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「性格いいけど、非正規、貯金ゼロ...正社員も断る。こんな女性と結婚して大丈夫?」男性の投稿が炎上...「バリキャリと結婚したら」「専業主婦志向では」と賛否...専門家に聞いた(1)

   結婚相手に対する悩みを訴えた、年収600万円台の男性の投稿が炎上騒ぎとなっている。相手は年収200万円台の非正規雇用の女性。

   「30代なのに貯金もゼロ。正社員にならないかと職場から誘われているのに、断っています。こんなリスクヘッジもできない女性と結婚しても大丈夫だろうか」と心配なのだ。ただ、女性は気遣いができ、家事も得意、人にとても優しい性格の持ち主だという。

   この投稿には「お金に執着するならバリキャリ女性を探したら」という批判や、「彼女は専業主婦志向。収入増を期待しても無理」という忠告、さらに「正社員を目指さない生き方が素晴らしい」という称賛まで、ざわついた論争が起こっている。

   働き方に詳しい専門家に聞いた。

  • 幸せな結婚とは(写真はイメージ)
    幸せな結婚とは(写真はイメージ)
  • 幸せな結婚とは(写真はイメージ)

「30代で収入を抑えてでも好きなことをする感覚が理解できない」

   話題になっているのは女性向けサイト「発言小町」(2023年1月9日付)に載った「結婚にあたる不安。収入をあげようとしない彼女の考え方について」というタイトルの投稿だ。

   投稿者は30代前半の男性。正社員として働いており、年収は600万円台。1年付き合って結婚を考えている30代前半の女性がいる。彼女は非正規社員として働いており、年収は200万円台。彼女の考え方について悩みを訴えている。ざっと、こんな内容だ。

「結婚後の生活を考えるにあたり、彼女の収入面とその考え方に少し引っかかるところがありまして、なかなか踏み切れずにいます。貯金は、私は1000万円ほどありますが、彼女の貯蓄は不明です。現在は低収入&一人暮らしのため、貯金がまったくできない状況とのこと。自分でお弁当を作って職場に持っていくなどでやりくりしているようです」
好きな人と苦労する。それが結婚では(写真はイメージ)
好きな人と苦労する。それが結婚では(写真はイメージ)

   そして、具体的な相談内容をこう綴った。

「彼女は仕事内容的に非正規社員での仕事が好きらしく、会社から正社員に昇進する話があっても断っているようです。そのため貯蓄がまったくたまらない状況は変わりません。 万一病気になった場合や、働く体力がなくなる老後の生活も踏まえると、一定の貯蓄は誰しも必要と思っていまして、そこのリスクヘッジのための貯蓄を貯める選択をせず、30代で収入を抑えてでも好きなことを仕事にする感覚が私は理解できずにいます」

   ただし、彼女の人柄は素晴らしいという。

「気遣いがとてもでき、家事や掃除も丁寧にでき、他人の幸せを考えられる優しい人です。ただ、彼女自身の将来設計の見通しが甘いようにも思ってしまい、結婚して一緒に生活していくにあたり少々不安です。
このような方と結婚された方がいらっしゃいましたら、結婚後の生活について(良い事、悪い事など)教えていただけませんでしょうか」

   そう訴えるのだった。

「彼女のような方と結婚したいなら、あなたががんがん稼ぐしかない」

結婚は愛か、お金か(写真はイメージ)
結婚は愛か、お金か(写真はイメージ)

   この投稿に対し、最も多かった回答は「お金に執着するあなたは、バリキャリの女性を探して結婚すればいかが」という批判だった。

「彼女のような生活スタイルでもよしとする男性もいます。あなたのような考え方なら2馬力でバリバリ仕事をする女性と結婚されたほうがよくないですか? 我が家に関して言えば、夫は私の稼ぎはあてにしません。自分が稼ぐから家をよろしく!のスタンスです。彼女のような方と結婚したいなら、あなたががんがん稼ぐしかないでしょうね」
「あなたが重要視するのが、正社員プラス収入ならば、その彼女ではありません。彼女には、金銭面よりも彼女のことが好きで一緒にいたいと思える人や、ある程度高収入で『仕事はパート程度でよいから家のことお願いね』というタイプの男性がピッタリだと思います」
「世の中、非正規で結婚した女性もたくさんいます。ちなみに私もそうです。気遣いが出来て、家事や掃除も丁寧で優しいなら、あなたがリリースしても、彼女ならすぐに相手が見つかると思います」
「30代で1000万円貯めて、年収600万円、ご立派だと思います。でも、お金があっても心に余裕がないように見えます。そして、妻の年収を当てにしている感が、この問題を大きくしている気がする。もっと視野を広くしたほうがいい。いろいろな人生、いろいろな夫婦の形がありますから」

「彼女に釣られてみればよい。よい奥様になると思います」

彼女は専業主婦志向が強いのかもしれない(写真はイメージ)
彼女は専業主婦志向が強いのかもしれない(写真はイメージ)

   その一方で、投稿者の彼女に対する疑問も寄せられた。「彼女は専業主婦志向が強い」「向上心が感じられないので、キャリアアップや収入増を期待しても無理だ」というのだ。

「あなたの彼女さんは、将来は旦那さんの扶養に入ればよいと思っているのです。誰かに養ってもらう前提です。だから、『気遣いがとてもでき』『家事や掃除も丁寧にでき』『他人の幸せを考えられる優しい人』なのです。
将来、自分を養ってくれる男性を釣るためのエサには余念がない様子。釣られてみればよい。よい奥様になると思いますよ。決して前に出て、あなたの隣で一緒に戦ったり、足並みそろえて走ったりはしないでしょう。
ですが、後方支援はしてくれると思うしかない。選ぶのも、選ばないのもあなたの自由です」
「家事などが得意というのも、婚活女性がよく言うセリフそのものです。最初からそのつもりであなたと付き合っていると思います。彼女の辞書に『リスクヘッジ』なんて言葉はないのでは?」
「仕事はソコソコ、そこまで頑張りたくない。つつましく暮らせるくらいでよい。(中略)彼女もひと踏ん張りして正社員くらいにはなれるかもしれない。でもさ、正直言えば、普通に子どもを産んで生活できない仕事を与える会社が普通にある。正社員になるってことは、多少年収が上がる程度で、こき使われるのではないか。
依然として女性の平均年収は低いのです。そこから逃げたければ、頑張って上を目指すか、まともに稼げる男性と結婚してほどほどの生活で満足するのが実情です」

「非正規は生活面での不安が大きいが、メンタルは壊しにくい」

非正規でストレスなく働くことが彼女の希望か(写真はイメージ)
非正規でストレスなく働くことが彼女の希望か(写真はイメージ)

   もっとも、「彼女が非正規を選ぶには体力的な問題など、それなりの理由がある。それをわかってあげるべきだ」「何でも正社員がいいという考え方はおかしい」という意見も相次いだ。

「私は彼女タイプだった。体が弱くて、仕事のセンスはあっても体力がもたないタイプ。彼女のキャパオーバーにならない仕事量が今の量なのだと思います。
頑張れてしまうタイプには、先天的に体力がないタイプのことは理解できません。加えて女性は月一で必ず生理が来ます。身動き取れなくなるほど痛くなり、精神的にダメージの大きい女性もいれば、PMSってなに? 生理痛? ホントにあるの?みたいな女性もいます。
でも、世の中にはそれでも結婚したい、そう本当に思っているタイプの男性もいるのですよ。私はそう言うタイプの人と結婚しました。毎月の生理も把握して休んでいていいよ、ゆっくりしていてと言われます」
「(仕事のストレスで、こころの病になったことがあり、)なぜ仕事が原因で死ななきゃならないのだ、もう無理はしないと考えを変えました。その後は非正規に切り替えました。細く長く体が動かなくなるまで働いていくつもりです。縁があったので結婚しました。 非正規のほうが生活面での不安が大きいだろうという考えもあるでしょうが、生活のための正規の仕事ではメンタルを崩しやすい。彼女とはお別れして、もっとタフな女性を探しましょう」

「損得を考えているうちは、その相手との結婚は無理」

男女の愛ってなんだろう(写真はイメージ)
男女の愛ってなんだろう(写真はイメージ)

   むしろ、「彼女はおススメ」「今どき珍しいステキな人だ」と称賛する意見もあった。

「経済力に走らない女性は今や貴重じゃないですか? 年収600万円の女性が絶対我慢しないこと(妻業や家庭運営)も、抵抗なくできそうで、バリキャリの私は彼女を尊敬します」
「家事や掃除が上手で貴方を大切にしてくれる彼女は素晴らしい。2人の年収合計は800万円台なので結婚しても大丈夫」
「彼女がバリキャリになったら、あなたなんて相手にしないんじゃないかしら。年収1000万円稼ぐ、いい男にさらわれてしまうわよ。こんな女性を息子のお嫁さんに欲しいものだわ」
「こういう投稿をパートナーに話すと、相方は『損得を考えているうちは、その相手とは無理だよね』と言います。私は、彼女は好きな仕事をしているから、ストレスが少なく、病気や仕事を辞めてしまうリスクが少ない、ローリスクローリターンで安定していると考えます。また、楽しく仕事をして、高給を稼ぐ女性はあなたを選ばない気がします」

   最後に、「私の夫もアルバイトだったが、正社員の私が養ってあげた」という女性の投稿を紹介したい。

「私の夫も、私と出会った35歳時点で契約社員ですらないアルバイトでした。社会保険ナシ、貯金ほぼナシ、掛け捨ての医療保険のみ。で、何していたかというと、居心地のよい職場で、薄給で働きながら好きな分野で通信制の大学に入り直して勉強していました。
好きなことをしてイキイキしているし、好きなことなら何時間でも話せるところ、一途で真面目なところ、愚痴や悪口を言わない正々堂々としたところ。全部、自由に生きているからなのだろうなーと思えた。結婚当時、私は普通に稼げていたので、なんなら私が養ってもいいとも思いました。それくらい、彼の大らかさが私には必要だったのですよ。
でも結婚して、すぐに妊娠が判明したら驚く速さで就職しましたし、今はその職場でも役職持ちです。働き過ぎた私が仕事を辞めて、今は攻守交替といったところです。
人生は長いので、あなたのいうリスクヘッジとかも必要でしょうけど、結婚生活も長いので、本当に必要な相手だったら必ず手に入れたほうがいい。何も考えていないように見える人でも、大事なものが備わっていれば何とかなる」

「家事手伝い」が存在した一昔前の価値観を感じる

   J‐CASTニュース会社ウォッチ編集部では、非正規雇用に甘んじる結婚相手女性の将来に対する危機意識のなさを嘆く男性の投稿をめぐる論争について、働き方に詳しいワークスタイル研究家の川上敬太郎さんに意見を求めた。

――この投稿とさまざまな回答を読んで、率直にどのような感想を持ちましたか?

川上敬太郎さん「投稿者さんが『気遣いがとてもでき、家事や掃除も丁寧にでき、他人の幸せを考えられる優しい人』と書かれていることから、彼女がとても素敵な方であることが伝わってきます。それだけに、将来設計の見通しの甘さを感じてしまう点だけが目立つ形でクローズアップされてしまうのかもしれません。
一方で、投稿者さんが気にされている点は、人によってはたいして気にならないことでもあるのだと思います。そのあたりの見方や価値観が人それぞれであるだけに、回答者の方々の意見も賛否両論入り乱れている印象を受けます。
また、投稿者さんが悩まれている内容に時代の変化を感じました。一昔前の日本には『家事手伝い』や『家事見習い』という肩書きが存在していたように、学校を卒業した後、仕事に就かずにいる女性は決して珍しくありませんでした。その点、投稿者さんの彼女は仕事をしていて収入があります。しかし投稿者さんは、彼女の将来設計が甘いのではないかと感じています。一昔前の価値観とは、隔世の感があるように思いました」

   今回の結婚をめぐる投稿について、川上さんのアドバイスも熱を帯びました――。<「性格いいけど、非正規、貯金ゼロ...正社員も断る。こんな女性と結婚して大丈夫?」男性の投稿が炎上...「バリキャリと結婚したら」「専業主婦志向では」と賛否...専門家に聞いた(2)>に続きます。

(福田和郎)