生保10社に業務改善命令 営業体制の抜本的改革迫られる

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   生命保険会社の保険金不払い問題で、金融庁は2008年7月3日、日本生命保険や第一生命保険など生保10社(うち外資系2社)に対し、保険業法に基づく業務改善命令を発動した。各社が提出した調査内容や再発防止策を精査したが、「契約者保護に不十分」と判断した。各社は営業体制の抜本的改革を迫られている。

「保険金を請求されなければ支払わない」という体質

   保険金の不払いは10社合計で約99万件、約791億円に上り、契約者の「生保不信」は根深い。業界団体である生命保険協会に2007年度に寄せられた「苦情」は前年度比14%増の1万148件と初めて1万件を超え、保険に関する一般的な問い合わせの「相談」(9989件)を上回ったほどだ。

   不払い問題の発覚後、生保各社は新規契約の獲得を実質的に停止して営業見直しに乗り出した。この結果、国内主要9社の08年3月期決算は2期連続の減収に陥ったが、そうした「犠牲」を払ってでも見直しを進めたのは、「保険金を請求されなければ支払わない」という体質が問題視されたためだ。

   不払いの可能性が高いが、連絡が取れない契約者は営業職員がローラー作戦で回った。契約の一部でも請求すれば、他の特約も自動的に調べられる新システムも導入した。こうした対策を打ち出したことで、生保側は「再発防止策は進んだ」(大手役員)と判断。2008年7月上旬の各社総代会の終了後が「処分の時期」とみられていたが、「各社一斉の処分は見送られるのではないか」と「決着ムード」すら漂っていた。

   一方、生保各社が営業活動より優先して見直しに取り組んだことを踏まえ、金融庁内にも「処分は過剰な懲罰になりかねない」との意見もあった。

   だが、金融庁は「業務改善の取り組みは承知しているが、契約者の利便向上と保護の一層の徹底が重要」と大手は一斉の処分に踏み切り、生保側の甘い期待は打ち砕かれた。明確な法令違反がないにもかかわらず、処分を下したのは異例で、契約者保護の観点から生保側の抜本的な意識改革を迫った形だ。

約款の簡素化などを促す

   金融庁が生保側に促したのは、保険金が複数でも請求しやすい商品開発や契約内容を説明する約款の簡素化。複雑な商品が契約者の理解を妨げ、請求しにくくして、不払いの温床となったためだ。一部の生保は約款の簡素化に着手したが、契約者の立場からは依然分かりにくい。

   さらに、金融庁は「契約期間全般にわたる契約者への適切な情報提供や顧客対応」なども要請。営業職員が頻繁に入れ替わり、「契約獲得までは熱心だが、契約後はほったらかし」との批判が強かった営業手法の転換も求められた。

   金融庁は業務改善計画の提出期限である2008年8月1日をメドに役員の処分など経営責任を明確化するよう求めたほか、業務改善の成果を定期的に公表することも促した。生保各社はもはや中途半端な対応は許されない。

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