2024年 5月 19日 (日)

ファミマとユニー、統合の基本合意延期 調整が難航しているとの見方も

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   コンビニエンスストア3位のファミリーマートと、同4位のサークルKサンクスを傘下に持つユニーグループ・ホールディングス(ユニーGHD)が、2015年8月に予定していた経営統合の基本合意を延期した。

   2016年5月の株主総会で承認を得て、同9月統合完了という日程の大枠は変更しないとして、両社とも「1~2か月での基本合意をめざす」方針を明言する。統合後の海外戦略の前提になるサークルKサンクスの海外撤退に向けた米サークルKストアーズとの交渉に時間がかかったこともあるが、不振の続くユニーGHDの大型総合スーパー(GMS)再建をめぐり、調整が難航しているとの見方もある。

  • ファミマとユニー統合でコンビニ業界はどう動くか。(画像はイメージ)
    ファミマとユニー統合でコンビニ業界はどう動くか。(画像はイメージ)
  • ファミマとユニー統合でコンビニ業界はどう動くか。(画像はイメージ)

両社のすり合わせに手間取っているようだ

   ユニーGHDは、元々GMSの会社で、子会社としてサークルKを設立し、その後、サンクスと統合した経緯がある。このため、今も売上高の8割近くはGMSが占めている。

   このユニーGHDがファミマと統合するということは、コンビニであるファミマとサークルKサンクスがくっつき、持ち株会社の下にGMS子会社とコンビニ子会社がぶら下がるイメージだ。コンビニは今や小売業最大の勝ち組業種なのに対し、GMSはイオンやイトーヨーカドーも含め、業種として不振が続いている。ユニーGHDの2015年3~5月期の連結決算はGMSの苦戦にコンビニの減損損失(61億円)も加わって26億円の最終赤字と、引き続き厳しい。統合後の新会社でも、GMS事業の収益をいかに回復させるかが大きなポイントで、回復できなければ経営の大きな足かせになる。関係者は「GMSの再建策で細かく詰めないといけない部分がある」と指摘しており、収益改善への具体策を巡って両社のすり合わせに手間取っているのが、合意延期判断の最大の理由と見られる。

   もちろん、統合後の国内店舗数が1万7599店と首位のセブン-イレブンに肩を並べるコンビニについても、問題がないわけではない。ファミマは個人消費が力強さを欠く中、大手3社の一角として安定するものの、セブンとは1店舗当たりの1日の売上高で10万円の差をつけられている。サークルKサンクスは商品力その他で上位陣との差は開く一方。

   その中で、経営統合となれば当然ファミマ主導になるが、店舗名はファミマに統一するのか、新たなブランドを制定するのかという問題はなかなかセンシティブだ。2010年にファミマがエーエム・ピーエム・ジャパンを吸収した際は、am/pmの看板を、時間をかけてファミマに替えていったが、さて今回はどうなるか。

   その他、合併・経営統合に共通の問題として、合併比率の算定、会社名、首脳人事など、クリアすべきハードルは少なくない。

コンビニ大手による寡占化が加速

   ただ、ファミマの関係者が「統合が破談になるということではない」と強調するように、統合がご破算になる可能性は低いというのが、業界に共通する見方。2011年以降、サークルKサンクスのフランチャイズの店舗約490店が次々とローソンやセブン-イレブンへと看板を変えたが、ファミマだけは手を出さなかった。あくまでサークルKサンクス本体丸ごとの買収を視野に、当時ファミマ社長だった上田準二・現会長が、手を出さないよう指示していたとされる。そんなファミマのラブコールを袖にしてきたユニーGHDも、背に腹を変えられない状況になったのが今回の統合合意なのだ。

   コンビニ業界全体に目を向けても、再編の動きが一段と強まっている。ファミマが、東海地方を中心に展開する中堅の「ココストア」(650店)を買収する方向で最終調整に入ったことが3月に発覚したほか、業界2位のローソンは8月、神奈川県が地盤の「スリーエフ」(560店)と資本提携に向けて交渉に入ると発表している。

   再編を考えるポイントが「プライベートブランド(PB)」。コンビニの取り扱い商品の6割近くを、メーカーと手を組んで開発したPBが占め、店舗数が飽和状態と言われる中で、成長のカギはPBが握っているとされる。取引量の多さという規模の経済がメーカーを巻き込む上での大前提だけに、大手3社を軸にした寡占化は一段と加速しこそすれ、収まることは考えられそうもない。

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