日曜コラム:香港の巨匠カーウァイ監督は「CMの王者」だった

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   今回は、アジアの映画界で起きている話題をいくつか取り上げたい。

   まず最初は、香港のウォン・カーウァイ(王家衛)監督。香港では、ジョン・ウーやツィ・ハーク、アンドリュー・ラウなど、成功すればハリウッドへ出て行くのが普通だが、ただ一人香港に残って活躍している。日本では「恋する惑星」で注目され、同性愛の「ブエノスアイレス」、キムタクの国際的映画初出演の「2046」など、押しも押されぬ大監督だ。彼の新作「My Blueberry Nights」は5月16日から開催されているカンヌ映画祭のオープニング上映作品の栄誉に浴した。しかしスタイリッシュな画面や演出法は筆者の好みはでは無いのだ。

BMWやランコムからオファーが殺到

   だが知らなかったが、カーウァイは世界的なCM演出家でもある。発端は1997年。日本の電通からショートフィルムの発注があった。その後それがCMになったことを知り、ウォンは「ショートフィルムというのは、CMになるんだ」と初めて気づいたという。以来ラコステ、モトローラ、ランコム、BMWと世界的なクライアントからのオファーが引きもきらない。

   BMWは世界の名監督8人に次々とCMを依頼している。故ジョン・フランケンハイマー(RONIN)、アレハンドロ=ゴンザレス・イニャリトゥ(バベル)、ジョン・ウー(MI:2)、ガイ・リッチー(スナッチ)など。特にリッチーは夫人であるマドンナを主演にした長尺CMでカンヌ国際広告祭のグランプリを受賞している。カーウァイはランコムの男性用化粧品でも使ったクライブ・オーウェン(インサイド・マン)をCMタレントとして、BMWを走らせる。

   カーウァイの新しいCMは新「007/カジノ・ロワイヤル」のエヴァ・グリーンで、クリスチャン・ディオールのCMを撮っている。カーウァイは世界に冠たるCMディレクターだ。大林宣彦や原田真人、リドリーやトニー・スコット監督のようにCMを撮っていて映画監督になるのが普通だが、カーウァイのように逆コースもあるのだ。

韓国「映画のミュージカル化」が大当たり

   韓国では、不振の映画に代わって演劇が台頭し始めた。2000年に117.6億円の興行成績だったものが、2005年には307.8億円に伸びている。そのうち特に著しいのはミュージカルで、2000年に17.9億円だったのが2005年には141.8億円と驚異的な伸び。06年には更に38%成長して200億円に迫っている。

   最初はブロードウェイから「アイーダ」や「オペラ座の怪人」などが上演されたが、ライセンシングで12億円を払わなければならないからと、一斉に韓国産ミュージカルに切り替わった。原作は殆ど韓国映画かTV。

   例えばヒットしたのは04年の「ワイキキ・ブラザーズ」。男性4人のバンドで不景気なナイトクラブを巡り歩く話。映画は01年に封切られたが、ずっこけた。去年の6月からスタートしたミュージカル「王の男」も大ヒット。原作は05年の映画、16世紀の宮廷時代、二人の大道芸人と王との愛憎劇。大変良く出来ていて感銘を受けた作品だ。韓国のヨン様やイ・ビョンホンなどの愚作なぞ見ずにこのような素晴らしい作品を見て欲しいのだが、やはり佳作「グエムル-漢江の怪物」と同様に日本では駄目だった。

   映画スタジオ最大手のCJエンターテインメントは03年から舞台劇の製作を始めたが、既に60作品を送り出している。その内37本がミュージカル。演劇部門のトップは、ヒットミュージカルを引っさげて日本を含めアジアを巡演する構想を抱いている。

恵介
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