まさに永久保存版 「神宿る巨樹」156本をとらえた「木」の写真集


「日本遺産 神宿る巨樹」

   20年以上にわたって内外の「巨樹」を訪ね歩いている写真家の吉田繁さんが2012年1月30日、「日本遺産 神宿る巨樹」(講談社、3800円)を出版した。青森から屋久島まで、日本国内の選りすぐりの巨樹156本の雄姿をあますところなく伝えている。これまで何冊もの「巨樹本」を出しているが、今回は「永久保存版」だという。

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   吉田さんは1958年生まれ。雑誌や広告の仕事のかたわら、「神々しさ」をテーマに巨木や自然を撮影するようになった。すでに20か国、2000か所以上を訪れ、「地球遺産 最後の巨樹」「巨樹を見に行く 千年の生命との出会い」(いずれも講談社)などを出版している。全国カレンダー展でも、総理大臣賞などを受賞している。

   日本で巨木とは、地上から1.3メートルの幹周りが3メートル以上ある木のことをいうそうだ。杉、ケヤキ、クスノキ、イチョウなど550種の約6万8千本もあるという。樹齢千年を超える古木も少なくない。しかし吉田さんにとっては、そうしたデータはあまり大きな意味を持たないようだ。

   なによりも、「立ち姿が美しい木や生命の尊厳がある木、気迫を放つ木などに魅かれる」。そうした「神々しさ」に出合うことのよろこびに取りつかれ、いつまにか「巨樹写真家」になっていた。一本の巨樹を撮影するたびに、ごく自然に、巨樹だけでなく身の回りのすべてのものに「ありがとう」とつぶやいている自分に気づくという。そんな思いは、この写真集を手にする人にも、きっと伝わることだろう――「ありがとう、吉田さん」。

   写真のほかに、「地上でもっとも大きくて長い生命」「水を蓄える森の母に響く音」などの丁寧な解説文を、吉田さんと巨樹めぐりを続けている編集者の蟹江節子さんが添えている。

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