2024年 4月 29日 (月)

ゴーン社長、日産報酬はルノーの3倍以上 何か釈然としないが、理屈はあるのか

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   日産からの役員報酬10億円と国内トップ級を続けている日産自動車のカルロス・ゴーン社長だが、フランス・ルノーから受けている役員報酬はその三分の一しかない。

   日産自動車のカルロス・ゴーン社長は2013年6月25日の株主総会で、13年3月期の自身の役員報酬は9億8800万円と公表した。12年の9億8700万円から100万円増で、今年は国内役員報酬額トップに返り咲く公算が強い。

「世界のグローバル企業の平均を下回っている」

   10年に役員報酬の公開を開始以降、日本での高額の役員報酬には疑問の声も多く、ゴーン社長はそれに対して、

「有能で優秀な人材を獲得・確保することは競争上の強みで、失うことはできない」
「世界のグローバル企業の平均を下回っている」

などと繰り返し説明してきた。

   ゴーン氏はフランス・ルノーの会長も勤めているが、ここでの役員報酬額は、約220万ユーロ(約2億8500万円)で、日本の3分の1以下とかなりの開きがある。

   「Le monde」(電子版、2013年5月25日付)によれば、2012年のフランスのユーロネクスト・パリ上場企業上位40社取締役報酬の平均額は、230万ユーロから480万ユーロだ。

   日本ではトヨタの豊田章男社長(1億8400万円)の5倍以上もらっているのに、フランスでは平均以下というわけだ。ルノーで足りない分を、日産で補填しているのではと言ううがった見方も一部にはある。

   ただ、アナリストの小田切尚登氏はゴーン氏の日本での役員報酬は単体でも「高すぎるということはない」との見方を示す。

「自動車業はグローバルですから、報酬にも世界的基準があって、それなりに高いのが普通です。ゴーン氏クラスの最高級の経営者を対象にするヘッドハンターというのがいて、常に動向をウォッチして話を持ちかけている。報酬を半額にしますと言ったら、『明日辞めます』と言われても仕方がない話です」

仏経済紙「カルロス・ゴーンは日産では成功したが、ルノーでは…」

   それはそうとして、では何故、フランスでは報酬がこんなに低く抑えられているのだろうか。

   一つには、仏ルノーの不振がある。ルノー日産によると、2012年の世界販売台数は前年に比べて0.9%増の810万台で、過去最高を更新した。このうち、日産は暦年で過去最高となる5.8%増の494万台。しかし、欧州の景気低迷の影響でルノーは6.3%減の255万台と落ち込み、そのために世界販売ランキングは11年の3位から4位に後退した。

   フランスの日刊経済紙「La Tribune」(電子版)は、「カルロス・ゴーンは日産では成功したが、ルノーでは…」(2013年5月7日付)と題する記事で、日仏での報酬の差を引き合いに出しながら、「二つの企業の間には明らかな不均衡がある」と指摘する。それによれば、日産とルノーがアライアンスを組む前の1998年のそれぞれの販売台数は、日産が260万台、ルノーは220万台と今ほどの開きはなかった。日産だけが復活し、ルノーが低迷に喘いでいるのは、ゴーン社長が日産に肩入れした経営をおこなっているからだとの指摘も労働団体からあがっている。

   もう一つは、フランスで高額の役員報酬が問題視されていることだ。社会党のフランソワ・オランド大統領は、12年の選挙中から政府が株式を保有する大企業に対して、CEOの給与を正規社員の最低賃金の20倍まで抑えるなどの基準を訴えてきた。当選後の12年7月には公営企業の役員報酬の上限を45万ユーロに抑える法律を成立させた。ルノーは民営化された今なおフランス政府が15%の株式を保有しており、フランス世論では、こうした基準に沿った自制を求める声が強い。

   ゴーン氏がルノーでの今年の報酬の可変分を前年比30%減らしたのは、こうした批判をかわすためだという。

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