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話題の「Web3」の認知度は? 「まったく知らない」7割の調査結果 期待は「情報セキュリティの向上」

   電通(東京都港区)が、国内電通グループ横断のWeb3に関するプロジェクト「web3 club(ウェブスリークラブ)」のもと行った、「Web3に関する生活者意識調査」によると、Web3の認知度は70%の人は「知らない」とする調査結果がでた。

   Web3は「ブロックチェーン技術によって実現される、分散型インターネット」を意味する。従来のような中央集権的な管理者が存在せず、参加者同士で意思決定がなされるような仕組みである。たとえば、NFT、暗号資産などに使われる技術は、Web3に該当する。

   これらの言葉をインターネットやSNSで見かけることも増えてきたが、あなたはどれくらい理解しているだろうか?

  • 何かと話題のWeb3(画像はイメージです)
    何かと話題のWeb3(画像はイメージです)
  • 何かと話題のWeb3(画像はイメージです)

「Web1.0」や「Web2.0」との違いは?

   はじめに、Web3のあらましについて整理しておこう。

   Web3は、暗号資産で送金・決済のできるプラットフォームEtherume(イーサリアム)の創設者であるギャビン・ウッド氏が提唱した概念だ。

   Web3とは、「ブロックチェーン技術によって実現した分散型インターネット」と言いあらわされる。

   ブロックチェーン技術とは、通信ネットワーク上にあるパソコンやスマホ同士を直接接続して、取引記録に暗号技術を用い、それぞれの端末同士で決済や通信を処理・記録するデータベースの一種だという。「ビットコイン」等の仮想通貨にすでに用いられている技術だ。

   特長として、仲介業者やプラットフォームを通さずに、購入者が仮想通貨で購入した作品・製品・データの売上が著作者に直接はいるような仕組みになっており、注目を集めている。

   これまでのインターネットと比較すると、発信者からの一方的な情報を受信者が受け取るかたちだった「Web1.0」。SNSなどの情報の発信者と閲覧者の双方向でコミュニケーションする「Web2.0」。

   そして、次に出てきたのがApple storeやamazonなどといった「GAFA」(Google、Apple Facebook、Amazon.com)のプラットフォームに依存しない、セキュリティの高い個別のネットワークによるインターネットの在り方が、すなわち「Web3」だといえる。

   ちなみに、デジタル庁の説明するWeb3の影響についての資料をみてみると、

「経済社会の中核的要素である『金融』『資産・取引』『組織』等において、ブロックチェーン技術を活用した新しいサービス・ツールが出現しはじめており、これらは既存のサービス・ツールの役割を一部技術的に補完・代替する可能性があると考えられている。 それぞれのサービス・ツールによって便益やリスク、抱える問題点は様々であり、こうした動きが、将来の経済社会にどのような影響をもたらすかは不透明である」(デジタル庁Web3.0研究会第1回事務局説明資料 2022年10月5日)

   と紹介されている。

Web3の認知率は29.7% 15歳~19歳は約半数「48.6%」と高い結果に

   では、今回の電通のおこなった調査を見ていこう。この調査は「web3 club(ウェブスリークラブ)」のもと、15歳から69歳までの全国の生活者3000人を対象として、2022年11月10日から11月18日までインターネットアンケートで調査した。

(電通の作成)
(電通の作成)

   まずは、「Web3」の認知度をみてみると、「名前や特徴までよく知っている」が「2.3%」、「名前や特徴をある程度知っている」が「6.2%」、「名前だけは知っている」が「21.2%」で、「知っている」と答えた割合はあわせて「29.7%」となった。

   一方で、「まったく知らない」は過半数を上回る「70.3%」であり、まだ多くの生活者がWeb3について認知していないようだ。

(電通の作成)
(電通の作成)

   年齢別の構成比をみると、15歳から19歳までの男性は「名前や特徴までよく知っている」が「12.1%」、「名前や特徴をある程度知っている」が「10.3%」、「名前だけは知っている」が「26.2%」。以上を合計すると、つまり「認知している」人の割合は「48.6%」となった。他の層と比べて、最多となったのが特長だ。このほか、20代男性、30代男性、40代男性でも「認知している」人は約4割を超えた。

   他方で、女性の認知率は、15歳から19歳までで「認知している」人(「名前や特徴までよく知っている」「名前や特徴をある程度知っている」「名前だけは知っている」の合計)は「26.8%」、20代でも同「26.2%」、30代でも同「17.1%」、40代でも同「13.7%」と、年齢が上がると2割以下にまで認知率が下がってしまった。

(電通の作成)
(電通の作成)

   続いて、「名前や特徴までよく知っている」、「名前や特徴をある程度知っている」と回答した人がWeb3に期待することの質問では、「分散管理によって情報セキュリティが向上する」(36.5%)、「特定の企業によって一方的にルール改変が行われなくなる」(34.1%)、「各種デジタルプラットフォームを横断的に使えるツール、アイテム、データが増える」(34.1%)などが上位となった。

   また、「名前や特徴までよく知っている」と回答した人の最も期待が高いことは、コミュニティで合意を作り、メンバーへのインセンティブを直接支払う「DAO(分散型自立組織)の仕組みが、現実の企業組織などのあり方や体制を変える」(50.0%)という結果になった。

(電通の作成)
(電通の作成)

   最後に、同じく「名前や特徴までよく知っている」「名前や特徴をある程度知っている」と回答した人がweb3について不安や不満に思っていることは、「国民の理解が不足していること」(29.4%)、「サイバー攻撃による情報セキュリティへの不安があること」(29.0%)、「法制度(税制・会計・消費者保護など)が遅れていること」(28.2%)などが高い結果となった。