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「感染5日で死亡」オミクロン株の脅威 猛スピードで症状悪化する

   オミクロン株による新型コロナウイルスでは、感染してから5日で亡くなる人が多いという衝撃の調査結果が出ている。「軽い」「重症化率は低い」などとされていたオミクロン株だが、感染から死亡までのスピードが極めて速い。死者の大半は高齢者。これまで想定されていた以上に手ごわいことが明らかになっている。

  • 高齢者をあっという間に死に至らしめる厳しい実態が明らかに
    高齢者をあっという間に死に至らしめる厳しい実態が明らかに
  • 高齢者をあっという間に死に至らしめる厳しい実態が明らかに

重症化までに4日

   これは、2022年2月24日に開かれた厚生労働省の専門家組織の会合に、国立感染症研究所感染症疫学センターの鈴木基センター長が提出した資料でわかった。朝日新聞によると、2月16日までに報告があった重症例255例と死亡例343例を分析したところ、重症例の中央値は73歳、死亡例の中央値は87歳だった。発症から重症化、死亡までの日数は、重症例が0~23日で中央値は4日、死亡例は0~63日で中央値は5日だった。

   重症例、死亡例ともに65歳以上が半数以上を占めており、分析できた死亡例341例の中では65歳以上が9割以上を占めたという。

   読売新聞は24日、「『容体悪化あっという間』高齢者の施設内療養『限界』」という記事を公開している。

   同紙のまとめによると、1月中に都内の高齢者施設での死者は3人だったが、2月は23日までに35人。ある施設では、濃厚接触者となった入所者の一人の容体が急変。救急車を呼んだが搬送先が見つからず、車内で約4時間待って亡くなった。施設長は「高齢者の容体悪化はあっという間だ。入院できない上、入院が必要になっても受け入れ先が見つからないのは問題だ」と訴えている。

   高齢者が症状悪化した場合、入院できず、重症と診断される前に亡くなるケースがあることを示している。

持病悪化での死亡増

   同じようなことは、日刊ゲンダイも22日、「岸田首相『病床に余力』強調はゴマカシ 大阪はオミクロン死94%『重症』と診断されず」という記事で書いている。

   厚労省によると、16日時点で重症病床の使用率50%超は3府県。全体的にまだ余力があるかのように見えるが、「オミクロン株は肺炎などの重症化率が低く、重症病床が空くのは当然です」と、医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏は語っている。

「では、なぜ死者数が第5波を超えたのか。第6波では、コロナは軽症でも感染した高齢者が持病を悪化させ亡くなるケースが増え、死者数が積み重なっています。重症病床の余力があっても、こうした患者は救えません」

   同紙は、18日の大阪府コロナ対策本部会議で提出された調査結果は紹介している。それによると、第6波(昨年12月17日~今年2月17日)の府内の死者数は445人。このうち、重症からの死亡例はわずか27人(6%)。94%にあたる418人は一度も「重症」とは診断されず、軽中等症病床、宿泊施設、自宅などで療養していた患者だ。

   軽い、重症化しにくい、死者は少ない、などとされてきたオミクロン株だが、感染が拡大する中で、高齢者をあっという間に死に至らしめる厳しい実態が明らかになっている。

   J-CASTトレンドではすでに「オミクロン死者数多い謎 重症は少ないのに...目立つ高齢者と容体急変」という記事を掲載済みだ。