商品PRツイートはこう作れ! 宣伝・広告まで愛されるシブヤ文房具

   【ツイッターは仕事!企業公式「中の人」集合(20)】

   ツイッター運用で利益を上げたい。企業公式アカウント担当者が日々、追いかけている目標だ。ただ宣伝ツイートをすると、挨拶はじめ日常的な投稿よりも反応が鈍かったり、フォロワーに煙たがられたりするケースが少なくない。PRするほど、潜在顧客が離れていくジレンマだ。

   ランドセルと文房具の専門店・シブヤ(大阪市)の公式アカウント「シブヤ文房具」は、担当者の私的ツイートが「親しみやすい」と人気だ。商品紹介も、それに引けを取らない「エンゲージメント(ツイートへのリアクション)」を獲得している。ユーザーに受け入れられるPRのコツを聞いた。

「シブヤ文房具」公式ツイッターアカウント担当者
「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー2020 キッズ・ジュニア部門」受賞実績があるランドセル
オリジナル鉛筆
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「何かを必ず買ってほしい」と思っていない

【シブヤ文房具】扱っているランドセルや文房具ほか、商品情報を発信。フォロワーとの交流にも注力している。現担当者は2019年4月から約2年運用中(途中、別担当者に交代していた時期あり)。17年1月にアカウント開設。

   担当者はデザイン部の社員。主に、楽天市場をはじめとした各ECモールに商品ページや、シブヤ社が提供している「商品への名入れ」サービスページを作っているほか、ランドセルのカタログ作成にも携わっている。

   先代の担当者が運用から離れ、ツイッター中の人不在の状態が2か月ほど続いているのをもったいないと感じ、「私、多分ツイッター得意です」と自薦した。「次の担当者が決まるまで、という気持ちだったので、これほど長く運用することになるとは思っていませんでした」。

   読む人を引きつける、商品PRツイートのコツを聞いた。発信前には、

(1)選定:自分が本当に「欲しい!」と思える商品しか取り上げない
(2)準備:実際に手に取って使用感を確かめ、写真撮影をする

という二つのポイントがある。画像は必須だ。

   肝心の文章は、「これかわいくないですか?」「知っていますか?」など話しかけるスタイルがよいそうだ。自分で持っていない商品を紹介する場合は「これ欲しい!」という時もある。「カテゴライズ」も重要なテクニックだ。キャラクター商品を取り上げる際は「○○が好きな人集まれ」、平成にはやっていた商品を紹介するなら「平成生まれの皆さん」といったように、ツイートに興味を示しそうな層に刺さるフレーズで呼びかける。

   ツイートがきっかけで商品ページの閲覧数が増え、売り上げにつながったケースの中で、「特に印象的だった」と挙げたのが2021年2月の投稿だ。国民的アニメの言い回しを踏まえ、「商品紹介の次回予告」と題しておきながら、「さーて、今週のシブヤさんは!」と、しれっとPRを始めている。「来週」ではなく「今週」と言っているのがミソだ。

「商品紹介の『次回予告』としたうえで『今週の~』と、直後にPRしているので、『いや、今紹介しないんかい......やっぱり、するんかい!』とツッコんでもらえるかなと(笑)」

   フォロワーは、ツイートを読みに来る「お客様」ととらえている。ただ、「極論を言えば、シブヤ文房具で何かを必ず買ってほしいとは思っていない」。「最新の文房具情報がわかる」、「何か欲しいな、と思った時に見ると良い情報がある」アカウントだと認識されるだけでうれしいという。

   担当者が、ツイッターで利益を上げなければと気負いすぎていない点も魅力だ。

「末っ子感」があって、親しみやすい

   フォロワーに「シブヤちゃん」と愛称で呼ばれ、親しまれているアカウント。だが、「最初は、敬語やビジネスマナーを意識しすぎて、フォロワーとどう交流していいかわからなかった」。そこで、イラストが得意な点を生かし、他社や一般ユーザーのツイッターアイコンを描いて話すきっかけにした。親しくなるにつれ、ツイッターでの振る舞い方がわかってきたという。

   親交のある他社ツイッター担当者からは、「『甘え上手、頼り上手の末っ子感』がツイートに滲んでいる」と評されたそうだ。

「就業時間内に頂いたリプライは出来るだけ返すようにしています。距離感を間違えるとただのなれなれしい人になってしまうので注意が必要ですが、友達のような感覚で接してほしいので、多少フランクな口調で話すこともあります」

   親しみやすさを感じてもらうため、取り留めもない感想や食べたおやつのツイートもする。意識しているのがバランスだ。アカウントを自分のものにしすぎると、誰かに引き継ぐ際に困るため、商品紹介と個人的なツイートの比率を3:7に保つよう心がけている。

「あくまでも会社のアカウントなので、日記のように使うことは避けたいです。自分を通じて、アカウントや会社を好きになってもらいたい」

   真摯な運用姿勢は、社内でも評価されている。社長から「ツイッター楽しみにしてんで」と声をかけられたり、各所から「ツイッター用に商品の写真撮りますか?」と聞かれたりするという。担当者をあたたかく見守り、支援する雰囲気が社全体にあるのだ。


社長から「頑張っているね」とお菓子を差し入れられることも

   社内外に理解され、応援されるツイッター運用を意識しているからこそ、商品PRがユーザーの心に届くのだろう。

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