オミクロン株急拡大で感染者1.3万人 「ただの風邪」説に専門家の見解は

   オミクロン株による新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない。世界保健機関(WHO)は、欧州人口の半分が感染する可能性を明らかにした。オミクロン株は軽症者が多いといわれているが、米国の入院患者数は過去最大になっている。日本でも、東京、大阪などでさらなる急拡大が始まった。

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欧州は半数がオミクロンに

   ロイターによると、WHOのハンス・クルーゲ欧州地域事務局長は2022年1月11日、今後6~8週間以内に欧州の人口の半分以上が新型コロナウイルスのオミクロン変異株に感染するとの見通しを示した。欧州では今年の第一週に700万人以上の新規感染者が報告され、2週間で2倍以上に増えている。

   韓国メディアのWoW!Koreaによると、米国では11日、前日基準で米国のコロナ入院患者数が14万5982人。昨年1月14日の14万2246人を上回り、過去最多となった。1日の感染者数は150万人に迫っている。98%がオミクロン株による感染だという。

   ロイターは、米ニューヨーク長老派教会医療センターのラフル・シャーマ医師に取材し、米国の状況をさらに詳しく伝えている。それによると、同センターのコロナ患者のうち、従来見られた重症化の症状である呼吸困難や肺炎、低酸素などの患者は50%ほど。

「残る50%はコロナとは無関係のがんや脳卒中、その他の感染症で入院した際、検査でたまたまコロナであることがわかった。これだけ多くの入院患者から偶然コロナが判明するということは、いかにオミクロン株感染が地域で拡大しているかを示している」(シャーマ医師)
「現在入院しているコロナ患者の約10%がICUで治療を受け、5%ほどが人工呼吸器を装着している。これらは過去2度の感染ピーク時に比べ低い数字だ」(同)

   新型コロナによる全米の死者数は1日平均1700人。少しずつ増加している。

未知の部分多い

   日本国内でも新たな動きが出ている。3連休だったこともあって、このところ感染者数は落ち着いていたが、12日は東京2198人、大阪1711人。

   意外なところでは愛媛県。12日、速報値として県内で新たに112人の新型コロナ感染を確認したと発表した。愛媛朝日テレビによると、同県内の1日あたりの感染者数では過去最多となった。前日の53人から一気に倍増した。

   一方、テレビの情報番組などでは、オミクロンは軽症者や無症状がほとんどなので、政府は風邪並みの対応をすることも考えるべきではないか、という意見も出ている。

   しかし、多くの専門家は、後遺症なども含めて未知の部分も多く、感染者が増えれば社会のインフラに打撃を与えるうえ、一定数の重症者も出てくる可能性があると見て、警戒を緩めることに否定的だ。

   「ただの風邪に成り下がったとタカをくくり、英国のように経済を回すため感染者を野放しに増やしては失敗する」。東京新聞で二木芳人・昭和大客員教授(臨床感染症学)はそう警告する。「入院率がデルタ株の半分でも、感染力が2倍なら前回と同じく医療は逼迫し、自宅療養者が増え、高齢者を中心に死者が出る」。

   分科会と専門家組織のメンバーを兼ねる岡部信彦・川崎市健康安全研究所長も同紙で、「若者でも症状が出て、学校、会社を休めば病院やインフラが機能しなくなり社会問題が起きる。個々の症状が軽くても集団として感染を抑えないといけない」と語っている。

インフルと同等と考えるのは...

   TBSのニュース番組「Nスタ」によると、感染力は、風邪<インフルエンザ<デルタ株<オミクロン株の順で強い。つまりオミクロン株の感染力は風邪やインフルエンザの比ではない。池袋大谷クリニック 大谷義夫院長は以下のように語っている。

「重症化率はどうも低そうだというのはわかってきましたが、まだ日本人のデータ、さらには日本人のデータがないだけじゃなくて、欧米諸国に比べれば、まだブースター接種が進んでおりませんから、これから日本でどのような状況になるかっていうのはまだ不透明ですよね」
「インフルエンザと違うのは何か。やはり一定の頻度で重症化する方がいる。今回オミクロンで少なくなっても、やっぱり一定の頻度で重症化する。私、呼吸器内科医として呼吸器内科医生活は30年以上、インフルエンザでICUでレスピレーター、人工呼吸器がついた方っていうのは本当に数名しか見たことございません。今回のコロナになってから、ご存知のようにICUの病床がコロナの重症肺炎で埋まってしまうっていうのは、今までどこの医療機関も、どこの呼吸器科医も感染症科医も経験ないことですから、インフルエンザと同等だと考えるのはまだ早いと思います」

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