高齢者の肺炎は食事で防ぐ 周知徹底と誤解の解消が課題

   日本人の死因「ワースト3」はがん、心臓病、そして肺炎だ。特に肺炎は、厚生労働省の死因別統計で2011年に脳血管病を抜いて3位となり、深刻化している。

   年間でおよそ12万人が肺炎により命を落としているが、大半が高齢者の「誤嚥(ごえん)性肺炎」によるのが特徴。効果的な予防法があるが、周知不足や誤解があるのも事実だ。

意外と知られていない嚥下食
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「食べ物を小さく刻んで食べさせる」のは危険

   「ごっくんと飲み下すこと」を、医学的な専門用語で「嚥下(えんげ)」と言う。通常は食事の際に反射的に嚥下を行い、食べ物を食道へと送り込んでいる。加齢や疾患でこの反射がうまくできなくなると、むせたり、気管に入ってしまったりする誤嚥(ごえん)や窒息、肺炎などを引き起こす。

   誤嚥性肺炎もこうした嚥下障害が原因だが、科学的な基準に基づき、とろみをつけ流動性を高め、飲み込みやすくした「嚥下食」にすることで防ぐことができる。ミキサーにかけた食材をゼラチンで固めたゼリータイプが多いが、鮭のテリーヌやレバーペーストなど料理として楽しめるものもある。

   ただ、嚥下食の一般的な認知度はいまひとつだ。病院や福祉施設向けの栄養・嚥下補助食品を開発・製造・販売するニュートリーソーシャルサービスが共同で実施し、2015年2月20日に公表した『「介護食」及び「嚥下食」に関する調査』によると、嚥下食を「知っている」「何となく聞いたことがある」との回答が55%あるものの、44%が「知らない」と回答した。

   また、誤嚥性肺炎を「知っている」「何となく聞いたことがある」と回答したのは81%となったが、予防法を聞く自由回答の設問では「食べ物を小さく刻んで食べさせる」など、誤嚥の危険性を高めてしまう回答が多くみられ、予防法については正しく理解されていない現状もわかった。

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