コロナ1日の死者300人超え 1か月で15倍、救急医療受けられない

   新型コロナウイルス第7波の死者が急増している。2022年8月16日は全国で307人が亡くなった。過去2番目の多さだ。この1か月のあいだに、1日の死者は15倍に急増している。高齢者施設や医療施設ではクラスターが広がり、各地で救急医療を受けられない人も多い。医療は崩壊寸前と報じられている。

各地で救急医療を受けられない人も多い
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過去2番目の記録

   第7波では「経済との両立」がこれまで以上に強調されてきた。そのため、特段の行動規制はかけられなかった。流行の中心はオミクロン株「BA.5」。感染力がこれまでのウイルスよりも強力だったこともあり、感染者は第6波の2~2.5倍に増加。少し遅れて重症者や死者も増えることになった。

   このところ、特に目立つのが全国の死者の急増だ。NHKによると、7月中旬は1日20人前後にとどまっていたが、20日に53人、26日には115人。8月5日には214人。その後も9日から13日まで5日連続で200人を超え、16日には一気に307人にまで増えた。

   第6波で死者が最も多かったのは2月22日の322人。第7波の307人は、それに次ぐ過去2番目の記録となった。第6波では、感染のピークを過ぎてからもしばらく死者は高止まりしていたので、第7波でも同じような推移をたどることになりそうだ。

陽性の職員が介護せざるを得ない

   死者急増の一因は、高齢者施設でのクラスターの増加だ。日本テレビによると、今月1日から7日までの1週間に全国で発生したクラスターは1486件。過去最多を更新した。最も多かったのは、高齢者施設などの「福祉施設」の867件だ。

   一例として読売新聞は8月17日、「『野戦病院のような』高齢者施設、療養21人のうち6人死亡...『入院させれば救えたはず』」という見出しで、沖縄中部の高齢者施設の窮状を伝えている。

   系列の有料老人ホームを含めた入所者84人のうち59人が感染。中等症の24人を多目的スペースに集めたが、その後入院できたのは3人だけ。施設で療養していた21人のうち6人が亡くなった。

   職員も55人のうち22人が感染。陽性の職員が入所者を介護せざるを得ない状況にもなったという。

医療従事者が感染で業務に支障

   テレビ朝日によると8月13日までに、全国で明らかになった「救急搬送困難事案」は6589件。過去最高だ。全国の病床使用率は100%に達しているわけではないが、入院できない人は少なくない。

   その理由として、医療従事者が感染して業務ができないことが指摘されている。また、入院する人は高齢者や基礎疾患の持ち主が多いため、医療が多岐にわたり、手間がかかることも指摘されている。

   このため病床使用率が60%程度の施設でも新たな入院患者に対応できなくなっているという。

   こうした状況について、上昌広・医療ガバナンス研究所理事長は日刊ゲンダイで、「なぜ、こんなことになったのか。それは、厚労省がワクチンの4回目接種を高齢者に限定し、医師・看護師らを接種対象から外したからだ」と厳しく指摘している。

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