全国拡大中!エンタメで売る「パフォーマンス・アイス」

   よく冷えた大理石や鉄板の上で、フルーツ、ナッツといった具材を混ぜ合わせる新感覚のアイスクリーム。できたてを味わえるフレッシュさと、派手なパフォーマンスが話題を呼び、全国では似たような業態の店が増えている。

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30種のトッピングでバラエティ豊かに


お客の目の前でアイスと具材をミックス。コールド・ストーン・クリーマリー

   ブームの火付け役は、アメリカで1400店舗以上を展開しているアイスクリームショップ「コールド・ストーン・クリーマリー」だ。日本初の店舗を東京・六本木ヒルズに2005年11月にオープン。08年4月末現在で23店舗まで拡大している。

   人気の理由は何と言っても、お客の前で、アイスクリームとフルーツなどの具材を冷やした石板の上でミックスするというパフォーマンスだ。乳脂肪分が14%というクリーミーなアイスクリームは、「スイートクリーム」「ストロベリー」「マンゴー」といった約10種を取り揃えている。その中から1種選び、さらにナッツやフルーツ、チョコチップ、スポンジケーキやブラウニーと、約30種ある具材から3~5つ選ぶ。するとスタッフがマイナス9℃に冷やした石板の上で砕くようにして、混ぜ合わせてくれる。

   オープン時には、「初めて見た!」「楽しい!」と若い女性の間で話題を呼び、連日長蛇の列ができた。コールド・ストーン・クリーマリー・ジャパンの広報担当者によると、今でも都内の店舗では休日に800~1000人が来店するという人気ぶりだ。

   さらに、全3サイズのうち一番大きいサイズ「Gotta Have It」を注文すると、スタッフが歌いながらアイスを作ってくれるサービスも、ユニークだと話題になっている。30秒から長いもので1、2分というオリジナルソングは約50曲あり、「来てくれてありがとう」「楽しんでください」という内容だ。アメリカの店舗で歌っているのと同じ曲もあれば、日本のスタッフが作った曲もある。

   レジに置かれている「チップ ジャー」にチップを入れたときや、歌をリクエストしたとき、誕生日だと告げたときにも歌ってくれるようだ。

石垣島では「パッションフルーツ」や「ちんすこう」を使ったアイスも


石垣島産ジャージー牛のソフトクリームにフルーツをたっぷりと。Hau tree

   お客の目の前で作ることで、フレッシュさとエンターテイメントの要素を取り入れた「パフォーマンス・アイス」。似たような業態の店舗は全国に広がっている。

   沖縄県石垣島にある「Hau tree gelato」では、パイナップル、パパイヤ、ドラゴンフルーツ、シークワーサー、紅イモ、銘菓「塩ちんすこう」といった島の素材を中心に約20種の具材と、ソフトクリームをミックスしている。ソフトクリームにも石垣島のミルクを使用するというこだわりだ。

   店主の武田正史さんによると、「石垣島で作っているのは1店舗だけで、沖縄県でも移動式店舗で扱っているが、それでも数店だ」という。観光客はもちろん、珍しさが受けて地元の人も多く訪れるようだ。

   もともとアイスクリームの卸をしていた武田さんが大理石アイスを始めたきっかけは、「地元の素材でおもしろいアイスを作れないか」と考えたことだ。そんな時にハワイで食べたアイスをヒントにしたという。

ホテルのレストランや結婚式場には「鉄板アイス」も登場 

   また最近では、石板の代わりに鉄板で作るアイスクリームも登場している。鉄板の場合は急速に冷却できるというメリットがあり、ジュースのような液体でもアイスと混ぜることができる。

   「鉄板アイスマシン」を販売しているデフィ(東京都世田谷区)の担当者は「主にホテルのレストランや結婚式場で需要がある。2年間で20~30台を販売した」と話す。1台あたり85万円という高価格な機材だが、「目立つパフォーマンスでお客を呼び寄せたい」と、購入する飲食店が増えているようだ。

   材料や機材が多様化し、全国に拡大している。コールド・ストーン・クリーマリー・ジャパンの広報担当者は「同じような業態の店が出てきたことで、楽しんで食べるという新たな食べ方が広まった」と話している。

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