【Paris発】セーヌ川「人工ビーチ」大にぎわい やっぱ、不況には勝てません

   7月20日から1か月間、パリの4区から19区にかけて、セーヌ川の沿岸道路が通行止めとなり、そこが人工ビーチに変身。砂が敷かれ、ヤシの木が立ち、芝生の上にデッキ・チェアが並ぶ。今夏で第9回目を迎えるパリ・プラージュ(プラージュとはフランス語で『ビーチ』のこと)は、夏の風物詩とも呼べるイベントだ。

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デッキ・チェアはどこも満席!


セーヌ川岸で日光浴

こんなパフォーマンスもやっている

   2002年に始まって以来、面積を広げ、アクティヴィティを増やし、プールも設営され、ボートやカヌー・ポロなどの水上スポーツが楽しめるようになったりと、進化を続けるパリ・プラージュ。

   ただ、この時期、パリジャンはヴァカンスに出かけるし、外国からの観光客も海辺でくつろぎたいなら、南仏やノルマンディ地方に行くはずで、わざわざパリで人工ビーチを訪れたりしないだろう、と思っていたのだが、ここ数年は、毎夏400万人近い人出があると聞いて、びっくり。

   先日、試しに天気のいい平日の午後に数年ぶりにパリ・プラージュに出かけてみた。すると、デッキ・チェアはどこも満席、カメラを持った観光客たちがぞろぞろと歩いていた。

   敷地内にはすべり台やトランポリンなどが設置され、フェンシング、卓球、ペタンクができるスペースがあり、子ども用の工作教室なども催され、ダンス・パフォーマンス、太極拳が行われ、夜にはコンサートも開かれるという。海岸というより、リゾート施設にイベント会場をプラスしたような、りっぱな観光スポットなのである。

フランス人の3分の1はバカンスなし!?


船からパリ・プラージュを眺める観光客たちも

   もちろん、パリ・プラージュに来ているのは観光客だけではない。デッキ・チェアにのんびり寝そべっているのは、地元パリジャンたちだろう。ある統計によると、ヴァカンス大国だと思われているフランスでも、人口6千300万人のうち約2千万人、つまり3分の1近い人がヴァカンスに出かけないらしい。

   不況が長引く中、経済的な理由が挙げる人が多く(他は病気、家族内の問題など)、失業者の2人に1人、片親家庭(主にシングルマザー)の10世帯に4世帯はヴァカンスに出かけないという。どこにも行けないから、パリ・プラージュでヴァカンス気分を味わう、というパリジャンも少なくないだろうし、子ども向けのアクティヴィティが多いのはひょっとしたら、シングルマザーのパリジェンヌたちへの配慮かも。

   来年は記念すべき10周年、フランスも不況から脱出できなければ、ますますパリ・プラージュの人出が増える可能性もある。

江草由香

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