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【2024年卒就活生】早くも内定率3割、進路確定率2割! 今年は業種、内定者が偏らず幅広い...内定辞退が多いから、チャンスはこれから!

   3月1日の「就職活動解禁日」を前に2023年卒大学生・大学院生の就職活動が本格化している。「ウィズコロナ」に入って経済活動が完全に再開したことを受け、企業側が若い人材確保に懸命だからだ。

   そんななか、リクルートの就職・採用関連の研究機関「就職みらい研究所」が2023年3月9日、2024年卒大学生・大学院生を対象にした就活状況を調べた「就職プロセス調査(2024年卒)『2023年2月1日時点 内定状況』」を発表した。

   3月1日時点で早くも内定率は約3割に達し、昨年を上回るハイペースで進んでいる。

  • 2024年卒就活生の動向は?
    2024年卒就活生の動向は?
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内定者、昨年より10%増の超速ペース...特に、理系が激しい

   調査によると、就職内定率(大学院生を除く)は30.3%で、同じ時点の昨年(2023年卒対象)の22.6%に比べ、10.7ポイントも上回る早いペースだ。現在の就職活動スケジュールとなった」2017年卒以降、過去最高となった【図表1】。

(図表1)就職内定率(リクルート就職みらい研究所の作成)
(図表1)就職内定率(リクルート就職みらい研究所の作成)

   内定率を文理別で見ると、「文系」が28.2%(前年比プラス7.8ポイント)、「理系」が35.3%(同プラス9.3ポイント)。特に「理系」は2月1日時点から15.0ポイントも増加した。男女別では、女性(30.4%、同プラス7.2ポイント)のほうが男性(30.2%、同プラス7.7ポイント)よりもやや高いことが目につく。

   内定取得先の業種をみると、情報・通信業が26.7%と、ダントツに高いことが特徴だ。ITスキルを持つ人材は、世界的に奪い合いが激しく、優秀な学生は早くから海外から誘いの手が伸びるため、IT系企業の選考が早く進むようだ。

   次いで、ウィズコロナで企業活動が活発化したサービス業(15.8%)、小売業(12.6%)、製造業(機械器具以外、11.6%)などが上位に並んだ。また、客が戻ってきた「飲食店・宿泊業」(8.8%)が昨年の4倍以上のペースであることが目立つ【図表2】。

(図表2)3月1日時点の内定取得先企業の業種(リクルート就職みらい研究所の作成)
(図表2)3月1日時点の内定取得先企業の業種(リクルート就職みらい研究所の作成)

   上位では、製造業以外は昨年に比べて割合は減少し、その分、ほかの業種の割合が増えていることから、より幅広い業種から内定を得ている様子がうかがえる。

   内定を取得した企業数をみると、平均1.59社で、前年の1.67社より減っている。内定取得者のうち2社以上内定を取得した学生の割合は35.8%で、昨年の35.1%よりやや高い【図表3】。

(図表3)内定取得企業数(リクルート就職みらい研究所の作成)
(図表3)内定取得企業数(リクルート就職みらい研究所の作成)

内定取得後も、より志望度の高い企業を目指す学生が増加

   さらに、早いスタートダッシュを反映して、進路確定も率も約2割近い16.8%(同プラス2.7%)と高い水準に達している【図表4】。その一方で、昨年同様に内定辞退企業数が多いことも今年の特徴だ。早くも2社以上を辞退した人が7.0%いるのだ。

(図表4)進路確定率(リクルート就職みらい研究所の作成)
(図表4)進路確定率(リクルート就職みらい研究所の作成)

   こうした結果から、特定の業種、特定の学生に内定が集中することなく、幅広く分け合う傾向が見られることが、昨年に続き今年の特徴のようだ。

   就職活動の実施率をみると、88.2%で昨年同時点(89.3%)よりやや低い。具体的な活動内容を聞くと(複数回答可)、「就職に関する情報を収集した」(88.0%)、「インターンシップに参加した」(72.9%)、「エントリーシートなどの書類を提出した」(69.8%)、「適性検査や筆記試験を受けた」(69.2%)などが上位に並んだ【図表5】。

(図表5)2月末までの各活動実施状況(リクルート就職みらい研究所の作成)
(図表5)2月末までの各活動実施状況(リクルート就職みらい研究所の作成)

   ほぼ全員が情報集めを開始しており、具体的に適性検査や選考試験を受ける段階まで進んだ学生が多いことがうかがえる。「最終面接を受けた」という学生も28.7%(同プラス10.5ポイント)おり、受けた企業数の平均は1.59社だった。

さあ、面接頑張ろう(写真はイメージ)
さあ、面接頑張ろう(写真はイメージ)

   就職みらい研究所所長の栗田貴祥氏はこうコメントしている。

「各プロセスの活動詳細のうち『最終面接を受けた』を見ると、2月中の活動実施量は平均1.59社(マイナス0.3社)でしたが、活動実施率は28.7%(プラス10.5ポイント)と、前年と比べてより多くの学生が最終面接を経験したことで、内定率の高さにつながったと考えられます。
一方で、就職活動実施率は全体が88.2%、そのうち内定取得者が77.9%となっており、内定を取得した学生の多くが就職活動を継続していることが分かります。今後、より志望度の高い企業から内定を得ることで、選考辞退・内定辞退が増加すると考えられます。
学生の皆さんは、高い内定率や周囲の様子から焦ってしまう気持ちもあるかもしれませんが、3月から企業の採用広報が本格的に開始されています。
これから選考を受けられる方も、納得できる進路を自分で選択するために、必要な情報収集や企業との対話を重ねながら、自身の考えや仕事の理解を深めていきましょう」

   調査は、2023年3月1日~6日、2024年卒業予定の大学生・大学院生を対象に、リクルートが運営する就活支援サイト「リクナビ」のモニターに登録した学生3219人(大学生2476人・大学院生743人)にアンケートした。(福田和郎)