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高級ヘルメットで世界シェア6割!...SHOEI社員の平均給与はいくら? 気になる業績推移や平均勤続年数もチェック

   上場企業の財務諸表から社員の給与情報などをさぐる「のぞき見! となりの会社」。今回取り上げるのは、東京・台東区に本社を置く東証プライム上場のヘルメットメーカー、SHOEI(ショウエイ)です。

   1959年に設立、二輪乗車用ヘルメットの生産に着手し、1965年にはホンダの純正品として採用されました。1980年代には四輪レース用のヘルメットも製造し、世界一のヘルメット生産量を誇ったものの、1992年に会社更生法の適用申請に至ります。

   しかし、国内の工場で高品質の「Made In Japan」にこだわり、高級品のプレミアムヘルメットで世界シェアの6割を占めるまでに成長。2007年には東証2部上場、2015年には東証一部へ市場変更と復活を果たしています。

  • 今回は「SHOEI(ショウエイ)」に注目(写真はイメージ)
    今回は「SHOEI(ショウエイ)」に注目(写真はイメージ)
  • 今回は「SHOEI(ショウエイ)」に注目(写真はイメージ)

6期連続で増収増益、利益率も右肩上がり

   それではまず、SHOEIの近年の業績の推移を見てみましょう。

   SHOEIはここのところ業績好調で、2022年9月期には6期連続で増収増益を果たしています。一時的に減収減益となった2016年9月期も、業績が急伸した前期の反動によるもので、ここ10期程度は一貫して右肩上がりといって差し支えないでしょう。

   4期前の2018年9月期と比べると、売上高が1.7倍、営業利益が2.2倍に。営業利益率も右肩上がりで、2022年9月期には29.0%と非常に高い利益率を達成しました。

   特に直近数期は、コロナ禍の影響で業績を悪化させている会社が多く見られる中で、売上高のみならず利益率まで改善させている会社は、かなり少ないといえます。

   これは、三密を避ける移動手段や非団体でのレジャーとして二輪乗用車(バイク)の人気が高まり、それに伴ってヘルメットの需要が高まったためということで、この勢いはポストコロナでも減退している兆しが見えません。

   財務的にも非常に健全で、2022年9月期の自己資本比率は77.7%。50%以上あれば良好という中で、かなり安定しているといえます。現金および現金同等物の期末残高は138億8721万円と、キャッシュリッチな会社です。

   2023年9月期の業績予想は、売上高が316.9億円(前期比9.5%増)、営業利益が87.8億円(同4.7%増)と引き続き増収増益となる見込みです。

売上高の海外比率は約8割のワールドワイドなブランド

   SHOEIは「ヘルメット関連事業」の単一セグメントですが、「日本」「欧州」「北米」「中国」「その他」といった地域別に業績が公表されています。

   2022年9月期の売上高は、欧州市場が最も多く125.9億円で、全体の43.5%を占めています。次いで日本市場が59.7億円(同20.6%)、北米市場が51.7億円(同17.9%)、中国市場が31.5億円(同10.9%)、その他市場が20.6億円(同7.1%)でした。

   業績好調の理由は前述の通り、三密を避けられる二輪乗用車の人気が高まったためですが、特に先進国市場においては、高級ヘルメット市場での需要が高まったようです。

   2022年9月期の販売数量は79万個。モデル別に見ると、フルフェイスが57.0%と最も多くを占めており、次いでフリップアップが17.8%、ネオクラシックが14.9%、オープンフェイスが6.2%、オフロードが4.2%となっています。

   なお、日本市場の売上高が約20%ということは、売上高の海外比率が約8割と大半を占めることになります。プレミアムヘルメットで世界シェアの約6割というのは前述のとおりで、2位のアライ(約3割)とともに日本のメーカーで9割近いシェアを占めています。

   2023年9月期の予想は、前期に代理店が悲観的な在庫管理を行った反動で中国市場の売上高が61.0億円と大きく伸長し、北米および日本市場を上回ると見込まれています。

「8期連続給与アップ」で平均年収620万円

   SHOEIは、同社および連結子会社8社から構成されています。子会社はいずれも海外法人で、ドイツやフランス、イタリア、タイ、USA、中国などに拠点を置き、地域の代理店や代理店管理、マーケティングを行っています。

   SHOEIの連結従業員数は、2018年9月期の461人から460人→479人→503人と順調に増えており、2022年9月期には532人と大きく伸びています。

   同じく単体従業員数は、2018年9月期の422人から422人→438人→464人と同様に増えており、2022年9月期には492人となっています。

   SHOEIの平均年間給与(単体)は、2022年9月期は620万円に。平均年齢39.2歳、平均勤続年数15.3年です。ここ数期は若手従業員の採用を進めているため、平均年齢や平均勤続年数が下がり気味でしたが、逆に平均年間給与は右肩上がりに増えています。

   2022年9月期の決算説明会資料によると、SHOEIは「8期連続従業員給与4%アップ」を続けており、今後は「従業員譲渡制限株式報酬制度」の創設により従業員還元を強化するとしています。

   採用サイトを見ると、SHOEIでは新卒採用のほか、中途採用を行っています。

   ただし、現在は商品企画部門や商品デザイン部門、開発技術部門、管理部門での中途採用は募集しておらず、営業部門として「SHOEI Gallery」のTOKYO、OSAKA、YOKOHAMAのスタッフ(パート・アルバイト)のみが募集されています。

10期連続の増配で株価も絶好調

   SHOEIは年間300億円もの売上をあげ、海外比率も8割とし、6期連続増収増益を達成するなど、プレミアムヘルメットという市場で業績好調を誇っています。

   会社のホームページによると、プレミアムヘルメットの限界利益率は(=(売上高-変動費)/売上高)は約50%と高いのが特徴。デフレマインドに染まった国内メーカーとは異なる高付加価値製品によって、海外市場で支持を得ています。

   SHOEIの株価は2012年までは200円台と停滞していましたが、2013年から右肩上がりに上昇し続け、2019年12月には2710円の高値をつけました。

   2020年3月のコロナショックでは一時1000台に落ち込んだものの、2022年8月には5990円と最高値を更新。現在は5000円台前後を推移しています。

   この背景には10期連続の増配があり、年間配当額は2012年9月期の1円から、2022年9月期の112円まで100倍を超えています。(こたつ経営研究所)