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コロナ感染急拡大のマレーシア 日本人の長期滞在先として人気も

   マレーシアで新型コロナウイルスが猛威を振るっている。人口当たりの感染者数はインドを上回っているという。東南アジアの一角にあるマレーシア。多くの日本人にとって余りなじみがないが、日本と意外に深いつながりもある。

  • 日本人の「ロングステイ」先として大人気
    日本人の「ロングステイ」先として大人気
  • 日本人の「ロングステイ」先として大人気

トヨタやホンダが現地生産停止

   2021年6月1日の日本経済新聞は一面で、「マレーシアは6月1日から全土でロックダウンに踏み切り、トヨタ自動車やホンダなどが工場を停止」と報じた。大きな扱いだ。

   マレーシアでは一日当たりの新規感染者数が直近の2週間でほぼ倍増、5月29日には9020人と過去最多を更新した。人口100万人あたりの感染者数は200人を超え、惨状が伝えられているインドを上回っているという。ワクチンの接種も遅れている。

   ロックダウンで製造業の出社率は10%に抑え込まれた。年間5万台を現地生産していたトヨタは生産も販売も停止。二輪車30万台、四輪車10万台の生産能力を持つホンダも2工場を停止したという。

   JETROによると、マレーシアには、電機や自動車メーカーなど1500社を超える日系企業が進出している。インドと同じくらいだという。インドのコロナ感染拡大では、日本人駐在員や家族が緊急帰国する事態となったが、マレーシアでも同じようなことが起きかねない。

   しかし日本とのつながりは、こうした産業面にとどまらない。ほとんど知られていないが、意外な接点がある。日本人の「ロングステイ」先として大人気なのだ。

14年連続で1位

   JTB総研によると、「ロングステイ」とは、同じ場所に長く滞在し、日常生活を通じて現地の人や文化、慣習に触れる旅行の1形態。滞在期間の定義は特になく、2週間程度の滞在を指すこともある。生活費の安さなどから、海外でのロングステイが注目され、新しい旅行スタイルとして注目を浴びてきた。

   ロングステイ財団(東京都千代田区)によると、「ロングステイに関する意識調査」で、日本人が長期滞在(ロングステイ)を希望する国・地域として毎年1位になっているのがマレーシアだ。なんと14年連続で1位だという。

   現地メディアは、同財団になぜマレーシアが人気なのかを聞いている。「長期滞在の日本人が多い点や治安の良さ、生活面での利便性などが好まれている」と同財団は説明している。近年は、定年退職後の移住のみならず、インターナショナルスクールへの入学を目的とした子育て世代の移住も増えているという。20年の調査では、長期滞在希望先の2位はタイ、3位は米ハワイだった。

   割安感のある物価や、英語が通じることもマレーシアの魅力だ。マレー系、インド系、中国系が混在するマレーシアでは 英語は共通語になっている。在留邦人は19年の段階で2万6000人を超えており、世界で12番目。アジアでは中国、タイ、韓国、シンガポールに次ぎ、台湾よりやや多い。

   ちなみに5月5日に札幌の五輪コースで開かれたハーフマラソンには、海外から6選手が参加。うち2人はマレーシアからだった。日本に住むマレーシア人は1万人程度と見られている。