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中小企業のDX、どれくらい進んでいる? 進まない理由3位「何から手を付ければいいかわからない」、2位「現場の意識・理解が進まない」...では、1位は?

   「生産性の向上」や「業務効率の促進」、「継続的な成長」のためには、ビジネスへのデジタル・トランスフォーメーション(=DX)の導入が、企業の喫緊の課題だといわれて久しい。では、中小企業や中堅企業におけるDXへの意識とはどんなものなのだろうか?

   リコー(東京都大田区)とリコージャパン(東京都港区)のグループが2023年3月23日に発表した、顧客の中小・中堅企業約2700社に対しておこなった「DXに関する『ホンネ』を聞くアンケート」の調査結果によると、DXに必要性を感じていながら、取り組めているのは2割以下との実情がわかった。

   また、企業が抱えるDX化の課題には、「何から手を付ければいいかわからない」(29.8%)、「現場の意識・理解が進まない」(33.1%)、「費用対効果が見えない」(41.8%)などが挙がり、経営者の理解もあまり進んでいないという結果が出た。

  • 中小企業のDX導入の課題とは?(画像はイメージです)
    中小企業のDX導入の課題とは?(画像はイメージです)
  • 中小企業のDX導入の課題とは?(画像はイメージです)

DXにふみきれない状況浮き彫りに 物価高、不安定な世界情勢からコスト意識が切実

   この調査は2023年2月9日から3月10日まで、リコージャパンの顧客年間売上300億円規模以下の顧客を中心にインターネットで聴取したもの。有効回答数は2737件を得た。

(リコーとリコージャパンの作成)
(リコーとリコージャパンの作成)

   はじめに、DXの必要性について尋ねると、「必要だと思う」(26.7%)と「ある程度必要だと思う」(36.4%)を合わせて、「63.1%」の企業がDXに必要性を感じていることが明らかになった。

   また、すでに「DXに取り組んでいる」と回答した企業は「19.1%」。残る企業ではDXが必要だと感じているものの、実際にはなかなかDXを進められていないようだ。

   このような調査結果を受けて同グループでは

「世界的な物価高や不安定な世界情勢が続くなかで、中堅中小企業のコスト意識はさらに切実なものとなっていることは、DXにふみきれない状況に少なからず影響していると推察されます」

   とコメントしている。

(リコーとリコージャパンの作成)
(リコーとリコージャパンの作成)

   続いて、DXが推進できていない理由を見てみると、「費用対効果が見えない」が「41.8%」となり、次いで「職場の意識・理解が足りない」が「33.1%」、「何から手をつければいいかわからない」が「29.8%」だった。「何から手を付ければいいかわからない」という不安を感じている企業が3社にひとつある計算になる。

   さらに、DXを進めるにあたり、「社外の相談相手が必要か」を聞くと、「社外に相談相手が必要」(24.2%)、「ある程度必要だと思う」(37.5%)と、合わせて「61.7%」が社外からDXについてアドバイスできる人材を求めているようだ。

   同グループは

「以上の調査結果からDXに対する知識不足やIT人材不足により、『何から手をつければ良いかわからない』といった不安を抱えている中堅中小企業のお客様には、一方通行になりがちなオンラインによるやりとりではなく、DXについて直接会って気軽に相談ができる相手『アナログな相談相手』のサポートが必要であると考えられます」

   とまとめている。

DXの理解が進んでない経営者「57.2%」 経営者のDXへの理解不足がDXを遅らせる原因に!

   つぎに、今後DXを進めるにあたってキーマンとなる経営者に、「DXへの理解度」や「意識について『ホンネ』」を聞いた。

(リコーとリコージャパンの作成)
(リコーとリコージャパンの作成)

   その結果、「理解していない」(13.7%)、「あまり理解していない」(20.9%)、「わからないどちらともいえない」(22.7%)を合わせて「57.2%」の経営者がDXについて理解が進んでいないことを打ち明けた。

   経営者の声をみると、

業務との関連性が見えない(運輸業)
DXを活かす余地がない(学術研究、専門・技術サービス業)
DXについて知らない(建設業/建築)

   などが挙がっている。

(リコーとリコージャパンの作成)
(リコーとリコージャパンの作成)

   今度は地域別にDXの実施状況を見てみると、一番DXの取り組みが進んでいるのが「関東ブロック」(22.3%)となった。

   また、「DXに取り組む予定はない」と回答した企業の割合が最も高いのが「北海道ブロック」(21.4%)となり、「取組を検討している」の割合が最も高いのが「九州・沖縄ブロック」(22.3%)、「必要だと思うが取り組めていない」が最も高いのが「四国ブロック」(33.0%)という結果になった。

(リコーとリコージャパンの作成)
(リコーとリコージャパンの作成)

   最後に、アンケートの回答数が100以上の業界を対象に調査結果を分析したところ、「DXに既に取り組んでいる」という回答が最も多かったのは「情報・通信業」で「37.4%」となり、これは他の業界よりも突出して高い割合だった。

   一方で、「建設業(土木)」は「DXに既に取り組んでいる」と回答した割合が10.4%となり、最も低い結果となった。

   この結果に対して同グループでは、次のようなコメントを寄せている。

「社内または自宅でのデスクワークやテレワークが多く、業務のデジタル化が進んでいる業界と、現場など社外での作業や業務が多い業界とではDX推進率も異なり、また、パソコンで完結する業務が多い業種はDXを推進しやすい傾向にあることが見て取れました」
「現場での作業が多く、一つの業務に多くの人材が関わる「建設業(土木)」などの業界だからこそ、現場の進捗や工数管理といったタスク共有のデジタル化によって業務効率の向上が期待できます」
「今回の調査によって、中堅中小企業のDXの進捗や、業界・職種・地域ごとの様々な課題が浮き彫りになり、その解決には直接会って気軽に話せる"アナログな相談相手"のサポートが求められるという示唆も得られました」