2024年 5月 1日 (水)

高橋洋一の民主党ウォッチ
「解散」タイミングは財務省主導 10月「IMF・世銀総会」終了後か

   「近いうち解散」はいつかが永田町で話題だ。もちろん解散権は総理の専権事項なので野田総理の胸の内だ。ところが、消費税増税に政治生命をかける野田総理が財務省の操り人形であるのは、誰の目にも明らか。解散時期も財務省の意向が反映するだろう。

   財務省のお決まりスケジュールといえば、予算編成だ。ただ、この点でいえば、野田総理が不用意に来2013年度予算も作りたいといったので、谷垣自民党総裁が珍しく怒り、先般の3党合意破棄かという騒ぎになった。ということで、予算の話はいいにくい。しかし、「近いうち解散」を占うのには格好の財務省スケジュールがある。

「10月解散・11月上旬投開票」説も

   それは、10月9日(火)から14日(日)に東京で開催されるIMF・世銀年次総会だ。年次総会は、IMFと世銀があるワシントンで2年続けて開催された後、3年目は他の加盟国で開催される。東京は1964年に開催されて以来2度目だ。世界各国からの公式参加者が1万人、非公式の参加者を含めれば2万人とも言われる、世界最大規模の国際会議だ。

   今回のIMF・世銀年次総会の運営事務局は財務省である。野田総理はこの会議を終えるまで解散しないだろう。この話とつじつまの合う情報も出てきている。

   先般の3党合意破棄かどうかという3党党首会談では、10月上旬に臨時国会を召集し、冒頭解散11月上旬投開票という日程が示されていたとの新聞報道もある。

   というので、永田町は次期総選挙に向け合従連衡の動きがある。今の体制は、3党合意でわかるように、民主・自民・公明の事実上の「大連立」に対して、そのような対抗軸ができるかどうか。台風の目は、橋下徹大阪市長が率いる「大阪維新の会」である。安倍晋三元首相が、渡辺喜美みんなの党代表が、そのほかにも国会議員が橋下市長と会ったというだけで、ニュースになっている。小沢一郎氏の新党、大村秀章・愛知県知事が主導する政治団体なども橋下氏に秋波を送っている。また、石原慎太郎都知事の新党構想の動きも浮かんでいる。興味深いのは、東京・永田町の大連立に対して、大阪の非「大連立」という動きだ。

民主・自民・公明VS維新軸の「非・大連立」

   こうした話をすると、政局ではなく政策で競うべきだという意見がでてくる。テレビの解説者もいうが、素人の意見丸出しだ。政局と政策はそれぞれ独立したものではなく、密接に関係しているのだ。

   大阪維新の会では、政策(八策)と基本的なところが同じ国会議員に合流を持ちかけているようだ。道州制、環太平洋経済連携協定(TPP)・民営化、脱原発などがコア政策のようだ。道州制といっても、消費税の地方税化なので、今回のように「3党合意で消費税増税」とは方向が異なり、非「大連立」のシンボルになる。TPP・民営化や脱原発も3党は及び腰だし、これらのコア政策だけで十分に非「大連立」の旗になるだろう。

   非「大連立」が、棲み分け、統一名簿、合流合併・新党のどのような連携形態になるのか現時点ではわからないが、政局と政策が互いに絡み合いながら、「近いうち解散」に向けて政界再編のマグマが蠢いている。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「さらば財務省!」、「日本は財政危機ではない!」、「恐慌は日本の大チャンス」(いずれも講談社)など。


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