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「眞子さんの話題で渦中に」70年ぶりの英国王戴冠式 海外メディアは秋篠宮ご夫妻をどう伝えている?(井津川倫子)

   2023年5月6日に行われる英国チャールズ国王の戴冠式に秋篠宮ご夫妻が参列されます。天皇陛下に代わって参列するもので、日本からは「Crown prince」(クラウンプリンス・皇太子)が出席すると、海外メディアが報道。ご夫妻はモナコやデンマーク、スウェーデンなどのロイヤルファミリーと並び、歴史的な瞬間に立ち会われます。

   暴露本の出版で、王室との関係が悪化しているヘンリー王子に注目が集まっていますが、なかには「フライング」で参列を宣言してしまった王族も...。英国王戴冠式をめぐっての動きを追ってみました。

英誌「秋篠宮ご夫妻は、眞子さんのことで見出しを飾ることが多い」と紹介

   報道によると、秋篠宮夫妻が外国王室の戴冠式に参列するのは初めてだそうです。「なぜ、天皇陛下ご夫妻ではなく秋篠宮ご夫妻が参列されるのか?」といった疑問が浮かびますが、各国とも戴冠式には国王や女王ではなく、王位継承者や妃がロイヤルファミリーの代表として参加するのが慣例だそうです。海外メディアは秋篠宮ご夫妻の参列について、次のように報じていました。

The Crown Prince of Japan will represent the Emperor at King Charles's coronation
(日本の皇太子が、天皇の代理人としてチャールズ国王の戴冠式に出席する:英誌タトラー)

   記事では、英国王室から招待状を受け取り、国家元首またはその代理人が式典に出席するよう要請されたこと、天皇陛下は、外国の王室の戴冠式に出席しないことが「protocol」(外交儀礼)となっていることから、伝統に従って皇太子を派遣することを選択した、と伝えています。

   秋篠宮ご夫妻の参列については、他メディアも「天皇陛下が『convention』(慣例)に従って代理を送る判断をした」と、淡々と事実を報じています。なかには、エリザベス女王の葬儀に天皇陛下が参列したことが「異例」だったとわざわざ記載しているメディアもあり、今のところ「なぜ、天皇陛下が戴冠式に参列しないのか」といった声は聞こえてきません。

   秋篠宮ご夫妻の参列については、あまり目立った報道はありませんが、なぜか英タトラー誌は「最高級ホテルクラリッジスに3泊される予定」など、宿泊先も詳しく報じています。日本メディアよりも詳しい報道に意表を突かれましたが、秋篠宮ご夫妻が眞子さんのことで「made headlines」(メディアの見出しを飾る)ことが多い、こともしっかり伝えていました。

   「make headlines」は、「見出しになる」「大ニュースになる」といった意味。テレビやニュースで大きく扱われる様子を伝える慣用句です。英タトラー誌は、眞子さんが皇室を離脱して一般人とご結婚されたことにさらっと触れる程度で、スキャンダラスな扱いではありません。宿泊ホテルは報じても、秋篠宮ご夫妻の人となりや活動についての言及はなく、少し寂しい気がしました。

   今回の戴冠式は「スリム化」を推し進めていて、エリザベス女王の時よりもかなり規模を縮小されるようです。招待客も8251人から約2000人に減らしたそうですから、貴重な招待状だと言えるでしょう。

   各国のロイヤルメンバー参列が伝えられるなか、2023年1月に出席を表明したモナコのアルベール2世が、海外元首としては「一番乗り」だったとされています。アルベール2世は雑誌ピープルのインタビューで、彼と妻のシャルレーヌ妃が出席することを明言して「感動的なものになるでしょう」と、戴冠式を楽しみにしていることを表明していました。

   ところが、この「一番乗り」宣言がされた時には、まだ正式な招待状を受け取っていなかったことがのちに判明。アルベール2世といえば、元ハリウッド女優グレース・ケリーを母に持ち、元水泳選手だった奥さまは超美人で有名です。

   華麗なるロイヤルファミリーとして海外メディアに華々しく登場することが多いアルベール2世ご夫妻は、セレブ雑誌ピープルの常連でもあります。インタビューでは、チャールズ国王との親密な関係もアピールしていましたが、今回の「一番乗り」は「フライング」だったようです。

「お返事下さい!」とスタッフがやきもき やっぱりヘンリー王子が注目の的

   数か月前から地元メディアを中心に、「戴冠式に誰が招待されるのか」という報道が活気づいていましたが、ダントツで注目を集めたのは王室を離脱したヘンリー王子夫妻の動向でした。

   暴露本の出版などで、英王室との関係が悪化しているとされるヘンリー王子夫妻。そもそも招待されるのか、招待されても出席するのか、それとも断るのかと、連日のように憶測記事がメディアを賑わせていました。

   予想に反して(?)夫妻に招待状が送られましたが、なかなか返事が届かないことから王室関係者は相当やきもきしていたようです。締切直後の様子を、英タブロイド紙は次のように伝えていました。

Royal insiders are still 'none the wiser' as to whether Harry and Meghan plan to come to the Coronation, despite the deadline for RSVPs closing last week
(先週、RSVPの期限が過ぎたにもかかわらず、ヘンリー王子とメーガン妃が戴冠式に出席するかどうかについてまだ全くわからないと、王室関係者が明かした:デイリー・メール)
none the wiser:まったく分からない

   「RSVP」は、フランス語の「R?pondez s'il vous pla?t」の略語で、「お返事ください」という意味です。招待状に記載される決まり文句ですが、2023年4月3日の締切を過ぎても、ヘンリー王子夫妻から返答がなかった、という事実に驚かされます。

   式典までカウントダウンの状況でヘンリー王子夫妻の出席が明らかでなかったことから、出席するVIPの座席や車、セキュリティなどの詳細を決めることができずに、主催者が困り果てていた、とデイリー・メールは伝えています。

   結局、メーガン妃は米国に残り、ヘンリー王子だけが参加するという「お返事」になったようですが、もはや王室メンバーでない王子はバッキンガム宮殿のバルコニーに立つことが許されず、「トンボ帰り」をすると報じられています。

   各国ロイヤルファミリーの他にも、米国のジル・バイデン大統領夫人など、世界中からセレブが集まる戴冠式。ロンドンのヒースロー空港や欧州の交通機関でストが予定されるなど、戴冠式への影響が懸念されていますが、英国民やメディアが追うのはヘンリー王子の一挙手一投足であることは間違いありません。

   おそらく秋篠宮ご夫妻にとっては、平穏な「初の英国訪問」になるのではないでしょうか。

   それでは、「今週のニュースな英語」「RSVP」(お返事下さい)を使った表現を紹介します。ビジネスの場面でもよく使う定型表現で「アール・エス・ヴィー・ピー」と読みますが、動詞としても使われます。

Please RSVP by 3, 4, 2023
(2023年の4月3日までにお返事下さい)

Please RSVP by Friday
(金曜日までにお返事下さい)

Harry and Meghan still haven't RSVPed to the king's coronation
(ヘンリー王子とメーガン妃は、国王の戴冠式にまだ出欠の返事をしていない)

   ちなみに、なぜ天皇陛下ご夫妻ではなく秋篠宮ご夫妻が戴冠式に参列されるのか、その理由を、話題のチャットGPTにたずねたところ、「秋篠宮陛下がチャールズ国王の戴冠式に出席するかどうかは何も発表されておらず、また具体的な理由も分かりません」という身もふたもない返事が返ってきました。もちろん、質問した時点でご夫妻の参列は発表されていましたが...。チャットGPTは、皇室情報にはあまり強くないようです。(井津川倫子)