2024年 4月 30日 (火)

高橋洋一の民主党ウォッチ
新卒者に冷たい民主菅政権 守るのは労組員と官僚の雇用

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「自民党時代にもなかった」ひどい天下り

   やや余談だが、民主党政権は、天下り根絶といっておきながら反故にした。実は、これも雇用を得ている既得権者を優遇するものだ。このほど、前・資源エネルギー庁長官が退官から4か月余で東電顧問へ天下りした。今回の経産省の天下りは、かつての自民党政権でもなかったほどの、悪のりした天下りだ。というのは、直前まで直接所管していた企業に、所管庁のトップがいきなり天下りしたからだ。

   日本郵便に見られるように、雇用、雇用といいながら、結局、菅政権が守っているのは労組組合員、官僚などの雇用の既得権者ばかりで、新卒者という既得権を持っていない人には厳しい。

   その一方で、マクロ経済での需要不足への対処という点で落第点だ。菅総理は09年の秋に経済財政担当大臣としてデフレ宣言を行った。そこまでは良かったが、その後、財務大臣、総理と出世階段を上ってきたが、デフレ対策ではまったく無策だ。

   マクロ経済として、デフレと失業は需要不足のために生じる現象なので、根は同じだ。対処法としては、マクロのGDPギャップを、財政政策と金融政策で埋めるしかない。経済学の基本であるが、変動相場制の下では、財政政策の効果は金融政策より劣る(マンデル=フレミング効果)ために、セオリーはまず金融政策であるが、非常事態ならば、財政政策も併用するしかない。

   政府がすべきことは、ミクロに介入するよりも、マクロできちんとした経済政策を実施することだ。ところが、菅政権では経済財政諮問会議のようなマクロ経済の司令塔がなく、日銀との対話もうまくできずに、マクロ経済政策は不在だ。海外では、米国をはじめとして強烈な金融緩和を行い、景気回復しているのと好対照だ。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「さらば財務省!」、「日本は財政危機ではない!」、「恐慌は日本の大チャンス」(いずれも講談社)など。


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