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08年は「痛い」動画が人気 今年はどうなる?

   今回は2008年を彩った動画を振り返り、09年の動向をさぐる手がかりにしたい。夏のオリンピックイヤーだった08年。テレビほどには北京五輪に熱狂しなかったネット動画界だが、YouTube(ユーチューブ)では、ウサイン・ボルトやマイケル・フェルプスといった選手に混じって、無名の重量挙げの選手が金メダル級の再生数を獲得した。試技に失敗し、腕が折れ曲がってしまうという、テレビにはあまり映らなかった本当に痛そうな動画「Weightlifting accident - Beijing 2008」の再生数は約700万回に達した。

   08年最大のヒット映画「崖の上のポニョ」が公開されると、主題歌に合わせて踊ってみた珍妙なパロディー動画「魚が【崖の上のポニョ】を踊れんのか」がニコニコ動画に登場。本家の観客動員数には遠く及ばないものの、根強く集客して約49万回再生と大健闘を見せた。

   秋頃には米大統領選が佳境に入り、ユーチューブでは共和党副大統領候補のサラ・ペイリンが人気者に。物マネされたかと思えば、テレビニュースのインタビュー映像も、なんでもかんでも投稿される。学生時代に出場した美女コンテスト、ミス・アラスカの映像「SARAH PALIN SWIMSUIT COMPETITION!! Miss Alaska Pageant 1984 ...」は180万回再生とブリちゃんPV級の数字を稼ぎ出した。

   もっとも、ペイリン人気は一過性で終わったようだ。民主党のバラク・オバマが圧勝で当選した前後は、オバマ関連がユーチューブを賑わせたが、12月後半にはそれも一段落。最近、人気を博したのは、ブッシュ大統領が記者会見でイラク人記者から靴を投げつけられた動画であった。

   アメリカでサラ・ペイリンが話題の頃、日本でもある政治家が動画界に颯爽と現れた。ネット上で人気があるとされてきた麻生太郎総理がニコニコ動画上に「麻生自民党チャンネル」(専用ページ)を開設したのだ。開設に当たっての「総裁からのメッセージ」は50万以上の再生数を記録し、ネット上の人気を裏付けた格好だった。ところが、その後の支持率の急落と合わせて動画再生数も伸び悩むようになり、12月公開の「麻生太郎総裁全国遊説」は再生数千のインディー級の体たらく。

   世界大不況の呼び声高まり、リストラ解雇の寒風吹きさすぶ年の瀬にかけては、ちょっと気になる動画もあった(「全世界『さらし者』状態 動画『活用法』の是非」<2008年11月26日>)。ある会社の社長が、遅刻常習の社員に鉄道駅で反省文を読み上げさせ、ユーチューブ上でそれを公開したものだ。「パワハラではないか」といった社長批判が集中した。

   リアルな不況のなか、バーチャルなネット動画内外にも暗い影が見え隠れする。せめてそこぐらいは明るくあってほしいと願いつつ、当探偵社では09年も全力をあげて人気動画を調査して参ります。引き続きご愛顧のほど、よろしくお願いします。

OP・コンチーネ