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社員の平均年収は1100万円超、ベイカレント・コンサルティング...気になる業績推移や株価もチェック!【よくわかる企業分析】

   就職先や転職先、投資先を選ぶとき、会社の業績だけでなく従業員数や給与の増減も気になりませんか?

   上場企業の財務諸表から社員の給与情報などをさぐる「のぞき見! となりの会社」。今回取り上げるのは、DXプロジェクトで業績を急速に伸ばしているベイカレント・コンサルティング(以下、ベイカレント)です。

   ベイカレントは、1998年に有限会社ピーシーワークスとして神奈川県藤沢市で設立。2006年に現在の社名になりました。2014年に投資ファンドの出資を受けてMBO(マネジメント・バイアウト)を実施し、2016年に東証マザーズ上場、2018年に東証一部(現プライム)に市場変更しています。

業績絶好調! 8期連続「増収増益」を達成見込み

   それではまず、ベイカレントの近年の業績の推移を見てみましょう。

   ベイカレント(IFRS・非連結)は2022年2月期、7期連続増収増益を達成しました。売上収益は4期前の2.8倍、営業利益は同5.2倍と急成長しています。

   この理由について、有価証券報告書は「これは主に、DXに関連する案件によるもの」と記載しています。大手企業の事業部門やIT部門に対し、ITシステムの導入検討から企画設計、開発、導入、保守運用までの各種支援を行っているということです。

   多くの会社が業績悪化に苦しんだコロナ禍でも収益性には影響がなく、営業利益率は2021年2月期に31.6%、2022年2月期に37.3%と上昇しています。

   同じく東証に上場しているコンサルティング会社の野村総合研究所の営業利益率17.4%(2022年3月期)、シグマクシス・ホールディングスの17.6%(同)、三菱総合研究所の7.9%(2022年9月期)と比べても、非常に高い利益率であることが分かります。

   2023年2月期の業績予想は、売上収益が前期比23.3%増の711億円、営業利益が同20.8%増の260億円、当期利益が同18.7%増の184.5億円となり、8期連続増収増益を達成見込みです。

   なお、今年1月に発表された第3四半期の進捗は、売上収益が77.4%、営業利益が80.4%、当期利益が80.3%と順調そのものです。

粗利率53% 売上原価は「コンサルタントの人件費」

   ベイカレントは「コンサルティング事業」の単一セグメント。市場・顧客別の売上利益などの内訳が開示されていないので、今回は費用の内訳を見ていきます。

   2022年2月期の売上総利益率(粗利率)は53.0%。前期の47.1%を大きく上回り5割を超えています。

   売上原価の95.8%を占めるのは人件費で、前期比20.1%増。その額は259億円にものぼります。

   なお、販管費にも人件費が計上されていますが、前者はプロジェクトに直接ひもづけられるコンサルタントの人件費、後者はコンサルティング事業を支えるバックオフィスの人件費として別々に計上されているものと考えられます。

   前期比で大きく伸びているのは「採用研修費」で、2021年2月期の12.7億円から2022年2月期には20.9億円と、64.7%も増えています。人件費の伸びから考えると研修費よりも、求人広告費や人材紹介会社への成功報酬など採用費の割合が高いと予想されます。

   とはいえ、大企業の継続案件が多い大手コンサルティング会社は広告宣伝費がかからず、在庫も持たないので高い利益率につながります。

平均年齢32.6歳、平均年収1100万円超

   ベイカレントは非連結子会社を1社有していますが、重要性が乏しいため有価証券報告書の記載が省略されています。

   単体の従業員数は2018年2月末の1358人から、1531人、1839人、2161人と右肩上がりに伸びており、2022年2月末には2638人、前期比で22%増、4期前の約2倍となっています。

   平均年間給与(単体)も右肩上がりで、2018年2月期の898.1万円から2022年2月期には1106.9万円へと大幅に増えています。なお、この数字はコンサルタントだけでなくバックオフィスの社員の分も含まれており、コンサルタントのみの場合はさらに上がる可能性があります。

   なお、2022年2月期におけるコンサルタントの稼働率(プロジェクトに参画しているコンサルタントの割合)は約90%でした。

   ベイカレントの採用サイトを見ると、新卒採用のほか中途採用での募集が行われています。職種は、新卒採用ではコンサルタント職とコーポレート職、中途採用ではコンサルタントのみです。

   中途採用の応募資格は「4年制大学以上を卒業後、社会人経験3年以上の方」で、コンサルティング会社での勤務は必須ではなく、「新規入社者向け基礎研修」などの研修制度が用意されているようです。

「社員4000名体制」に向けて、積極採用はまだまだ続く

   ベイカレントの株価は2017年には100円を割り込んでいましたが、2018年からは300円台、2020年末には1800円台、2021年には6000円台と急騰しました。

   その後は一時3000円台に落ち込みましたが回復し、現在は5000円台半ばで推移しています。

   ベイカレントは2021年4月公表の「中期経営計画」で「2026年2月期において売上1000億円、EBITDA300億円超を目標とする」という数値を掲げています。2023年2月期の売上収益見込みが711億円ですので、現状では7割超の進捗率といえそうです。

   また、DXコンサルティングの進化、高付加価値化のさらなる推進を続けながら、「社員4000名体制の構築」を掲げています。2022年2月末の従業員数が2638人ですので、こちらも現状では7割程度進みつつ、今後も引き続き積極採用を行うと見られます。

   懸念材料があるとすれば、DXプロジェクトにかかわることのできる専門人材の奪い合いが進んでおり、ベイカレントでも採用費の上昇を招いています。

   比較的経験の浅い人材を採用し、研修等を通じてスキルを磨き上げていくことが、これまで以上に重要となるでしょう。異業種からベイカレントへの転職を考えている人は、この点についてどの程度手厚くなっているのか確認してもいいかもしれません。(こたつ経営研究所)