

   一方、今回の調査が「手持ちぶさたでスマホをいじること」に関して、やや批判的なトーンであることに反発を感じる人も少なくなかった。

「スマホを見る時間が長くなっているのは事実だろうけど、じゃあスマホがなかった昭和時代、週刊誌見ていた時間がスマホになっているのが問題かといわれたら疑問だ。スマホいじるのはよくないみたいな印象操作を感じる。週刊誌でもスマホでも、大切なのは有効活用や付き合い方だろう」
「私はたいていの場合,ネットニュースを見ていますね。そして気になる事柄についてはネット検索かけたりする。人と食事をしているときは,携帯なぞ見ずに会話しますが、1人で食事をしているときはやはりニュースですね。新聞読みながら食事をしているのと同じ」
「いいじゃないか。昔は手持ちぶたさでタバコを吸うようになってしまった人がいっぱいいたよ。自分はもうやめたけど、しばらくやめられなかった。(中略)今調べてみたら、30年ほど前は男性の喫煙者の割合は60%ほどだったみたいですね」
「昔は手持ちぶたさなのでパチンコへ、というパターンが多かったと思うので、習慣が変わったということなのでしょう」

「今はスマホで目線を下にやっていないと、目立ってしまうイヤな時代」

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電車の中ではむしろスマホを見てたほうがいい時代に?!

   また、他人と目を合わせることが失礼になり、電車の中ではむしろスマホを見ていない人のほうが「異常」に見える時代になった、と意外な角度から指摘する意見も目に付いた。

「電車に乗っている時に、自分は携帯扱わないタイプなので、ドアのほうを眺めていると、ドア付近にいた女性がこちらと向かい合わせのような感じになって、気まずそうにしていたら、おもむろに携帯を取り出して扱い始めた。もはや、携帯を触っていないと文句言われそうな気さえする」
「電車に乗る時や人との待ち時間で、ボーッと座ったり、立ったりしているのは、何となく周囲の目を気にしてしまったり、目のやり場に困ったりする。だから、特に用はないけどスマホをいじっているフリをすることは結構ある」
「確かに今はスマホなり、居眠りなりで、目線を下にやっていないと、それだけで目立ってしまうことがありますね」
「電車の中で、何気なく周りや車窓を見たりしたいと思っても、今や変な目で見られないかと思ってしまい、本当に嫌な時代」

   そして、「スマホ批判」に走りがちなシニア層にこんな反論があった。

「高齢者にありがちな勘違いだが、スマホで本も新聞も読める。『スマホを見ている』というのは、『新聞を見ている』とか『漫画を見ている』ではなく、『紙を見ている』くらいの意味だと気づいたほうがいい」
「新聞も本もスマホで読めるし、少なくとも読み終わった新聞雑誌を網棚に放置するマナーの悪い大人を絶滅させたのはスマホの功績かもしれない」

(福田和郎)