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若き新入社員の悩み...入社後のネガティブギャップ 残念に感じた1位は「任される仕事の内容」

   進学・就職などの新生活を控えた3月。入った会社で自分が活躍できるのか?もっと成長できる環境があるんじゃないか? そう若いころを思い出すビジネスマンも少なくないだろう。

   経営・組織コンサルティングのエッグフォワード(東京都港区)は2023年3月3日、企業の成長意欲の高い新入社員を対象に、新人若手の成長に関する実態調査の結果を発表した。

   それによると、新卒2年目までの若手社員のうち、任される仕事にギャップと先行きの不安を感じる割合が90%以上に上り、約半数が転職を検討したことがあるという。

  • 会社で活躍する新入社員(写真はイメージです)
    会社で活躍する新入社員(写真はイメージです)
  • 会社で活躍する新入社員(写真はイメージです)

若手社員、成長にジレンマ? 上司とよくコミュニケーションとる「41.5%」

   今回の調査では2023年1月20日から1月25日までの間に、毎年5人以上新卒採用を実施している企業に勤める、成長意欲の高い新入社員101人を対象にインターネット調査を実施したものだ。

新人若手の成長に関する実態調査図表1 エッグフォワードの作成。
新人若手の成長に関する実態調査図表1 エッグフォワードの作成。

   まず、問1では入社前と入社後で残念に感じたギャップを複数回答で聞いたところ、「任される仕事の内容」が「41.1%」で最大だった。(図表1)

   次いで「仕事量・労働時間」が「24.8%」、「給与や福利厚生等の処遇」が「23.8%」という結果になり、全体の9割以上が入社後にネガティブなギャップを感じ、4割以上が「任される仕事内容」に不満を感じていることがわかった。

新人若手の成長に関する実態調査図表2 エッグフォワードの作成。
新人若手の成長に関する実態調査図表2 エッグフォワードの作成。

   続いて問2を見てみると、育成担当者または上司と新入社員の成長についてコミュニケーションをとっているかについては、よくとっているが「41.5%」だった。一方で、「あまりとっていない」「ほとんど話をしていない」「話はするが、成長をテーマにしたコミュニケーションはほとんどない」を合わせると半数以上(54.5%)の新入社員が「上司や育成担当者とコミュニケーションがとれていない」と回答した。(図表2)

新人若手の成長に関する実態調査図表3 エッグフォワードの作成。
新人若手の成長に関する実態調査図表3 エッグフォワードの作成。

   次いで問3では「入社当時を振り返って、現在の自身の成長をどのように感じていますか。」と質問したところ、「思い描いていたほど、成長できていない気がする」が「34.7%」で最多となっている。

   ほかに、「期待していたような成長の手ごたえは全くない」が「16.8%」、「成長できているかどうか、わからない」が「13.9%」となった。以上をあわせて、およそ65%の新入社員が入社から成長の手ごたえを感じていないことが明らかになった。(図表3)

育成環境に不安の声...「先輩が忙しすぎて後輩を育てる時間がない」?

新人若手の成長に関する実態調査図表4 エッグフォワードの作成。
新人若手の成長に関する実態調査図表4 エッグフォワードの作成。

   次の問4では、「今後、あなたの会社では若手が次々と育つと思いますか」と質問したところ、「そう思わない」が「36.8%」で、「そう思う」の28.5%を超える結果に。約3人に1人が「今後自身の勤める会社では若手が育たない」と実感しているようだ。(図表4)

   問5でその理由を尋ねてみると、「そう思わない」と回答した若手からは、

「若手を育てるのが遅い、若手に裁量のある仕事が回ってこない」
「先輩が忙しすぎて後輩を育てる時間は取れないだろうと感じる」
「昭和の考えを持った人間ばかりだから。このままでは若手は活躍しないままどんどんやめていくと思う」

などの意見が集まった。

   一方で、「そう思う」と回答した人からは

「研修自体はしっかりしていて、そのあとのサポートもしっかりしていると思うから」
「若手に仕事を任せてもらえる機会が多いから」
「1、2年目でも大きな案件を持てたり、社内のMVPが取れたりするから」

などのコメントが挙がっている。

新人若手の成長に関する実態調査図表5 エッグフォワードの作成。
新人若手の成長に関する実態調査図表5 エッグフォワードの作成。

   さらに問6では、「もし学生時代に戻れる場合、改めて今の会社に新卒で入社したいと思いますか」と聞いたところ、「はい」が「32.7%」で「いいえ」は「38.6%」と否定的な意見がやや多かった。(図表5)

新人若手の成長に関する実態調査図表6 エッグフォワードの作成。
新人若手の成長に関する実態調査図表6 エッグフォワードの作成。

   仕事やキャリアの相談相手について尋ねる質問では、相談相手に「社外の友人」が45.5%、「家族」が43.6%、「同僚」が34.7%となった。「上司」に相談する若手社員は「26.7%」にとどまることがわかった。さらに、「相談相手はいない」とした孤立した社員が10.9%ほどいることが明らかになり、少し心配だ。(図表6)

新人若手の成長に関する実態調査図表7 エッグフォワードの作成。
新人若手の成長に関する実態調査図表7 エッグフォワードの作成。

   最後の質問では「あなたは現在、転職を考えていますか」に対しては、「具体的にアクション(行動)している」(10.6%)、「考えているが、情報収集にとどまる」(18.9%)、「考えているが特に行動はしていない」(24.2%)で、これらをあわせると転職を視野に入れている人は54.5%に上ることが分かった。(図表7)

   今回の調査を受けて同社では、調査結果を分析してまとめている。

「自身の成長に関して半数以上が『想い描いた通りの成長ができていない』と回答しており、また、同時に育成担当者・上司との成長に関するコミュニケーションが十分に取れていない実態も明らかになりました。
仕事やキャリアの相談先で最も多いのは『社外の友人』次いで『家族』であり、社内の同僚・上司への相談は、4割未満に留まりました。
こうしたことから、成長に不安を抱える若手社員が非常に多いにもかかわらず、社内で相談できる関係性や成長に関するコミュニケーションが十分に取れていない様子が伺えます
―若手にとって転職は、以前より身近な選択肢となりました。成長意欲の高い若手は、既に次のキャリアアップに向けて粛々と準備を進めています。会社の上司・同僚が気付かぬうちに、会社の将来を憂い、次の自分の成長の場を探している様子が、調査結果から明らかになりました」

   なお、調査は2023年1月20日から1月25日にかけて、DEATECHが提供するリサーチPR「リサピー」の企画によるインターネット調査で実施。毎年5名以上新卒採用を実施しているホワイトカラーの企業に勤める成長意欲の高い新入社員101名が対象。事前アンケートで、「社内又は社外で、早く活躍できる人材に成長したいと思いますか。」という質問に対し「はい」と回答した人のみを調査対象として抽出した。