日本でのビジネスはなぜ難しいのか
(3-下)「同期出世競争」を活力源にした時代

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※この記事は、記事「日本でのビジネスはなぜ難しいのか(3-上)」の続きです。

   年功序列給与の特徴は、若い頃は薄給で働き、歳をとり腰が重くなってもそれなりの地位が与えられる。若いうちはこき使われ、所帯を構え子供の教育や住宅にカネがかかるようになると給与のカーブが上がる。

   就職すれば20年先、30年先の人生設計が立てやすい給与体系である。安定した企業に就職すれば「生涯の安全保障」を得たようなもので、学生は大企業を目指すようになった。

   日本にベンチャービジネスが育ちにくい一因は、大企業に入れば人生設計が立てやすいことにある。年功序列・終身雇用の賃金体系は「長期後払い方式」で、途中で退職すると損になる。企業が従業員を長期に渡って抱え込むのに都合のいい仕組みともいえる。
   お役所が典型だが、企業にも「年次」という慣行がある。入社年で従業員は一括りにされ、その中で昇進を競い合う。入社時は横一線でも、勤務年数が増えるに従い、少しずつ差ができる。誰が最初に課長になるか、取締役にまでなれるのは誰か、などと同期の出世競争はサラリーマンの最大の課題で、一年365日、競争に晒される。社内での昇進や同期との競争が活力源で、達成感にも繋がる、という企業社会が築かれてきた。

儒教的な精神風土も制度の支えになった

東京・丸の内のビジネス街での通勤風景
東京・丸の内のビジネス街での通勤風景

   年上の人を敬う、という儒教的な精神風土もこの制度の支えになった。ごく少数のエリートを除き、多くの企業では年次の低い社員が先輩を追い越して昇進することは異例のこととされていた。年長者は公私に渡って後輩の面倒を見る。それが職場秩序として重視され望ましい社員像として奨励された。年次に従う「追い越し禁止」の人事慣行は、上下間の競争を排除し、「和を以て貴し」とする職場を形成した。社員は自分の仕事だけを見るのではなく、上司・後輩・同僚に気を遣ってコミュニケーションを図る、という集団主義を企業に開花させた。
   多少の不満があっても、従順に働いていれば、それなりの人生を保障する。忠誠の見返りに保護を、という封建制度と似た労使関係。企業への忠誠心は、年功序列と終身雇用を両輪に築かれたと言っていい。

バブル崩壊後、状況は一変する

   だがこの制度には弱点がある。昇進の階段を上ればのぼるほど、用意されたポストは少なくなるからだ。企業の職制構造は三角形になっているので、誰もが望ましいポストを得るのは不可能だ。戦後の日本がこの制度を続けられたのは高度成長のおかげだ。企業規模が大きくなる、他分野に進出する、別会社を作る、といった右肩上がりの経済が、企業に管理職ポストを増やし、それぞれが達成感を得られる処遇を可能にした。
   バブル崩壊に伴う長期不況が状況を一変させた。GDPが一時マイナスに落ち込むほどの低成長が管理職ポストの増殖にブレーキをかけ、年功序列を困難にした。経営者は年功賃金のカーブを下方修正し、60歳定年でも55歳を越えると給与は減少する措置をとる企業が相次いだ。年功給から能力給へと切り替えるのがトレンドにもなった。長期後払いの賃金で、いよいよ楽を出来るようなった頃、「リストラ」の名の下に終身雇用までうち切る企業が続出した。定年を間近に控えた中高年従業員にとって、リストラは人生の安全保障の喪失でもあった。ブリヂストンの事件はそんな時代を象徴している。

文: 山田厚史

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