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大学生の就職内定率、2年連続上昇...理系>文系、女子>男子の結果に 短大生も上昇したが、大学生とは「格差」(鷲尾香一)

   就職内定率が回復に向かっている。文部科学省と厚生労働省の調査による2022年12月1日時点の2023年3月卒業予定者の就職内定状況は、大学で前年同期比1.4ポイント上昇し、84.4%と2年連続で上昇した。

大学生の就職希望率...男子71.6%、女子83.8% やや減少傾向

   文科省と厚労省は2023年1月20日、「令和5年3月大学等卒業予定者の就職内定状況(令和4年12月1日現在)」を公表した。調査対象は、全国の大学62校(4770人)、短期大学20校(520人)、専門学校20校(560人)など。

   それによると、大学の就職内定率は新型コロナウイルスの感染拡大本格化の影響を受けた2021年3月卒では前年同期比4.9ポイント低下の82.2%だったが、その後は2年連続で回復し、2023年3月卒は84.4%となった。

   男女別では、男子大学生の就職内定率は82.8%前年同期比1.5ポイント上昇して82.8%に、女子は同1.5ポイント上昇して86.5%となった。ともに2年連続での回復となった。

   男女を比較すると、2013年卒に男子74.5%、女子75.6%と男子の内定率を女子が逆転して以降、2023年卒まで11年間、女子の内定率が男子を上回る状況が続いている。(表1)

   この男女の内定率の差の一因となっているのが、就職希望率だ。

   大学生の就職希望率は内定率と同様に2021年卒が前年同月比4.9ポイント低下して79.0%になった後も、2022年卒が同1.5%低下の77.7%、2023年卒が0.9%低下の76.7%と低下を続け、就職を希望しない大学生が増え続けている。

   特に、女子大学生の就職希望率が80%台半ばで推移しているのに対して(2023年卒の女子は83.8%)、男子大学生は2021年卒74.0%、2022年卒72.5%と低下し、2023年卒は71.6%と約3割の男子大学生が就職を希望していない状況となっている。(表2)

   文系・理系別の就職内定率では、文系の就職内定率は前年同期比1.8ポイント上昇して83.9%、理系の就職内定率は同0.6ポイント低下して86.7%となった。文系では2年続けて上昇したが、理系では2022年卒は前年同期比1.3ポイント上昇したものの、2023年卒は低下した。

   ただ、両者の就職内定率が一時的に接近した2009年卒の文系80.4%、理系80.8%を除けば、理系の内定率が文系を上回る構造が続いている。(表3)

短大の就職内定率69.4%、専修学校の就職内定率69.8%

   大学生の就職内定率が上昇しているのに対して、苦戦しているのが短期大学(女子)と専修学校だ。

   短大の就職内定率は前年同期比6.6ポイント上昇したが、それでも70%に届かず、69.4%となっている。約3割の短大生が、内定を得られていない状況だ。

   1年前と比較すると、短大の内定率は2021年卒が前年同期比14.4%と大幅低下した60%を割り込み、57.6%となった。当時、4割以上の短大生が、内定を得られない状況だった。

   その後、2022年卒は同5.2ポイント上昇して62.8%に、2023年卒が69.4%に回復してきている。だが、大学生の83.9%と比べたら、14.5%も格差がある。

   同様に、専修学校の内定率は前年同期比0.4ポイント低下して、69.8%となった。

   専修学校も短大と同様に、1年前と比較すると、2021年卒の内定率が前年同期比で11.7%の大幅低下をして64.4%となっていた。

   その後、2022年卒は同5.8%上昇して70.2%まで回復したが、2023年卒は再び低下しており、短大と同様に約3割の専修学校生が内定を得られていない状況だ。(表4)

   この後、文科省と厚労省の両省は2023年2月1日時点の内定状況を発表する予定だ。再び猛威を振るっている新型コロナ禍にあっても、学生の就職内定率が改善していることを期待したい。