調査対象から80歳以上を除外 地デジ対応機普及率95%の「真相」

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   地上デジタル(地デジ)放送への完全移行、アナログ放送の終了まで50日を切った。総務省の調査によると、地デジに対応する受信機の世帯普及率は、全国で95%に達したという。

   だがこの調査では、なぜか80歳以上が対象から外れている。調査方法自体も「実態とはかけ離れている」との批判も上がった。

「統計上存在しないことにされた」と怒り心頭

デジタルテレビの普及台数はいまだに7500万台程度
デジタルテレビの普及台数はいまだに7500万台程度

   総務省が2011年3月に公表した「地上デジタルテレビ放送に関する浸透度調査」では、10年12月時点での地デジ放送対応受信機の世帯普及率は94.9%となっている。11年4月までに受信機の完全普及を目指すとなっており、この結果を見る限りでは順調に推移している。

   前回の浸透度調査は10年11月に発表されているが、調査内容に異を唱える向きもある。ジャーナリストの坂本衛氏や立教大学社会学部の砂川浩慶准教授らは11年3月4日、地上アナログ放送の終了延期と地デジ難民のゼロ化を提言する記者会見を開いた。この席では、調査対象者から80歳以上が除外されたことが取り上げられた。

   坂本氏らによると、国内の80歳以上の夫婦や単身者などの世帯数はおよそ250万世帯。総務省統計局が発表している最新の国内の世帯総数は約4900万世帯なので、80歳以上が占める割合は5%に当たる。決して小さくない数字だ。坂本氏は、提言の発起人で、評論家のなだいなだ氏のコメントを読み上げた。80歳を超える同氏夫妻が「国の調査では80歳以上は統計上存在しないことにされてしまっている。ちゃんと生きているのに」と怒り心頭の様子を紹介した。

   なぜ80歳を調査対象から除いたのか。総務省放送技術課に取材すると、「質問項目が多岐にわたり、内容も細かいため、高齢の方になると記入するうえで身体的に困難な場合もあるのではないかとの配慮」だと話す。一方で、有効回答の中には高齢者と同居している世帯も含まれているので、80歳以上が全く反映されていないわけではないと説明。また「浸透度調査」でカバーできない分、自治体の協力を得ながら、全国51か所に設置された「テレビ受信者支援センター」を通じて80歳以上の世帯を個別に訪問し、普及率実態調査を実施しているという。

デジタルテレビ自体の普及は1億台に届かず

   浸透度調査でカウントされる受信機は、テレビだけでなくチューナーを内蔵する録画機やパソコン、ケーブルテレビ用セットトップボックス(STB)も含まれる。普及台数は2011年1月で1億537万台、また6月6日にデジタル放送推進協会が公表した数字によれば、5月末現在では1億1725万台に達した。

   だがこの数字についても「トリック」があると、坂本氏と砂川准教授は指摘する。例えば地デジ対応のテレビに、録画用ハードディスクやSTBが接続されていると、それだけで受信機が3つと数えられてしまうというのだ。そうであれば、STBなどは単体でテレビ放送が見られるわけではないので、単純に「普及率」に入れられるのは疑問が残る。

   実際に、地デジ放送が視聴できるプラズマテレビや液晶テレビの普及率は、5月末現在で約7487万台にとどまる。5月単月で160万台ほど増加しているが、このペースでもアナログが停波する7月までには、1億台に届かない。

   坂本氏らは、7月時点で実質の受信機の世帯普及率を90%程度と見ており、このままではいわゆる「地デジ難民」が生まれると懸念している。東日本大震災で被災した岩手県や宮城県、福島県は完全移行が1年延期されたが、その他の地域は予定どおり実施される見込みだ。砂川准教授は、「国の政策として進めている地デジ化で、未対応の人がテレビを見られなくなるのは『人災』。これらの人をどう救うのか、国は真摯な態度で臨んでほしい」と話している。

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