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人間関係よりもツライ?! 調査で判明...自営業・フリーランスが「確定申告」にかかる時間、平均752分!

   サラリーマンでよかったことの一つは、税金の控除や還付金などの申請が年末調整だけで終わることかもしれない...。

   アメリカン・エキスプレスが2023年3月8日に発表した、全国の自営業とフリーランスとして働く男女600人が対象の「確定申告に関する実態調査」の結果を見ると、そんなふうに感じるのではないだろうか。

   調査結果によると、個人事業主やフリーランスの確定申告のため領収書の整理集計、帳簿の作成などの作業に、合計で平均752分(約12時間半)もかかっていることがわかり、感じるストレスは仕事の人間関係よりも強いという。

   ビジネスパーソンでも、近年は大手企業が元社員と業務委託契約を締結する「個人事業主制度」を導入したり、副業を解禁する企業があったりするなど、確定申告について知っておく必要があるのかもしれない。

  • 終わらない伝票の処理…(写真はイメージです)
    終わらない伝票の処理…(写真はイメージです)
  • 終わらない伝票の処理…(写真はイメージです)

「必要書類の取りまとめ」129分、「データの集計」127分、「集計結果の記入」121分...

   この調査は、個人事業主やフリーランス向けの法人クレジットカード(ビジネスカード)の事業を展開するアメリカン・エキスプレスが実施。2023年2月7日から2月9日までの間に、全国の自営業またはフリーランスで確定申告をする男女計600人(事業年数4年以上が400人、4年未満が200人)を対象にインターネット調査をおこなった。

確定申告にかかる時間(図表1)
確定申告にかかる時間(図表1)

   まずは、確定申告について勉強したり、領収書など必要書類を取りまとめたり、データを集計したりと、必要な作業にどれくらい時間がかかっているか聞いた。(図表1)

   結果をみると、「確定申告についての勉強や情報収集」に96分、「源泉徴収票や領収書など必要書類の取りまとめ」に129分、「データの集計」に127分、「集計結果の記入や入力」に121分など、全体平均の合計値は752分(12時間32分)かかっていることがわかった。年度末の忙しい時期に、一日2時間やっても6日間かかる計算になるから、それなりに手間のかかる作業である。

確定申告で大変だと思う作業(図表2)
確定申告で大変だと思う作業(図表2)

   次に、確定申告で大変だと思う作業について質問すると、1位が「源泉徴収票や領収書など必要書類のとりまとめ」(43.8%)、2位には「データの集計」(37.8%)、3位が「日々の帳簿付け」(36.5%)という結果になった。(図表2)

   事業に必要な経費を落とすためには日々の領収書を集めておいて、年度末に整理・データ集計する人は多いが、1年分のたまった領収書を処理するとなると、手がかかるはずだ。

個人事業主のストレス...最多は「納税や確定申告」 「仕事上の人間関係」「仕事量の多さ」より多い

ストレスを感じる人の割合(図表3-1)
ストレスを感じる人の割合(図表3-1)

   続いて、自営業やフリーランスの人がどんなことにストレスを感じているかを問いかけたところ、1番多かったのが「納税や確定申告」(70.7%)となり、「仕事上の人間関係」(48.0%)や「仕事量の多さ」(41.2%)を大きく上回った。(図表3-1)

年商別、納税や確定申告にストレスを感じる人の割合(図表3-2)
年商別、納税や確定申告にストレスを感じる人の割合(図表3-2)

   年商別での内訳をみると、年商200万円未満で65.1%が確定申告にストレスを感じており、年商1000万円以上ともなると75.4%の人がストレスを感じている。傾向として、年商や事業規模が大きくなると、確定申告の作業も多くなり、強いストレスを感じている。(図表3-2)

(図表8)(図表9)
(図表8)(図表9)

   一方で、ビジネスカードの利用実態に関する質問を見てみよう。

   事業経費の支払いに使用しているクレジットカードの種類を聞くと、「プライベート用の個人カード」が「49.0%」で、「ビジネス用の個人カード」は「13.0%」、ビジネスカードと呼ばれる「法人カード」を使っている人は8.0%となった。(図表8)

   ビジネスでの支払いとプライベートでの支払いでカードを使い分けているかどうかの質問では、使い分けている人が「14.7%」で、「分けていない」と「カードを使っていない」割合は合計で「85.4%」に上った。(図表9)

   この結果を受けて、起業コンサルタントで税理士の中野裕哲氏は

「コロナ禍以降、フリーランスや自営業が増えているというニュースも出ていますが、昨年は国内の大手企業が元社員と業務委託契約を締結する『個人事業主制度』を導入するなど、個人での働き方というのが『当たり前』の世の中になってきていると感じます。人生100年時代ともいわれていますが、長い人生、個人事業主として老後も働き続けるという考え方もよく聞かれるようになりました。
また副業をしている人から確定申告の疑問や『どうやって進めたらいいのか』という相談を受けることは増えており、最近は大企業の人事部の方から『副業をしている人に確定申告のセミナーをやってくれないか』という依頼を受けることもあります」

   とコメント。また、今回の調査結果に、「確定申告にストレスを感じている人が思っているよりも多い」と中野氏は見ている。

「『仕事上の人間関係』よりもストレスを感じている人が多いということは驚きました。確定申告にストレスを強く感じる方というのは、おそらく帳簿付けなどをせず、申告期限まで前年の領収書などをためてしまっている人なのではないかと思います。また記録をしっかりと残せていないと、領収書をなくしてしまった際に経費としての処理ができなくなり、人によっては『損をした』感覚になってしまう場合もあるのではないでしょうか」

   また、確定申告の悩みや不安を解決する方法として、

「会計ソフトと連動できるビジネスカードの導入はお勧めです。自動的にお金の出入りが記録されるので、キャッシュで払う場合と違って、レシートなどをなくして困ることも少なくなります。また会計ソフトを通して集計を行ったり、一覧化して確認することができるのも大きなメリットです」

   とアドバイスしている。

   なお、「2022年度 確定申告に関する実態調査」は2022年2月7日から2月9日の期間に、インターネット調査で、全国の自営業またはフリーランスで自身で確定申告をする男女計600人を対象に行った。