日曜コラム:香港映画 「中国」と組んで「どん底脱出」

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   70年代初頭のブルース・リーをきっかけに栄耀栄華を誇った香港映画は年間300本の映画を送り出していた時代があった。ショウ・ブラザースとゴールデン・ハーベストの2大スタジオが競争し、ジャッキー・チェンのカンフー映画が全世界を席巻した。しかし香港返還を契機に著名な監督ジョン・ウーや俳優ジェット・リー、チョウ・ユンファなどがハリウッドへ流出し、制作費の先細りなどで映画界は衰えた。現在、製作本数は50本そこそこまでに凋落している。


2007年7月7日公開の香港映画「傷だらけの男たち」

   映画の衰退をテーマに老映画館主を描いた「老港正伝」が、現実感があって受けるなど、従来の映画香港の面影は薄れている。それでも香港に残って健闘しているアンドリュウ・ラウ、アラン・リックマン共同監督の「インファナル・アフェア」「頭文字D」「傷だらけの男たち」などの秀作で徐々にどん底を抜け出す兆しは見える。

   だが完全復興にはどうしても本土・中国との関係が必要になる。7月1日の香港返還10周年を迎えて、その傾向は顕著になった。文化大革命のダメージを抜け切った中国映画界は「グリーン・デスティニー」や「LOVERS」など制作費20億円を越す大作で世界に目を向けている。その中国との共同制作が適えば苦しい制作費が助かるばかりか、映画マーケットでは人口世界一の市場も手に入るという一石二鳥の効果がある。

   先日放映されたNHKの番組によると、香港の映画女優だったバーバラ・ウォンが監督で撮った「女人本色」は半分の5,000万円の出資を本土より受けた。返還後の通貨危機やヒロインの結婚の失敗など様々な悲惨なシーンを潜り抜け、本土からの観光客を受け入れるビジネスで成功する物語である。1国2制度を上手く利用している。5月24日北京で開かれた返還10周年を記念する人民大会で「女人本色」は招待上映の栄誉に浴した。中国との共同制作は「検閲」を受け自由な描写ができないなどのマイナス面はあるものの、制作費援助の金銭的側面以外に、人口世界一の映画市場としての魅力はたっぷりとある。

   日本映画も、香港との共同制作を通して中国市場に入る道を考えるべきだ。先日紹介した「中国映画全貌シリーズ」キャンペーンのように中国から日本へはかなりの数の映画が紹介されているが、日本映画は年間数本しか中国で上映されない。韓国以上に強い締め出しだ。香港映画が中国との共同制作をするならそれに一枚加わって日香中の映画制作で中国市場を狙うべきだ。

恵介
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